病院局トップ病院事業経営改革評価委員会開催状況>H29第1回議事概要

平成29年度 第1回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要


■日時:平成29年6月20日(火) 17:00~18:40
■場所:市立函館病院 精神病棟1階東デイルーム
■出席者:鎌田委員長,伊藤委員,高橋委員,斉藤委員,熊谷委員
吉川委員,木村委員,泉山委員,加藤委員,藤田委員
■事務局:桐澤管理部次長,大島函館病院事務局長,熊木経理課長,野呂医事課長,船木医療情報企画課長,福井恵山病院事務長,佐藤南茅部病院事務長

1.開 会

□熊木経理課長
 本日は,お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。私は病院局管理部経理課の熊木でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは定刻となりましたので,平成29年度第1回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。
 本日は,平成29年度になってはじめての委員会の開催となりますが,皆様ご承知のとおり,去る4月20日に岩田委員長がお亡くなりになられました。
 故岩田委員長におかれましては,平成20年6月からこの委員会の前身であります「函館市病院事業改革プラン策定懇話会」から座長としてご出席いただき,数々の貴重なご意見をいただきました。ここで会議に先立ち故岩田委員長に哀悼の意を表し,黙とうを捧げたいと存じます。
皆様,ご起立願います。黙とう。
 黙とうを終わります。どうぞご着席ください。ありがとうございました。
 それでは,お手元に委員名簿を配付しておりますが,今回の会議から高橋委員が新たに委員に加わります。高橋委員はNTTドコモマルチメディア研究所モバイルインターネット研究室長などを経られ,未来大学システム情報科学部教授に就任。その後,副理事長として大学法人の運営に尽力され,現在は名誉教授,特任教授としてご活躍されております。高橋委員から一言ごあいさつをお願いいたします。

■高橋委員
 ご紹介ありがとうございます。高橋です。私,昨年の3月に退職しまして,今紹介していただいたとおり特任教授として研究活動は継続しております。大学にはまだ研究室がありまして,細々と継続している状況です。通信会社におりましたので通信系,今の言葉で言うとIOT,あるいはセキュリティ,システム系のことは大体分かるので,そういったことを専門にしておりました。病院関係は全く疎遠でして,年に1回健康診断でお医者さんと接することがせいぜいの接点でございまして,5年に1回くらい風邪をひいてお世話になったりするんですが,病院に関して疎くて,素人でございますが,勉強していきたいと思いますので,どうぞ皆様よろしくお願いいたします。

□熊木経理課長
 どうもありがとうございました。
 また,事務局にも人事異動で交代があります。

[桐澤管理部次長,大島函館病院事務局長,熊木経理課長を紹介]

 それではさっそく議事に入らせていただきます。
 お手元に,当委員会の設置要綱を配付しておりますが,第3条にございます,当委員会を主宰する委員長を選任したいと存じます。委員長の選出につきましては,委員の互選により定めることとされておりますが,皆様から何かご提案はございますでしょうか。

■藤田委員
 よろしければ私から発言をさせていただきたいと存じます。この委員会の設置当初から委員としてご尽力いただいてございます鎌田委員に委員長をお願いしたいと存じますがいかがでございましょうか。

(委員より「異議なし」)

□熊木経理課長
 鎌田委員はいかがでしょうか。

■鎌田委員
 皆様からそういうことでありましたら。

□熊木課長
 それでは当委員会の委員長は,鎌田委員にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 なお,鎌田委員には委員長席へお移りいただき,これからの議事進行をお願いしたいと存じます。

■鎌田委員長
 只今ご指名にあずかりました鎌田でございます。岩田先生が突然あのようなことでお亡くなりになられまして,本当にショックでおりました。また,この委員会にとっても大変大きな事であったかと思いますが,さらに,岩田先生のような方の後の席を引き継ぐということになりまして本当に恐縮しております。まずは,できることを必死でやって,少しでも役に立つ委員会になればと思っております。皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
 なによりも,こういった委員会ですと率直かつ活発に皆様のご意見が出るということが一番大事なことだろうと思いますので,重ねてお願いしたいと思います。


2,議 事

■鎌田委員長
 本日,今年度の第1回目の委員会ということになりますが,議題は一つだけでございます。平成28年度函館市病院事業の経営実績についてということでございます。
 恐縮ですが私のほうから諸先生方,諸先輩方,恒例によりまして委員ということで呼称させていただきます。失礼をお許しください。
 では,事務局のほうからご説明をお願いします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
・平成28年度函館市病院事業の経営実績

■鎌田委員長
 ありがとうございました。早口でご説明いただきましたが,まずはここまでのところで委員の皆様からご質問ございませんでしょうか。お願いします。

■熊谷委員
 全体の説明からですが,収益がマイナスになった原因を述べておられましたけれども,これについて,12ページの後発薬品の採用が増えているという説明がございます。一生懸命努力して,なおかつ医薬品の薬価が下げられると当然収入は減になるわけですよね。そこが病院側としてどのように対応していくか,努力していくのかというのをお聞きしたいのですが。

■木村委員
 薬は収入になりますが支出にもなり,その差はそれほど大きなものではありません。支出が減った分収入ももちろん減っているわけですが,昨年度の収益減に関して言えば,去年の目標とした入院件数11,850件に対し実績11,220件ですから630件入院件数が少なかった,これが最大の要因です。この内,3分の2から4分の3くらいは医者が減ったので診られなかった分,残りが他の病院に患者さんがシフトしたものと考えています。630件という数字は1入院約100万円ですから,収入が6億5千万円少ないということです。赤字が10億くらいですから,10億のうちの6億5千万円の収入はその分になります。支出の削減があと2~3億足りなかったと分と,もう一つ,全く別の問題として,28年度の診療報酬改定でおおよそ2億円くらい収入が減していると推定されますから,基本的には入院件数の減でほとんどの説明がつくと考えています。入院件数を回復させられれば収支トントンまでは持っていけると考えています。細かい点,こういうところでこう削ってというのはありますが,基本線はそこだと思います。

■熊谷委員
 今の木村委員の説明は理解致しますけれども,片や後発品の値段の安い薬を採用する,推奨していきますよという,患者さんにはいいですよね。しかしながら,総収入は当然減額になるわけですよね。木村委員もおっしゃる中には,その分入院患者が増えてくれればある程度ペイできるということでしたけれども,果たしてそうなるかということですよね。

■木村委員
 ジェネリックを使うと総収入は減りますが支出も減ります。ジェネリックの代わりに先発の高い薬を使ったからといって,収入が増えたとしても支出も増えますし,入院で使う薬は現在ほとんど診療報酬上請求できません。高い薬を使ったから収益に良いということは今の時点では殆どありません。逆にジェネリックを使ったほうが収益の面からいっても良いことになります。

■熊谷委員
 函館病院は率先して取り組んでいますけれども,恵山病院,南茅部病院も函館病院の方針にある程度沿った形の中でジェネリックを採用していくという方向でよろしいですか。

■泉山委員
 恵山病院では,入院患者さんについては木村委員がおっしゃったとおり包括ですので, 100%近くジェネリックを使用しております。

■加藤委員
 南茅部は包括ではなく出来高になっていますので,うちの場合はジェネリックを使うと赤字が増えます。病院ごとに違います。
 今,オーソライズドジェネリックといいまして,先発とほとんど同じようなジェネリックが出て来ており,そちらの方が安全性が高いということで最近はそういうジェネリックは採用するようにしております。

■鎌田委員
 あえてジェネリックは使わないと。

■加藤委員
 患者さんの希望,どうですかと聞いて使っています。

■鎌田委員
 他にご質問はございませんでしょうか。
 では,木村委員から今年度の決算について粗々ご説明がありましたが,改めまして,新改革プランの1年度目が28年度の決算でございます。木村委員,今回の決算について数字の報告がありましたらその背景を含めてお話しください。

■木村委員
 基本は,人口が減っても高齢化が進んでいますから,患者さんは地域にはいらっしゃる。いつも岩田前委員長に指摘されていましたが,少なくとも2025年まで患者さんはいることになっています。受診の抑制はかかるかもしれませんが,当院が対象としている高度急性期・急性期の病気というのは,我慢して済ませられる病気ではありません。我慢できないような病気を対象としている病院ですから患者さんは存在します。その患者さんが当院に来られるか来られないかということが一番の大筋だと思います。当院側にその患者さんを引き受ける人的,設備を含めたキャパがあるかという点で,去年はかなり落ち込んだ状況でした。

■鎌田委員
 入院待ちとかどんなイメージですか。

■木村委員
 医師数が減っていたわけですから,診られる患者さんの数に限界があった。今年度に関しては,医師数はある程度戻りました。去年は11,850件が目標でしたが,それを受け入れるキャパが無かったかもしれない。今年は12,000件を目標にしていますが,当院側のキャパは回復した。医師数が減った診療科は戻りました,新たに増えた診療科もあります。そして,看護師も他のスタッフも少なくともそれだけの患者さんを診られるスタッフの数を揃えてあります。医療器械,設備もちゃんとあります。運用病床数の制限はしていますが,通常の急性期病院の稼働率の95~6%で回すことができれば対応できるベッド数は用意してあります。ですから,今年度に関して言えば,地域に存在する患者さんが当院に来られるか,患者さんが当院を選択するか,そこにかかっていると思います。

■鎌田委員長
 今は入院待ちとかありますか。

■木村委員
 待ちの期間は,診療科によって長い短いはあります。今当院は一般診療科が約480床くらいで回していて,平均在院日数が13日を切っていて,1日の患者数が平均で460人くらい,稼働率95~6%で回っています。

■鎌田委員長
 休床を引いたあとで。

■木村委員
 実際の運用病床です。先程目標で言った1月1,000件,1年12,000件という入院件数を平均在院日数13日で回すと稼働率が96%くらいで一日平均460人くらいになります。ちょっと厳しいですが,もう少し平均在院日数が短縮できれば今の運用病床数で安定してまわせます。できればあと数床増やせればと思っています。あとは患者さんが当院を選択してくれるかどうかということで,それで今年度は決まると考えています。少なくとも医者が減ったから患者さんが減りましたというようなことは全く言えなくなりました。

■鎌田委員長
 ありがとうございました。色々ご意見があると思いますが,とりあえず泉山委員,数字の背景についてご説明をお願いします。

■泉山委員
 恵山病院ですが,やはり人口が少なくなっているせいか,外来も入院患者さんも減っています。
それから,時間外のウォークインの患者さん,あるいは救急車で来られる患者さんも減ってきています。その中で,透析ですけれども,透析の器械が8台あって1日2クールにすると16人。月・水・金を基本にして16人,火・木・土は午前中だけを目標にして8人,最高24人ということで,今まで16人を基本としていたんですけれども,火・木・土もやろうということで患者さんを受け入れていて,現在は23人。全ての患者さんが減っている中で透析の患者さんだけが増えてきたの
は,恵山病院で透析をやっている,入院も外来もやっているという,患者さんの中で,あるいは地域の中で周知されてきたお陰なのかと思っています。

■鎌田委員長
 入院で透析をやっているのは恵山病院だけですか。

■泉山委員
 今は入院13人,外来10人です。入院患者さんというのは,外来透析が出来なくなった患者さんで,つまり状態の悪い方が非常に多くて。中には元気になって転院されていく方もおられますけど,ほとんどの方は恵山病院で看取るということになるので,比較的入院患者さんの回転はどうしても速くなるんですね。外来患者さんは何ヶ月とか何年というスパンで通ってくれるんですけど。

■鎌田委員長
 恵山病院は入院で透析できますという評判を聞いたものですから伺ってみました。

■泉山委員
 市内に入院透析の施設が段々少なくなっている。やめたところもあります。こういう患者さんを受け入れていますので,恵山病院の収益の柱は透析になりつつあるのかなというふうに思っています。

■鎌田委員長
 委員の方,ご意見があれば。
 では加藤委員。

■加藤委員
 南茅部病院ですが,人口が6,500人を切っておりまして,外来数はほとんど横ばいで,人口が減っていますけども高齢者はあまり減っていませんので,外来を含め入院患者さんは高齢者で,心不全で水が溜まったり,あるいは誤嚥性肺炎とかそういう患者さんはこれからもあまり減ることはないと思います。ただ,肺炎がいつおこるかという問題で,多少増減がありますけれども22~25人くらいが平均で,今日も一般の入院患者が24人,療養が12名で,今後も患者さんは推移していくのではないかと思います。
 それから,前回の委員会でお話しした座談会をやりまして,8箇所あるうち5箇所でやりまして,色んな意見というか,座談会なのでかなりストレートに色んな事を言われました。その中で大変色々参考になったことがあり,ちょっとだけ紹介します。20数年前にいた看護師さんの実名を入れて,あの人にこういうことを言われたからこの病院に行きたくないと。患者さんは1回でもそういうことがあると受診しないということがあるんだなと。その方はたまたま何日か前から熱を出していて,夜中に来たので「どうして今頃来たんだい」という,もっと早く来ればいいというつもりでしたけれども,「何で今きたんだ」と受け止めており,我々医療者,看護師も含めて言葉に気をつけないと,色んな良い医療をしても嫌われてしまうと,そういうことを大変反省しました。
 それから色んな希望を聞きまして,十数年前に予約制にしようとしましたが,外来の患者さんは高齢者で,最近は朝の4時半とか5時から来ていますから,そういう方が外来が始まる9時くらいまでに30~40人たまっています。予約といっても,待っている人達から不満が出て,それで予約が出来ないということです。どうしようかということで,最近は一度受付をしてから一回抜けて11時くらいに来てくださいとか,違う予約ですけれども,そういう形で何人か来るようになっています。

■鎌田委員長
 外来の患者さんはやっぱり高齢者の方が多いんですか

■加藤委員
 そうですね。

■鎌田委員長
 外来の患者さんの年齢別のデータなんていうのはございますか。

■加藤委員
 外来の年齢はありませんが,入院患者は,一般で86歳とか,療養が88歳とかで,ほとんど変わりません。

■鎌田委員長
 入院に高齢の方が多いのは分かるのですが,外来も高齢の方が多いのは特色かなと。

■加藤委員
 若い方はインフルエンザとかの時期は別ですけど,皆さん慢性疾患ですので。

■鎌田委員長
 ありがとうございます。
 事務局に私の方から確認ですが,恵山病院と南茅部病院については28年度の繰入で過去の累積の資金不足の分は補てんしたと,プラスマイナスゼロに戻ったと。それから,今後も当年度の資金不足の分は繰入で補っていくという方針であると伺っておりますが,ご確認をお願いします。

□熊木経理課長
 委員長のおっしゃるとおりです。

■鎌田委員長
 そうしますと,とりあえず恵山病院と南茅部病院については赤字だの黒字だの,資金不足比率がどうしたこうしたという心配は当面いらなくなったということでしょうかね。ただ,その分どういう病院として地域にあり続けるのか,効率的に経営されているのかということをまじめに議論しないと,決算したら毎年ゼロになると。これは私の方からの提案ですが,補てんのための特別の繰入金と基準で算定した繰入金が分かるようにご報告をした方が良いのではないかと思いますので検討してください。
 あとは皆様からご意見の方はいかがでしょうか。一通り各委員の院長先生方から背景を含めてご説明いただきましたが,いかがでしょうか。
 木村委員,私の方からいいでしょうか。今回は医業収益,売上げがかなり下がったと,入院が前年に比べて4億下がったと,外来が減ったというのもあるのですが,外来が減ったのは以前委員会で外来に回している人材を入院にシフトさせて入院収益を充実させようというお話があったと記憶していますが,意図的な,狙ったとおりというのはあるんですか。

■木村委員
 外来は,患者数を減らして収益は上げようというのが目標です。DPCという仕組みでは,入院での検査とか投薬はほとんど収入になりません。外来で出来る検査はたくさんありますが,患者さんからみれば入院して検査した方が楽なわけです。もう一回外来で検査してから入院してくださいと言っても,患者さんからみれば早く入院したい。病院からみれば,入院をして検査をすれば収入になりませんし,薬を使えば持ち出しになります。我々としては外来で検査をしたい。
だけど患者さんの負担は増えます。患者さんはもちろん好みません。
 一部の外来の患者さん,風邪だったり,いわゆる慢性疾患の患者さんは,かかりつけの開業医の先生にお願いして,患者さんの数を減らしたい。そして,今入院でやっていることでも外来で出来ることは外来でやって,入院は入院でしかできないことをやりたい。そうすることによって,在院日数の短縮をはかりたいと考えています。患者さんからみれば,1回余分に手間がかかる,費用もかかるということもあって,なかなか外来に移行するという面が進んでいない。外来患者さんの数は一日900人くらいまで減らしたいと思っているのですが,かかりつけ医への移行もまだ十分でなく実現できていない。単価は下がっているくらいです。
 外来は費用がかかるところで,入院で1万円の売上げを上げたときの収益と外来で1万円売り上げたときの収益では圧倒的に入院の方が良い。ですから,収益という面からいえば,入院でどうやって収益を上げるかということを考えるしかない。外来をどんなに上手くやっても,入院が出来なければどうしようもない。そう考えています。

■鎌田委員長
 外来の収益が減ったのは意図的に減らしたわけではないと。人数が減ってしまったということですか。

■木村委員
 患者数は減っていませんが,一回単価が上がらず,結果として減ったということです。

■鎌田委員長
 問題は入院の方の収益なんですが,先程医師が足りないとおっしゃいましたけども,足りなかったんですか。

■木村委員
 去年の会でも報告していると思いますが,麻酔科医師が年度初めから減員されたこと,年度途中の6月くらいから予定外の内科系の先生が2人退職したこと,また,中堅から上の先生が退職して若い先生が来られたというような事がありました。2人しかいない診療科の医師が1人になるのは大変だと皆さんすぐ分かりますが,6人7人医者がいる科でも1人減ればやはり入院の患者さんは10人程度減るし,外来も減ってきます。診療が出来なくて大騒ぎにはなりませんが,患者が減って収入が減ることになります。

■鎌田委員長
 ありがとうございます。入院の件数が減ったと。ここは木村委員に確認させていただいていいですか。入院で儲かるのは手術や大きな検査の部分であると。入院患者がいて,手術や検査があってそれで入院収益が出てくるということですね。ですから重要な指標というのは入院件数であって,入院日数ではないという理解でよろしいですか。

■木村委員
 私はそう理解しています。そう考えて病院を運営しています。

■鎌田委員長
 伊藤委員いかがでしょう。伊藤委員は以前から稼働率ということをおっしゃっていますが。

■伊藤委員
 木村委員のいうことももっともだと思うし,一番いいのは稼働率が下がらないで在院日数が短くなるのがたぶん一番効率がいい。

■木村委員
 今年になってからの稼働でいうと約480床運用で93%前後で来ています。4月からで94%くらいです。

■伊藤委員
 資料にある85%だったというのは。

■木村委員
 これは,分母が運用病床472床で28年度は85.2%です。

■伊藤委員
 これと同じ基準で95%ということですか。

■木村委員
 そうです。

■伊藤委員
 それはすごいじゃない。

■木村委員
 5月は1,000件以上入院しています。4月は少なかったですが。

■伊藤委員
 前から言っているとおり,稼働率が問題だったので,同じ基準で95%回っているというのは急性期病院においてはこれ以上働けといっても無理ですよ。

■木村委員
 入院件数が1,000件あって,平均在院日数を12日くらいまで短縮して,稼働率が91%くらいになる方がいいだろうと私は思っています。それ以上の患者さんがいるのなら現在の472床では無理です。510床くらい迄増床しないとこれ以上入院件数は増やせない。あとは,それぞれの診療科,例えば整形なら整形の入院患者さんがどういう治療を必とする入院件数なのか,手術の件数が増えるとか,大きな処置の件数が増えての1,000件なのか,そうじゃない1,000件なのかとい
うのが次に出てくる話です。

■鎌田委員長
 そこら辺については伊藤委員,以前7万円だとか7万5千円だとか十分なものじゃないかとおっしゃってましたが。

■伊藤委員
 結果的に病床稼働率が上がったことは極端に注文の付け所が無いんじゃないか。経営という観点から言うと。

■木村委員
 ただ,それは収入の問題であって収益の問題ではないですから,収益はコストをどうやって減らすか,その努力がまだ十分でないということがあります。いくら稼いでも使うだけ使ってしまえば残りませんから,あとはそういう問題だと思います。少なくとも稼ぐ分に関してこれ以上稼げというのは,今のベッド数では中々厳しいかなと思います。

■伊藤委員
 もちろんそうですね。経営改善の方法で,共同方式で買うとかここ2年くらい努力してこられていますから,いいんじゃないでしょうかね。

■鎌田委員長
 材料費も今回5億下がったんですね。

■木村委員
 この5億は,前の年に非常に高額な薬剤があったという影響もあります。ただ,事務方から報告がありましたが,高額な薬剤を除いても比率で1%くらい下がっています。28年度は薬価改定で下がった分もあるので,全部が我々の努力ではありませんが,ある程度努力は反映していると思います。

■鎌田委員長
 木村委員から,収益はいいとしてコストだという話がありましたが,休床分を引いた上で95%というのはすごいんですよね。逆に言うと,休床した分のコストがあまり減っていませんよね。
そこのところは後でお伺いしようと思っているのですが,休床して95%の稼働率で何年も前から言っていた月1,000件,これが達成できたらパラダイスじゃないですか。

■木村委員
 次は1,000件の中味です。今年度は,月1,000件の入院で1入院101万円という予算を立てています。1入院101万円であればなるべく在院日数は短い方が良いわけですし,手術とかが多ければそうなります。ただ,大きな処置等がない人で1入院101万円というのは,20日とか入院していないとそうならない。1日7万円で101万円ということは14.5日です。7万5千円で13日ちょっとで101万円になるという計算ですから,短期間で大きな治療をして一定の収益が上がる患者さんが1,000人の内どのくらいいらっしゃるか,という問題になってきます。

■鎌田委員長
 総務省の公営企業年鑑という物があるんですね。自治体病院の決算データを集めたものが。それで見ると,500床以上の自治体病院の入院の平均が69,032円。

■木村委員
 当院は機能としては非常にハイクオリティだと,胸を張って私は思っています。救急であろうが,がんの部分であろうが,あるいは循環器のカテーテルの部分だろうが,クオリティの高い治療をして成績もそれなりに良いと考えています。診療単価もある程度高くなっています。ただ,そのために投入しなければいけないコストが上回っている点が問題になるのだと思います。標準が69,000円ということですが,我々のところは7万何千円あっても,そのためにコストもかけて
いるということです。

■鎌田委員長
 今の勢いで,稼働率が高い状況,入院・手術が良い状況で70,000円を維持できればおのずと損益は改善してくるんじゃないですか。

■木村委員
 入院件数だけでなく,委員長がおっしゃったような7万何千円を維持できる状況。1日単価×入院日数で1回の入院収入が決まるわけですから,例えば101万円取るためには1日単価が100,000円以上のケースは10日いればいいわけです。実際には40,000円くらいの患者さんもいるし,150,000円
くらいの患者さんもいらっしゃるわけで,その分布がどうなっていくかが問題と考えています。
ある程度治療が落ち着いたところで回復期の病院にしっかり転院してもらう事が出来るかという問題もあります。患者さんの状態がある程度落ち着いてくれば,当院からみれば収益も減ってくる。ただし,単価が安くてもその時点で病院がガラガラであればいてもらった方が収益的には良いわけです。稼働率90何%で混んでいて次の患者さんがいらっしゃるのであれば,ある程度落ち着いて単価が下がった患者さんは転院してもらわないと収益という点でも回らなくなります。そこのバランスだと思います。ただ,動くのが難しい患者さんもいらっしゃいます。家の環境だとか生活の環境だとか,家族の状況だとかで当院で最後まで診るのがいいだろう,転院は無理だろうという患者さんも一定程度必ず出て来ます。自治体病院としてそれを経営の許す許容範囲の中でやりながらバランスを取りたいと考えています。

■鎌田委員長
 今回,平均在院日数も短くなっているんですよね。

■木村委員
 今ちょうど13日くらいです。

■鎌田委員
 番外の質問で恐縮ですが,今まで入院件数を増やすということと,平均在院日数を減らすということがペアになって木村委員から伺っていたような気がするのですが,これは今の状況で14日とか15日を13日に減らせば報酬単価が増えるということですか。それともキャパシティの問題ですか。

■木村委員
 難しい問題がたくさんありますが,どんな患者さんでもいらっしゃれば収入が発生します。病院のスタッフの数は決まっていますから,患者さんが増えたから余分にスタッフを雇うわけではありません。ある程度落ちついた状態になった患者さんでも,ベッドに余裕がある時は入院していれば一定の収入にはなります。先ほどもお話ししましたが。病院の収益だけを考えれば稼働率が低い状況であればいてもらった方がいいことになります。ただ,これが90%を超えたような状
態の時には,そこが回転の負担になります。
 もう一つは,国の方針,地域医療構想等現在色々進められていますが,役割分担を徹底しなさいという方向性がどんどん強くなってきています。市立函館病院の役割は何ですかといったときに,それは急性期の治療をする病院である。回復期や慢性期になった患者さんの,例えばリハビリだとかまで当院でやるのではなくて,それは地域の施設と連携してやってくださいというのが今の国のスタンスです。それに応じてやるためには,少しくらいベッドが余っていても移るべき
人は移ってくださいというのが当然のスジになりますから,その兼ね合いでやっていかざるをえない。

■鎌田委員長
 すいません,私の質問の仕方が良くなかった。キャパと言ったのはベッドじゃなくて人員の事です。特にコメディカル関係の。

■木村委員
 人員は,急性期の患者さんがメインであればちょうどいいくらいだと思います。手のかからない患者さんがもっと多くなればオーバーです。もっと急性期の患者さんだけになれば足りないと思います。

■鎌田委員長
 472病床で95%で回っていて,大丈夫なんでしょうか。

■木村委員
 大丈夫という意味は,民間で経営が安定している急性期,高度急性期病院はこのくらいの数,稼働率でやっています。我々よりも少ない人数でやっている病院もたくさんあります。我々の人数が少ないとは言えません。ただ,さきほどふれましたが,クオリティを高めて単価を高めるためにはもちろん器械などもありますが,一番は人間の投資です。人間に投資することが診療のクオリティを上げる,結果として単価が上がる。人員に投資することによってクオリティが上がっ
ていくような患者さんの層があります。寝ているだけの患者さんには,人を投資しようがありません。そういう患者さんがどのくらいいるかということで収益が決まってくるし,必要な人数も変わってくる。病院の仕事でこれでいいということはありませんから,欲を言えば医師はもっと欲しい,看護師ももっと欲しい,放射線技師ももっと欲しい,薬剤師ももっと欲しい,全てもっと欲しいとなりますが,今目標としているレベルであれば,最初にお話ししましたように,人の面の投資は出来ていると考えています。

■鎌田委員長
 投資というのは人数ですか。

■木村委員
 委員長のおっしゃったキャパという意味での人数です。

■鎌田委員長
 何を言っているかといますと,公立病院はすごく難しいと思うんですよ。病院でパブリックな施設で,だけど赤字が大変だといったときに,何を指標にしてどの数字をどういうふうに改善すればいいのかと。そういった数字がキチンと捉えられて,これを目標にしていこうというのが見えるようになればいい。おっしゃるように様々な制約が病院にはあると思うんですね。人数だとかベッドだとか。制約要因は制約要因として切り離して,一方でここがゴールだという指標が共有できれば良いのかなと。木村委員からは件数というお話がありましたし,伊藤委員からは以前稼働率が低すぎるという話がありましたが,現状では両方とも達成している感じです。これは維持できそうな感じでしょうか。

■木村委員
 最初に今年は揃いましたと言いましたが,これで目的とする患者数の獲得,維持ができないのであれば,我々の病院が今のスケールで高度急性期・急性期病院をやるだけの力がないということだと思います。国の方針や地域医療構想等に反対の方向になりますが,もっと違うことをやるという選択肢をするか,ダウンサイズするか,方針を変えることを検討せざるを得ない。そういうことになると考えます。

■鎌田委員長
 なんとなく人的な効率,非効率で考えた場合に,ドクターだけの問題だけではないと思っているところが正直あるんですよ。
 各委員の皆様から,伊藤委員いかがですか。

■伊藤委員
 正直,私は理解するけど,他の委員の先生はたぶん馴染みないから難しい話だったような気がするんですが。質問したいんですが,研修医を除いてドクターは何人ですか。

■木村委員
 初期研修医を除いて95人です。

■伊藤委員
 3年目以降ということですね。

■木村委員
 そういうことです。

■伊藤委員
 初期研修医は27人くらいですか。先程,看護師の話がありましたが,今は全病棟7対1ですか。
それで定数に対して多いですか,少ないですか。

■木村委員
 7対1は十分に維持できています。

■伊藤委員
 そうすると人的には十分だ。分かりました,ありがとうございます。

■鎌田委員長
 ありがとうございました。これも総務省のデータなのですが,100床当たりのスタッフという統計がありまして,全国の自治体病院の500床以上の数値と比べると,函病は少し看護師さんが多いんですか。

■木村委員
 多いです。

■鎌田委員長
 そこら辺はいかがでしょうか。

■伊藤委員
 多いと思いますね。

■木村委員
 さっきお話が出たとおり1日当たりの単価が高いということは,投資する分も多いということです。多くの人手が必要な医療をしているということです。ただ,全ての病棟に7対1が必要かどうかは確かに考える余地があると思います。

■伊藤委員
 7対1の看護師というのは昔で言う2対1よりもっと濃厚な看護基準ですよね。

■木村委員
 460人入院している患者さんのうち7対1の看護が必要な患者さんが何%いますかということは,それはそれで問題です。けれども,そういう診療体制をとっていることが1日単価を上げている事の一つにもなっています。
 それから,もう一つは,当院は看護師さんは確かに平均から比べたら少し多いと思いますが,圧倒的に看護補助者が不足しています。いわゆる助手さんといわれている人の数が,急性期病院としては圧倒的に少ない。そういう看護補助者をしっかり確保できればまた少し展開が変わってくるかもしれない。

■鎌田委員長
 ありがとうございました。他に委員の方から何か。事務局の方からもこういった件数とかいったあたりをゆっくり,じっくりご説明いただけるようになっていけばと思います。
 決算の数字と現場をマネジメントする方との話が繋がるように工夫できれば皆さんの理解も,私の理解も進みますので,工夫を考えてみてください。
 さて,他になければいかがでしょうか。お願いします。

■熊谷委員
 先程,木村委員おっしゃいましたけれども,検査の関係なんですが,検査は外来でやるより入院させた方が儲かると,本当なのかどうか。

■木村委員
 儲かりません。外来でやった方が儲かります。

■熊谷委員
 ただ,患者さんというのは私はじめわがままな人が多いものですから,できれば苦しくない方向で,楽な方向で入れさせてもらいたいという患者さんが多いと思うんですね。それを担当医として,はっきり外来で受けてくださいと断れるかどうかという。

■木村委員
 院長としては断れと言うわけですが,実際には断れないケースも多々あります。これは病院としてはこれ以上どうしようもない面もあります。国の方針のもとで,こういうふうにすれば収益が上がる,こういうふうにすれば収益が下がるということははっきりしています。患者さんの利便性の良いことを追及すれば,収益が下がる構造を国が作っているわけです。国が国民に説明するべき事ですが,殆ど理解されていない。我々が外来で説明しても,患者さんからはおたくの病院の金儲けのためでしょと言われます。結果としては当院の収益に良いわけですから,それはそうですが,そうしなければ病院の経営が成り立たないような仕組みを国が作っているわけです。
我々は自治体病院ですから大もうけする必要はないですが,こんなに赤字が続いてはいつ倒れるのかと,私も非常に心配しています。イーブンにしなくてはならない。イーブンにするためには,患者さんにはある程度の不便を忍んでもらわなければイーブンにならない。国の医療政策であるということをある程度住民の方にも理解してもらわないと中々難しいと思います。

もの凄く遠方で,寝たきりみたいな方に何回も外来に来てくださいとは,なかなかいえない。非常にお元気で,近場で歩いて来られて,しっかり生活をしている方もいらっしゃる。国の仕組みになっているのですから,対応できる方には対応していただきたい。我々としても,別にそれを好んでやっているわけではありません。患者さんの利便性を考えれば,入院してゆっくり検査しましょう,悪いところがあったら最後まで面倒をみますのでゆっくり入院してください,と言えた10数年前までの函病さんの時代に戻れればこんなに良いことはありませんが,それでは病院経営が成り立たない。だからこういう方向でやるしかない。そのように理解して私はやっています。

■熊谷委員
 ただ,患者さんが国の政策だからと理解しているかというと,まるっきりそうではないわけですね。病院の先生から言われたから,だけど自分のわがままで入院させて欲しい。ただ,先程の説明にあったように,現状で病床の稼働率が90%以上であれば単なる検査だけの患者さんを入院させるという,現状ではこれは厳しいかなと。そういうのはあるんだけれども,患者のわがままはやっぱりいくらかでも聞いてあげないと患者は離れていく方向になるんじゃないかと,そんな
ふうに思うんですよね。函病に行ったら全然お願いを聞いてくれないとなると,他の病院に行って悪口言っちゃうんですよね。それが別の患者さんに伝わっていって,やっぱり函病だもんねという話になっちゃうんですよ。それを如何に解決していくか,患者さんに納得してもらってきちんと理解した上で他の病院に紹介するというのはおかしいんだけれども,そういう対応をしてくれる病院の方を担当の先生が紹介してくれるのも一つの手ではないかと,親切ではないかという考え方でおります。

■伊藤委員
 今おっしゃったとおりだと思うんですが,ただ,先程木村委員から色々ご説明あるように,簡単に言うと国の制度が,看病の必要のない人がもう1日入院したいならもう一つ違う病院に行ってくださいと,入院の必要はないけど入院したいという人は施設の方に行ってくださいとか,そこを厳格にされてきているので,その過渡期なので,おっしゃる意味が当然世の中で起こってくると思うんですよね。これが当たり前の常識になってくると落ち着いてくるんだろうと思います。
その中で,どうしてもその人にとって良い方法を提案してあげるという病院側の親切心,これはやっぱりおっしゃるように持つべきなんだろうと思いますけどね。

■鎌田委員長
 ありがとうございます。私自身もこちらに外来で通っていたんですが,ある日家庭医に行ってくださいと言われて。やっぱり現実に言われるとショックですよ。うちに帰って深く泣きましたよ。
 さて,あといかがでしょうか。
 ではさっきの話で,今休床しています。ですが,少なくとも数字の上から見たコストはあまり下がっていると思われない。そこのあたりはいかがですか。

■木村委員
 非常に難しいと問題だと思います。去年1つ病棟を閉じました。それ以前に比べると去年の途中から40床程度病床数を減らしましたが,看護師の数は基本的にそれ程変わっていません。手術場とか救急とか,そういう部門をもう少し手厚くしたいということで,そっち側に配置をしていっています。コストは大きく分ければ,診療に使う薬剤材料費のコスト,人件費,それ以外の諸々の維持のコストになります。薬剤材料費についえは先程少し話しました。人件費はある程度かかっても,投資した人件費が回収できるような配置に出来れば問題ないが,回収できないような配置になってしまえばそれはオーバーな投資ということになります。今の時点では,もう少し回収出来るようなマンパワーのシフトをこれからしなければならないだろうと思っています。純粋に人数だけでどうのこうのという話ではないと考えています。

■鎌田委員長
 その辺,伊藤委員いかがですか。

■伊藤委員
 何とも言えません。

■鎌田委員長
 前に診療の単価,人数と材料について,マネジメントは大変なんだという話があったと記憶していますが,人員のアサインというか配置,誰が何をやっているかということについて,これは木村委員のマネジメントの範囲内に入るんですか。

■木村委員
 概ね入っていますが,全体で1,200人くらいの職員,全部を細かくしっかりと把握しているわけではありません。要所要所を管理する人間に,ここは君に任せたよ,という形で任せている。
看護局であれば看護局長に。ここまでは私は目を通すけれども,これ以上の細かいところは任せる。医者も診療科ごとに任せている。その中で結果として起こったことについての最終的責任は私が取りますが,一つ一つのことまで院長としてのマネジメントは無理です。

■鎌田委員長
 ありがとうございました。
 最後に,この委員会自体は,本来は改革プランの進捗について検討,評価をするということと,加えて改革プランについて改正が必要であればその審議をするということであったかと思いますが,先程申し上げましたとおり,改革プランの一つの目途がこの29年3月の決算なんですね。改革プランの32ページを見ていただいて,収支計画,一番下から二つ目の小さいボックス,資金不足比率というのがあります。この資金不足比率というのが30年度で16.4%となっていますが,これが例の10%を超えると借り入れできないとか言っている比率ですね。ここら辺は事務局と確認しながら質問していこうと思うのですが,この資金不足比率というのが制度上10%を超えると借り入れできないと。うちはこれに当てはまってしまっているということですか。これが20%というのが次の制度上の何かなんですね。そこを事務局の方から簡単にご説明おねがいできますか。
20%を超えると何がどうなるのか。

□熊木経理課長
 10%を超えますと先程,鎌田委員長がおっしゃいましたとおり企業債の借入が出来なくなります。20%を超えますと経営健全化団体というのに指定されまして,健全化計画を作る必要が生じます。健全化計画の作成にあたりましては議会の議決ですとか,外部監査を受けるですとか,そういったことを経て作成するわけですけれども,おそらくそこには国の関与というものも一定程度あるのかなという具合に考えております。

■鎌田委員長
 国の関与とおっしゃったのは,その健全化計画を作るにあたって国がああでもないこうでもないと,そういったご指導を受けなさいという意味ですか。

□熊木経理課長
 はい。

■鎌田委員長
 例えば人を減らせとか,そういったことですよね。

■木村委員
 分かりやすく言ってしまえば夕張市です。夕張市と同じ状態になるということです。

■鎌田委員長
 市民にとってどういう病院が良いかということを考えたり,あるいは市民にとって大事な病院だねといった話をしたときに,外から金目のことだけでああしろ,こうしろと言われるのは辛いわけで,そうはなりたくないというのはあります。何とかそれを解決していこうという訳ですが,16.4%と言いましたが,分母が医業収益で170億くらい,20%まであと3.6%ということは,170億の3.6%ではいくらですか。5億程度。この計画があと5億程度下にぶれれば20%超えるということですよ。ということで良いんですか。これ木村委員,エライことだと思うんですよ。

■木村委員
 エライことです。これまでの赤字が積み上がって16%になるわけです。16%を超えてくるようなことがあれば,思い切ってダウンサイズして収益性の上がる構造にするか,他の役割を求めるかという,大幅な病院の方針転換が必要な状態だと考えています。

■鎌田委員長
 小ぶりの病院であれば一般会計から数億繰り入れて消化するということも出来るんでしょうけど,函病さんの場合はガタイがでかいから繰り入れて消そうとしても大変なんですね。

■木村委員
 例えば,1年の延命措置は出来るかもしれませんけども,毎年延命するわけにはいきません。
思い切った方針転換が必要になるかもしれないという可能性は残されていると思っています。

■鎌田委員長
 私,今回本当に心配していまして,お忙しい方々,伊藤委員のようなご立派な経営者の方が来ていただいてやっているのは良いけれど,ある日気がついたら20%超えていましたとかになると,この委員会自体が一体何をやっているんだ,という訳ですよね。

■木村委員
 そうならないように努力しているわけですが,一番の問題はこれでは中々持ちこたえられないと考えたときに,どう方針転換するか,ダウンサイズするかということだと思います。ダウンサイズするということは人を減らすということです。人を減らさずに済むために今頑張っているわけで,持ちこたえられないということであれば,方針転換せざるを得ません。

■伊藤委員
 非常にむずかしい話をなさっていますが,将来の事はあまり心配してもしょうがないところで。
さっき人員の数をお聞きしたのは,今の話を踏まえてなんですが,やっぱり贅沢すぎるんです。
今の医療はあの人数を持ちなさい,こういう人を置きなさいとやるんですね。そのたびに足し算していくと10人が13人15人とあっという間に増えていく。今の病院の従事者というのはそういう制度の元にむやみやたらに増やされたところがありまして,うちなんかもあっという間に増えて,人件費率がとんでもない話になって,今は人員整理しようとするのが難しい。要するに今まで10人でやれていたところを15人に増やしたら,また10人にするというと,とっても言うことを聞くわけがない。むしろこれを計画的に減少することをきっちり考えていくことが大事です。こういう所と違って民間は特に看護師を取りづらいので,定数は20人だけど途中でやめたりするから22人置いておくぞと,だけど,2人は定数ではないぞといくら言い渡しても22人から2人減ったとなる。これはさがみたいなものですね。先程,看護師の定員はどうですかと言ったのはこれを運用して要求どおりにすると,今の7対1が昔の1.5対1かそれより良いくらいですからね。とてつもない濃厚看護なんですよ。これがさらに上がってくるとあっという間に人件費だらけですよね。今後数年,心すべきなんだと思います。

■木村委員
 先程も申し上げましたが,現在の運用病床数で入院月1,000件くらいであれば看護師数を今より増やす必要はないと考えています。その中で,稼げる看護師といったら変な言い方ですが,例えば各種の資格を持つ看護師さんをどれだけ増やせるかということで,他の職種もそうですが,加算などで単価を上げることにつながります。その方向で進めば今くらいの人数でオーバーではない。それが出来ないのであれば確かにオーバーということになる。せっかく勤めていただき,頑張ってもらっている人はちゃんと維持したいわけで,維持するためには一人一人が単価を高めるような役割で働いてもらいたい。そういうふうに考えています。

■鎌田委員長
 また3か月後ですか。数字がとりあえず出来てということになるんでしょうが,いい数字が出てくるように期待しております。
 あと皆様の方から,はい,お願いします。

■熊谷委員
 今の色々なお話聞いてて不安になったんですけれども,改革プランの中には当然南茅部病院の建て替えというのも入っているわけですね。相対的に3病院の比率が10%を超える,30年度から16%以上になる,そうすると,恵山,南茅部は赤字補てんしてくれて0%なんですけれども,相対的に10%以上ということになると病院建て替えはどうなるんでしょうという,そこが心配なんですけども。

■鎌田委員長
 吉川委員,いかがですか。

■吉川委員
 病院建て替えについて詳しくは話せないんですが,恵山,南茅部の医療というのは,たぶん医療従事者によって制限されていくような気がします。患者さんの数が減るからというよりも,そこで働く医療従事者の数によって形態をどうするかというふうに考えていかなければならない時代に入ってきているというふうに私は理解していますので,計画や案でこうやってということは今すぐには言えない。医療従事者が整うような施設であればそれなりの対応をした病院を建て替える。だけど,医療従事者が整わないのに建物だけ建て替えたって経営が成り立たない。ということで理解していただかなければならないと思います。

■熊谷委員
 それは分かります。ただ,単純に聞きたいのは10%超えたら起債できませんと,16%から20%になると国の色々な形の中で介入されると。では相対的に30年度で今の段階では3病院合わせて16%という見込ですね。10%超えたら借金できないという中で,規模は大きい小さい別にしても,建て替えが可能なのかどうなのかということなんですが。

■吉川委員
 そういう段階になったときには,病院局から切り離すということも考えなければならない。それは市としてどうするかというお話になります。

■加藤委員
 医療従事者,もちろんドクターも含めてですけれども,合併する前はドクターを誰が集めているかというと町長でした。私も町長に。今の医療従事者は誰が集めているのかというと医局の関係で私が時々教授に会ったりして,とりあえず今は3人おりますけれども,私も定年の延長でなんとか医者を続けておりますけど,今後どうするのかということについて,誰が医者を集めるのか,病院局はどうなんでしょうか。その辺で私も辞めるに辞められないというか。自分の後釜を
自分で探せというのは,医者以外の看護師もそうですけど,せっかく病院局が出来たのに,あまり我々の所にお医者さんがどうだとか話もないし,私が一人であっち行ったりこっち行ったりして。前の恵山の清水先生の時もそうでしたけれども,ドクターハンティングしないと。その辺もシステミックに医療従事者を確保できないと,客観的にはそうですけれども,出来るような活動をお願いしたいなと思っております。

■鎌田委員長
 函病のドクターも足りないところで今年はいけそうだと。それぞれで動くことは出来ないんですか。

■加藤委員
 一応,しょうがないからやっていますけれども。あと,その関連で,腹部外科の先生も私と同じ年なんですけど,患者さんはほとんど整形で,入院患者はほとんど0から1で,外来も低下傾向で。この間の座談会でも言われたんですけれども,せっかく合併したんだから函病から整形の先生が来てくれないのかと言われたんですけど,木村委員どうでしょうか。月に一遍でも。

■木村委員
 余裕ができればということに尽きますが,非常に難しい問題です。というのは,地域支援に積極的に取り組もうということで,その一つとして今年度から整形外科の医師を月に一回奥尻に派遣しています。これをどう考えるか,私は申し訳ないですが南茅部より奥尻に派遣すべきと考えています。奥尻の患者さんが整形外科の専門医のいる函館まで来るのはよほどのことが無い限り難しい。南茅部の患者さんが,整形外科医のいる中心部まで出てくるのは離島の奥尻に比べればはるかに楽です。医師数にものすごく余裕ができてくれば可能と思いますが,函館から離れた地域で,専門的な医師がいなくて困っているところがたくさんあります。市立病院としてどうかという考えもあるかもしれませんが,私は,当院は色んな補助金をいただいていて,3次の救命救急センターでもあり,道南3次医療圏全体を支える病院と思っています。もっと地方でもっと困っている地域に優先的に出すべきと考えています。他の診療科も少しずつ地域支援を増やしていますが,同様の考え方で派遣先を決めています。困っているところがあって,当院に余裕があれば応援に出す,これはそのとおりですが,その中で優先順位を付けて考えています。

■鎌田委員長
 診療圏というものがあって,その中での判断というのもあるということですね。また議論を重ねてまいりたいと思います。
 他に委員の皆様,いかがでしょう。
 では,事務局の方にお返しします。
 一ついいですか,申し訳ない。采配があまり上手くなくて意見が活発にとはいかないのですが,マイクの数は用意しておいてください。お願いします。

□熊木経理課長
 ありがとうございました。次回の委員会は29年度の第一四半期の事業実績を議題といたしまして,8月の開催を予定しておりますが,皆様には改めてご案内させていただきたいと存じます。
以上をもちまして,本日の委員会を終了いたします。誠にありがとうございました。

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