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平成23年度 第2回 函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要

日時:平成23年11月7日(月)  17:45~19:20
場所:市立函館病院 2階講堂
出席者
岩田委員長,伊藤委員,藤原委員,秋本委員,木村委員,田鎖委員,渡辺委員
事務局
秋元次長,相馬経理課長,野呂医事課長,小川参事,大島医療連携課長,
吉田恵山病院事務長,加我南茅部病院事務長


1.開会

□秋元次長
定刻となりましたので,ただいまから平成23年度第2回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。
それでは本日の議事に入らせていただきたいと思います。岩田委員長,議事の進行をよろしくお願いいたします。


2.議事

■岩田委員長
まず議事に入る前に,ちょっと事務局に確認をさせていただきたいのですが,今まで四半期ごとにこの会議は開催されていましたが,今年は半期になっています。今後もそういう方針なんでしょうか。

□相馬課長
21年,22年と評価委員会を開催しておりますが,各5回,四半期3ヶ月ごとに開催してまいりました。おかげさまで昨年度,なんとか赤字体質から脱却できました。
この間,委員の皆様にはお忙しいところかなり無理をして出席していただいていると思っておりましたので,本年度からは半年に1回,上期下期に分けて状況を報告したいと考えております。よろしくお願いいたします。

■岩田委員長
はい。そういう方針だそうなんです。
回数についてはこだわらないので,あとは議事日程を上手にやってもらい,全員が出席できるように調整していただきたいと思います。
早速ですが議題に入りたいと思います。まず配付されている審議次第で議題は1件だけとなっておりますが,事務局からご説明願います。

□資料に基づいて相馬課長説明
・平成23年度 函館市病院事業の事業実績(上期)
・収益・材料費の推移

■岩田委員長
はい,どうもありがとうございます。
まず全体の話を聞きたいのですが,昨年度,22年度については非常に良い決算をされたということで,それを参考にしながら今年の予算をたて,それに従って努力されているということでよろしいですよね。
昨年に対して,23年度で収益を上げるために新しく取り組まれた活動はあるのでしょうか。

■木村委員
まず予算の設定そのものが,昨年より患者数を減らしています。医者が若干減っていますから,昨年と同じだけ上げるのは厳しいだろうと考えました。
患者数を増やすことより,診療報酬制度上の加算の部分をしっかり取ろうと考えたところです。
患者数については,一般診療科の新規入院患者数は増えていますが,1日平均入院患者数は減っています。平均在院日数は,予算よりも約1日短縮されています。変な言い方ですが1日余分にいた方が収入は多かったとは思いますが,病院としては平均在院日数を12~13日まで短縮することを中期的に目指しています。減らせるときには減らさずにブレーキをかけるとそのあと減らせなくなります。入院件数が増えていますので,患者数には問題ないと考えています。
入院収益が9,600万円減っているんですが,上半期は救命救急入院料が去年に比べて7,300万円減少しました。3月に重症熱傷の患者さんが入りまして,ICUが1床占拠されたため加算が取れず,9月までその状態が続いた影響によるものです。
9月には病棟を改装して病棟再編成もして,救命救急の加算を昨年並みに取れる体制に戻しているので,なんとかいけると思います。
問題は,事務方から説明がありましたけれども,材料費が増えていることです。中身を見ると,血液製剤関係,重症感染症関連の薬が大きいです。もう一つは高い新薬がどんどん出てきていることです。新薬は高度な医療をしなければいけない病院としては採用するべきところなので,感染症対策,血液製剤の使い方を各診療科別にチェックして改善しようとしています。

■岩田委員長
去年と今年を比べ,昨年と同じ成果を今年も出そうとすると,かなりドラスティックなことをしないと,新しい手を考えなければいけないんじゃないかという気がします。

■木村委員
昨年並みの黒字は難しいと思っています。医療費は公定価格で,自分たちで値段を付けることができないわけです。大損しない代わりに大もうけもできないはずです。全体の診療収入のうちの1.5%程度,150億円売上があるなら2億円とか3億円の黒字というのが普通です。それより黒字が多いのは,どこか使うべきところにお金を使っていないのだと思います。
去年は経営が非常に苦しいから働こう,我慢しようとやって,大幅黒字になりました。しかし,今年の予算くらいの黒字が常識的な線で,去年と同じことを今年も続けてくれと言われれば,スタッフがパンクします。

■岩田委員長
ということは,改革プランの7年間の中で,たまたま2年目にすごく良かったんですが,これから先は単年度赤字の可能性もあるということでしょうか。

■木村委員
そういうことではありません。今年は現時点で予算に比べてマイナスですが,単年度黒字です。単年度黒字は維持できると思っています。もちろん繰入がどれくらいあるかにもよりますが,単年度赤字になることは想定していません。
二つ大きな要素があって,繰入の問題と診療報酬の問題があります。今のレベルのままが続けば単年度赤字になることはないでしょう。それよりもっと大きく収入を上げると,例えば去年みたいに14億円黒字を出すということになれば,今と違ったことをしなければダメだろうけれども,3~4億円程度の黒字であれば,しっかりマンパワーを入れて急性期医療をやる,平均在院日数も少なくするという今の方針の中でできるだろうという認識です。

■岩田委員長
私もそこは理解できますが,診療報酬もいつまでも期待できる話ではないですよね。高収益でありながら材料費が高いとか,コスト高の体質は変わっていないわけです。そこら辺の手が見えない。
急性期医療の方向性は良いと思うんですが,それでいつまで黒字が続くのか。元気なときに体力を作る話が見えないといけないのではないでしょうか。

■木村委員
10年のスパンで考えるとそういうことだと思いますが,今後の数年は,この町の人口は減っても,構成比率から考えれば患者さんが減ることはないと思うんです。もう少し余裕ができれば,新しいところにいけると思います。余裕というのは,一つはマンパワーの余裕ですね。マンパワーが,今の仕事で目一杯のところに新しいことをやろうとすれば,虻蜂足らずになりかねない。ですから,まず2~3年じっくり黒字体質を作り,マンパワーを拡充しながら次の段階を目指すということになると考えます。一気に次の段階へというのは,なかなか進みづらい状況です。

■岩田委員長
新しい手を使われたのかとお聞きしたのは,収益源を他に求めるということをお聞きしたかったわけではありません。端的に言えば,ここ何年かずっと材料費はずっと一定の線なんですよね。そのあたりにまだまだ違う改善の手立てがあるのではないかと思いますが。

■木村委員
材料費は去年1回下がりました。下げてくださいと病院全体に話す作業をしました。病院全体の材料費の比率などは,資料を出して説明しましたけれども,各診療科ごとの細かい分析にはまだ手がつけられていません。今年の夏から,各診療科ごとに材料比率を出して,次にどういう材料を使っているかを調べて,その中でやむを得ない部分とそうでない部分を分ける作業を始めました。

■岩田委員長
それは大切なことだと思うんですが,使い方の話ですよね。もう一つ買い方のところをどういうふうにお考えでしょうか。材料の管理を委託されてデリバリーもやられていると思うんですが,経費がある一定のところから動かないのではないかと非常に気にしております。
というのは,相手方も商売ですから,もう一歩踏み込んでコストを見直すとか競合をやるとか,そうしないとたぶん何年たっても同じ数字がずっと続く可能性があると思います。

■木村委員
コントロールできる支出部分をまず削減しようと思っています。もちろん,買い方を見直すこともあるのでしょうが,なかなか難しいですね。

■岩田委員長
多少異論があるのは,渡島地域で人口が毎年何千人規模で下がっています。しばらくは高齢化で患者数が増えるかもしれませんが,急性期,救命救急にかかるような人が,これから先も高いレベルで維持できるかどうか,疑問を感じています。人口の減り方から言うと,常識的には患者が減る。一定に保つことはあり得ないと思うので,そこの数字の見方というのは別に検討いただければと思います。

■木村委員
3~5年のスパンは大丈夫だと思います。10年で考えるとちょっとつらいかもしれませんね。今のスピードでどんどん人口が減ると。3~5年の大丈夫と思われる期間内に,じっくり体力を付けることが一番の前提だと思うんです。

■岩田委員長
そこは同じ意見です。今しか体力を付ける時期はないと思います。親元が不如意なので繰入金が減ると思うんですけれども,あるレベルの医師を維持するためのお金が必要であるとか,そういう交渉もあってしかるべきかなという感じもしています。
今回の数字を見せていただいて,ある一定のところでの安定期に入っていると思いますが,国に金がないので診療報酬は来年下げてくると思います。そういう皆さん方の手に負えない要因はやむを得ないとすると,自分でできるところへどれだけ切り込むかということを考えていただかないと,どこかでtoo lateという話になるかと。
もう一つはですね,先ほど人件費の減少は,医師や看護師が予定より減ったという説明でしたが,改革プランを作ったときに,看護師さんをこういう数で増やしていきたいという目標があったと思うんですけれども,今日現在で目標に対してどういう状況にあるのでしょうか。

□相馬課長
予算で設定した人員数に対しての減ということでありまして,昨年よりは増えております。看護師の数につきましては,昨年度の改革プラン見直しで設定させていただきまして,当初のプランよりも増員した計画にしておりますが,実績については,当初のプランの数字よりは上回って推移しております。ドクターについては100人を150人に増やすというような設定はしておりません。

■岩田委員長
確かにドクターは取ろうと思って取れる話ではないので理解できます。
看護師については,看護学校で奨学制度を充実して実績をあげていますよね。実は大学で入学者を勧誘するために,北海道,東北,栃木県あたりまで行くのですが,そこで志望を聞きますと,看護,医療技師が多いです。そういう意味では皆さん方が取ろうとしている人材は,明らかに我々情報系の大学よりも多いので,うまい取り方をすればまだまだ大丈夫,確保できると思っています。
先ほど申し上げたかったのは,安定期に入って,どこかまだ手を付けなければならないというときに,材料費や経費については,かなり思い切ったことをおやりになる計画を立てないと,黒字が続いていかないのではないかということが私の意見です。

■伊藤委員
非常に鋭い観点で感心しておりました。私も多少質問したいと思います。材料費ですが,こちらのページと折れ線グラフのページで,なぜ材料費の数字が違うんでしょうか。

□相馬課長
執行計画の材料費には給食材料費と医療用消耗備品が入っておりますので,こちらの数字の方が大きくなっています。グラフの数字は純粋に薬品費と診療材料費の合計でございます。

■伊藤委員
わかりました。材料費の話は先ほども出ておりましたけれども,私ども民間の立場から言うと確かに高いと思いますね。先ほど木村院長仰ったことのほかに,カテーテルにしろ何にしろ非常に高くなっているんですね。そういう先端の医療品を使えば使うほど材料費比率は上がってくる。これは仕方がない。
ただ,民間と違って難しいところはあると思いますが,ここを押さえるということは岩田委員長おっしゃるように非常に重要なことだと思います。
それとほぼ去年と同じ成績ですよね。よく健闘なさっている方だと思います。
医者なり看護師なりのマンパワーと入院稼働率について,どこが正常かという判断ですが,我々民間は90%以上を目指すんです。函病は80%切れてますよね。

■木村委員
今は1病棟閉鎖しています。計算上,許可病床数が分母になっているので低いですが,実際は85%を超えるくらいです。ベッドの稼働率は去年とほとんど変わっていないと思います。

■伊藤委員
看護体制は何対何ですか。

■木村委員
7対1です。

■伊藤委員
去年も7対1ですが,更に濃くなっているんじゃないですか。

■木村委員
そうです。去年までは7対1をフルシーズンすべての病棟では取れなかったんです。今年初めてたぶん一般病棟全部で7対1が取れて,ICU,HCUの加算,本来取れるべき加算が1年間フルで取れる。ただ今年も全部取るために,例えば看護師さんの勤務で,この時期はあまり休まないでくれとかお願いしている状況です。
将来的には,5対1看護とかも検討されていますので,7対1に見合う看護師数がいるからそれで十分で,これ以上増やす必要がないという話にはならない。今のうちにマンパワーに投資しておかないと,そういう時代になったときに追いつかないということになる。まだまだ足りないと思っています。

■伊藤委員
わかりました。先ほど委員長が仰っていましたが,人口減少に伴う疾患数の減少についてです。すごく難しい。国では高齢者人口は65歳以上で出していた。今年65歳以上の前期高齢者と75歳以上の後期高齢者という分け方をしました。向こう5年くらいは,65歳以上は増えます。5年過ぎる頃から65歳以上の増加は平行で,右肩上がりになるのは75歳以上になります。その時75歳以上の高齢者の病気に対して,市立函館病院のような高度医療を目指している病院がどう対処するかは分からないですね。
いわゆる脳疾患だとか,がんの発生率を高齢者率と掛け合わせると患者数は当面減らないんです。問題は,高度医療が75歳以上の高齢者にどう対処するのか。60代だとがんは手術する。75歳以上になったときにどれだけ手術するのか,そこは難しい問題だと思います。影響は出てくると思います。

■木村委員
今,当院に見えられている患者さんで,75歳から80歳くらいで,高齢だから手術するのはやめようだとか積極的治療はやめようと言えば,烈火のごとく怒られます。10年後,経済が厳しくなって,お金がない時代になっていれば分かりませんけれども。今65歳くらいの方は,75歳以上の世代が手術をするのを見ています。自分たちが75歳以上になったときに,自分たちの世代はそういうことはしないと考えるでしょうか。そうはならないと思います。80代後半から90代になれば現在と違ってくる可能性はあると思います。将来,非常に貧しい地域になって,住んでいる人がみんなここまでしか治療しません,となればドラスティックに変わるかもしれませんが,そこは読めません。

■伊藤委員
TPPが医療に入ってくるかどうかで,お金がないと病院にかかれない時代になっているかもしれない。それは分からないですよね。

■木村委員
ただ75歳,80歳だから,先端医療をしないという選択をする人たちの割合が,今よりも極端に増えることはないと思うんですけれども。今の日本人の感覚から言うと。

■岩田委員長
その辺の読みをお聞きしたかった。周りを見ていると,確かに元気なんでいつまでも先端医療を受けたがる年代が上がってくることは確かです。逆にかなり早い時期から有料老人ホームに入って,そういうところは日々のケアが良い。介護施設にはお医者さんがついていますよね。そうすると市立函館病院に高齢者がどんどん救急車で来るのか。そこのところはどうなんですか。

■木村委員
どんどん来ない地域になればいいと思います。在宅医療等に関してはまだ十分でないと思います。在宅などをチョイスする人たちの受け皿もあって,いざとなれば救命救急センターにかかるという人たちがいて,選択肢が多いのがいい町だと思います。そういうリクエストに応えられる体制を市立函館病院は持っていなければいけないだろうということです。
私の感覚では,救急医療を受ける人が5年から10年のスパンでものすごく減るということはないと思います。

■岩田委員長
救命救急と高度医療に特化したときに,この病院の施設や必要経費がちゃんと賄えるのでしょうか。それと,先生仰るように,函館,または渡島全体の中での医療について言うと,高齢社会に対応する準備ができているか,と思っています。

■伊藤委員
市立病院という性格上,この地域の3次救急病院として最高度のものを目指さなきゃならないということと,底辺部分を拾わなきゃいけないという非常に幅広い医療を展開していかなきゃならない。無理な話なんですが,それを市民に求められているから市立病院は大変なんだと思います。

■木村委員
できる部分をはっきりさせたいと思います。何でもかんでもやろうとすると,結局何もできなくなってしまう。それが最悪だと思います。
そういう意味で,3次救急と一定程度の2次救急,それからがんを中心とした高度医療,あとは難病や多量のマンパワーが必要な分野ですね。そこに焦点を絞って,そこは民間では厳しいから市立病院がやる。で,今までやっていたことでもそれ以外の部分はちょっと手が回らない,その部分のサービスは低下するけれども理解して下さい,というつもりでやっています。それくらいのつもりでやらないと,何でもかんでもやろうとすると結果的に何もできないことと同じになってしまうという考えを持っています。

■伊藤委員
昔から,函館地区というのは,市立病院にすべてを求める傾向がほかの都市よりも強いと私は思っているんですよ。

■木村委員
全体としての医療サービスのうちの一部は低下せざるを得ないけれども,それは本来守るべきものを守るためだから,理解していただきたい。そういう周知を病院としてしっかりやらなければいけないと思っています。
それをやった上で,今までやっていたことをやらないのですか,という方が来ても,それはある程度ご理解してもらわなければ,結局本当にやらなければならないこともできなくなってしまうと説明します。そういうふうに考えています。

■岩田委員長
それを市民の方に理解してもらうことと,一般会計からの繰入に関わって,そういう役割の病院に対してどれだけ税負担を認めるかという市民のコンセンサスの問題があります。仮に市立病院の役割を特化した場合,赤字になるのか。あるいは逆に他の病院とのコラボレーションをしっかりして,お互いがハッピーになるような収益を上げるのか。何十億円という赤字にならなければいいのか。

■木村委員
基本的に赤字はダメです。毎年黒字じゃなきゃダメだと思っています。

■岩田委員長
わかりました。

■伊藤委員
大学病院とか日赤,国立は,2~3年前に改革がうまくいったんです。県立,市立病院については遅れている。ここのところが日本の医療の中で一番あやふやなところで,どこに原因があるか分かればもう少し改善策が出るのかもしれませんが,私自身もよく分からないんです。
先ほど委員長から話のあった,来年度は診療報酬が下がるだろうという話ですが,我々,今調べているんですが,野田総理大臣と小宮山厚生労働大臣は間違いなく上げるって言ったんですね。ところが1週間くらい前の新聞には,政府筋が下げると出ておりまして,よく分からないところです。
去年の診療報酬改定の実績で,大学病院が11%くらい,この辺の規模の病院だと8~10%増収になったというのは間違いないところで,国はここを守る気でいるんです。今までが大変だったので。ところが日本人の感覚として,10%も増収したら儲けすぎ,という意識が入ってくるんで,さっき言ったような複雑な話になる。厚生労働省なり国は間違いなくこういう高度医療の病院は守るために,そこは維持しようとしているように見えます。来年度の改定では間違いなく在宅の方に大きくシフトして,そっちに財源を持っていくのも間違いないです。日本医師会としては,中小病院と医院,今回の改定では全国平均で各医院の年収にして150~180万円の減収だったので,その部分を取り戻す運動をしています。複雑ですので,こういう病院ではそんなに下がることはないような気がしているんです。

■岩田委員長
あらゆる可能性を検討しながら,体質を強化していかないといけない。診療報酬引き上げという神風ばかり期待してもしょうがないと思います。

■藤原委員
人口の問題が盛んに言われておりますけれども,道南地域,函館中心部の人口に対して,函館市内にある病院数はどうなんでしょうか。まだ余裕があるものなんでしょうか。

■伊藤委員
函館はベッドはいっぱいあります。

■木村委員
全体でまとめて割り算になるとそうなると思いますが,実際の病院の状況はパンパンなので,それほど全国平均に比べてゆったり,という状況ではありません。
もう一つは南渡島の中だけで見ればそうなのかもしれませんけれども,3次医療圏全体としてみると,江差の方などがずいぶん厳しくなっているので,こちらに患者さんが入ってきている。そうすると,こちらの人口から考えて十分であっても,南檜山,北渡島檜山の2つの2次医療圏が非常にしんどいので,かなりの数の患者さんが函館に来ていることを考えると,それほど余裕があるわけでもない。

■藤原委員
新幹線の駅ができた時に,患者さんが例えば仙台とかに流れていくことによる患者数の減少は考えられないでしょうか。

■木村委員
仙台から患者が来る,そういうつもりでやらないと,たぶん太刀打ちできないと思います。

■岩田委員長
ストロー効果ですね。どっちが吸われるか。

■木村委員
その時点でここから流出することになると,たぶんやっていけないだろうと思います。近くなったんだから,うちの病院だけでなく,函館に患者が来るというような,一定レベル以上の医療都市になっていないと,厳しいだろうと思っています。

■藤原委員
もう1点だけ。先ほど委員長から材料費の話があったんですけれども,材料を仕入れるとき,単価をどういうふうに決めるものなのでしょうか。

□相馬課長
薬品の単価の設定なんですけれども,いわゆるメーカーがありまして,卸業者さんがあり,医療機関があります。我々医療機関は卸から薬品を仕入れるわけですけれども,函館病院の場合ですと,薬品の品目数は2,800品目くらいあり,その一つ一つの値段を見積で競争させて,最低見積額の業者と価格交渉をして,納入単価を決定していくというような流れでございます。

■藤原委員
何社からか見積もりを取るということですね。

□相馬課長
はい。すべての卸業者さんからです。

■岩田委員長
22年度の決算報告のところの材料費を見せていただきますと,薬品費が24億円,診療材料費が約16億円,委託料が約15億円と半端な金額じゃないですよね。1品1品本当に競合見積をやったら,私の経験ではもっと価格変動する。前に私がいた会社は2万点ぐらいの部品を買うんですが,下がるんです。下げ方は2つありまして,今年度は各部門1%下げろという指示を経営者が出したんですよ。1%くらいは揺すると出るんですけれども,1%以上は下げないんです。そこでバイヤーを使って1点1点本当に比較をしたら下がったんです。
そういうことが医療でできるかどうか分かりませんが,材料費の推移を見ていると,ずっと一定というのは気になります。

□相馬課長
材料費比率のパーセンテージなんですけれども,ここ5年間の推移で,平成18年度は33.33%,以降32.25%,32.65%,32.43%,昨年が28.22%ということです。今年上期が29.95%ですので,この数字が動いていないとは思っていません。分母の部分が薬品であれば25億円,材料費であれば16億円,合計して41億円の分母ですので,単純に1%で4,100万円の効果が出る部分なので,同じような数字に見えますけれども,億単位で跳ね返って推移しているということでございます。

■岩田委員長
努力されていないとは言っていない。ある程度努力を積んでくると,さらに踏み込まないと,診療報酬が下がったらまた苦しくなる。さあ来いという体制を作ることも必要だと思います。そういう感想です。

■伊藤委員
難しい問題です。例えば日本はアメリカから非常に高い買い物をさせられています。ですから国内メーカーの利ざやというものがあるのかもしれません。ベースをなかなか下げようとはしませんね。
先生が仰るような手法も可能です。事業仕分けじゃないですが,大胆な手を打たないと,我々民間でも難しいです。

■岩田委員長
そこまで一度踏み込む覚悟でやってみてはどうか,という気がしますけれども。
話が違うんですけれども,タイで水害が起こって,トヨタも日産もホンダもみんなタイからアメリカに輸出していて,日本を経由していないことが明らかになった。薬品の世界でも医療の世界でも,車の世界でも,それが当たり前だと思っているところから一歩踏み込んで,実はもっと安くする手があるかもしれない,という発想を持った方が良いと思っているんです。

■秋本委員
TPPの問題が騒がしいんですけれども,実施に移った場合,函病クラスの病院ではどういうことになるのか。すごく怖いことが報道されているんですけれども。

■伊藤委員
病院の取るスタンスは基本的に変わらないと思います。TPPが入って一番懸念されるのは,秋本さんお住まいになっている南茅部とかに,アメリカの民間病院あたりが医者や看護師の優秀なのを連れてきて,病院を経営しますと言って,函館市から切り離すとします。やがて,やっぱり南茅部は流行らないから止めて,同一医療圏内なので病院ごと函館市内に移設する,ということが可能になります。そうすると地域に病院がなくなります。こういうことが起こりうる。
それともう一つは,1回あたり300万円かかる粒子線のがんの治療があります。今は健康保険が認められていませんが,そのほかの治療は認められています。混合診療はダメなんですが,先端医療に関しては認めてきた。これが間違いなく拡大します。国も健康保険にかけるお金がないから,どんどんそういうのを認めていく。するとどうなるか。1,000万円ある人はがん治療を受けられるが,ない人は受けられないということが5年後,10年後には起こりうる。
医療に関しての良いことは,例えば医者や看護師の人材が入ってくる可能性があります。皆さんが外国人の看護師や医者に診てもらうということですね。そういう医療人口が流入してくることは間違いないので,これは良いことじゃないでしょうか。一説にはものが高くなると言いますが,これは岩田委員長が言われるような競争原理で,逆に下がってくると期待しています。
総じて言うと,今の国民皆保険制度の中で,全ての人々が同じ高度な医療を受けられるというのが日本ですが,それは崩れることになるでしょう。それに対して国民が良いと思うか,思わないか,そこのコンセンサスが得られないうちは非常に危険かなと思います。

■秋本委員
もう一点。起債が発行できるような体質になるのは,どういうスケジュールなんでしょうか。

□相馬課長
企業債発行の条件ということですよね。前回の委員会でお示ししたとおりですが,基本的に不良債務比率が10%を下回っていないと起債を発行できません。10%未満をクリアすると,起債発行の同意が得られるということになっております。平成22年度決算での不良債務比率は,24.9%でございます。

■岩田委員長
去年の終わり頃,何年度からは可能という予測が出ていたと思いましたが。

□相馬課長
平成22年度の実績を踏まえて,23年度以降,市から改革プランどおりの繰入金が入ると,不良債務比率は23年度で16.3%,24年度で9.9%というふうに推移するだろうと。今,一般会計との協議の中で,10月に中期の財政見通しを一般会計サイドの方でお示ししました。その中で,一部病院事業に対する繰出金についての見直しも含まれておりますので,前回委員会でお示しした数字が大きく変動する要素がございます。おって市議会の方に予算としてまとめた段階でお示しすることになると思います。

■秋本委員
6月の会議の時に,事務局の方から9月には決算書が出せると言われました。評価委員会でもバランスシートの内容についても説明しますというような発言になっていると思うんですけれども,見れば分かるところと分からないところがたくさんあります。
特に交付税の関係だとか,一般会計からの繰入ですね,どういう内容になっているか,バランスシートの説明がなければわかりづらい。決算書についてなぜ議題にならないかお聞きしたいんですけれども。

□相馬課長
決算書については,前回の委員会で秋本委員からお尋ねがありまして,私からお答えしたとおりでございます。9月の市議会で決算認定されましたので,各委員の皆様にはそれぞれ決算書を郵送させていただきました。
一般会計からの繰入金の内容につきましては,昨年,改革プランの見直しに係る当委員会の中で繰入金の項目ごとに内容と数字をお示ししてご説明したということもございましたので,そういった部分で秋本委員には,もし決算の部分で不明な点があれば,今回の委員会の中でお尋ねいただきたいと思っております。

■秋本委員
そういうことでしたら。

■岩田委員長
この委員会は決算の詳細をチェックする委員会ではないので,ポイントを絞って不明な点を聞いていただくか,事前に質問を出してもらった方が良いのではないかと思います。税理士さんなど専門の方が詳細な決算内容を精査する会ではないと私は思っております。うまい方法があればすりあわせをしたいんですが。

■秋本委員
細かいことを言っているように聞こえるでしょうけれども,私は情報を透明化していただいて,可視化したもので発言したいこと,提案したいこと,心配していることがあるわけです。
地方公営企業法の会計決算も間違いなくされておりますが,この会計の特質で資本勘定のやり方が特殊です。民間の企業会計的に私は見たいんです。民間的な基準による修正財務諸表を作っていると思いますけれども,そういう経営の面から研究されているのかということです。
何点か言いますと,売掛金,未収金で不良債権分をマイナスするとか,土地を実勢評価額で見るとか,退職給付引当金を計上するとかして,企業会計的に見た場合に,どういう経営体質であるかということをもっと知りたいと思うんです。それによって私どもの意見を出す場面があるんじゃないかと。

■渡辺委員
総務省が,今地方公営企業の会計制度の見直しをしていて,その中で退職給付引当金の計上ですとか,秋本委員がおっしゃるような改正をしようとしています。この冬から何年かかけて改正されていきますので,その動向も見て下さいと前回の評価委員会などでも申し上げていたところです。
秋本委員の仰っているような修正財務諸表は作っておりません。これからの国の改正にきちんと対応していこうと考えています。

■秋本委員
わかりました。作るべきだと思いますよ。

■伊藤委員
公営企業は違うので,私も分からないところがある。制度が違うのでどうしようもないのかなとも思っています。

■岩田委員長
ということでちょっと遅くなりましたが,今日の会議を終わりたいと思います。先ほどの半期に一度というお話しがありましたが,時期は半年先なので,今ここで何日という話じゃないんですが,おおよそ何月頃になりますか。

□相馬課長
決算となれば来年度4月,5月という話になるのですが,その前にもし今の一般会計,市全体の予算組みの中で,病院事業に大きく関わってくるような部分があれば,また委員長の方にその都度ご相談申し上げたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

■岩田委員長
ではその日程についてはもう少し預からせていただくということでよろしいでしょうか。では今日はこれで終わりました。長い間ありがとうございました。

□秋元次長
ありがとうございました。以上をもちまして本日の委員会を終了いたします。委員長からもお話しがありましたが,次回の開催日につきましては,改めて日程調整させていただきますのでよろしくお願いします。本日は誠にありがとうございました。

3.閉会



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