病院局トップ病院局長からのメッセージ

終焉しない新型コロナと令和4年の今 令和3年4月6日
 2019年の12月に中国武漢で最初の新型コロナ患者が現れてから、まもなく3年を迎えようとしています。スペイン風邪は収束まで3年を要したと言われていますが、コロナは北海道ではこの10月末に第8波に入ったと思われ、終焉する兆しを見せていません。
 αからβ、γ、デルタδ、そしてオミクロンοへ。さらに、その中でもBA1、BA2、BA3、そして現在はBA5と変異を続け、世界ではBQ、XBBなどの変異株も出てきています。ただ、現在のBA5の感染力は高いのですが、重症度は低く無症状や発熱しない陽性者もいます。最近の陽性者の死亡率は0.1%台であり、2020年当初のような元気な人が突然肺炎で亡くなるというケースは見られなくなっています。
 今年の病院局の局長挨拶はコロナの終焉を待って、“コロナの終焉を迎えて”という明るい原稿を書きたいと時期をうかがっていました。しかし、第8波が終わるのがいつなのかも想定できない状況にあることから、昨年から今年、そして今後の病院局の動きをご紹介することとしました。
 病院局では、市立函館病院をはじめ4つの施設を管轄していますが、このうち最も規模が大きい市立函館病院は、2018年以降4年連続して単年度黒字となり、順調な病院経営を続けています。全国的に、約6割の自治体病院がコロナに対する空床確保の補助金により黒字となっていますが、市立函館病院は、空床確保の補助金を除いた収支が単年度黒字となっています。その結果、これまでの資金不足が解消され、幾ばくかの内部留保も出来ました。 
 令和4年度からようやく起債も可能となり、先端医療機器であるロボット支援手術機器(da Vinci)を導入し、9月から消化器外科、産婦人科、泌尿器科、呼吸器外科が次々とロボットによる低侵襲手術を開始しています。
 循環器内科、心臓血管外科、麻酔科等のハートチームによる道南で唯一のカテーテル下の大動脈弁置換術(TAVI)は、毎年70例以上の症例を扱い、道内でも屈指の症例数を数え、北海道大学病院などとともに専門施設として認定されています。
 この4月からは一時途絶えていた眼科医が、札幌医科大学からの派遣で常勤することとなり、白内障などの手術も再開しました。また、市立函館病院は救命救急センターに加え、道南ドクターヘリの基地病院で災害拠点病院でもあり、超急性期・急性期病院ですが、その中でも患者さんの心に寄り添う医療の充実を図っています。精神科の専門医も増員しており、緩和ケア、認知症ケア、リエゾン医療にさらに活躍してもらいます。
 一方、市立函館恵山病院は、定年を迎えた前院長に代わり、整形外科専門医でリハビリテーション専門医の石川先生に新院長として来ていただきました。恵山病院は地域にとって重要な医療機関であり、人工透析をはじめ、患者さんの病態や患者数の推移等を検討して、市立函館病院との連携を強め、医療従事者の適正配置、医療の質の向上を図っていきたいと考えています。すでに、透析医療、外来診療、当直業務に、市立函館病院から医師を派遣しています。
 もう一つの病院局管轄の医療機関である市立函館南茅部病院も地域にとっては重要な医療機関であり、恵山病院同様、外来診療、当直業務に市立函館病院から医師を派遣しています。また、建物の老朽化が著しいことなどから、新しい施設の検討を始めることとしています。南茅部地区も高齢化と人口減少が進み、地区の患者さんが減少していくことは想定されていますが、そうした状況下にあって地域にとってどのような医療を提供するのがふさわしいのかを検討していきます。
 病院局として、市立函館病院、恵山病院、南茅部病院の3医療施設において、医師の応援態勢、看護師やリハビリテーション技師、臨床工学技士などの医療者の配置、事務の連携を強め、一体的運営を図っていきたいと考えています。
 また、市立函館病院高等看護学院では、今年も70名の新入生を迎え、3学年で  210名の看護学生の教育にあたっています。9月には初の試みとなるオープンキャンパスを在校生の協力を得て行い、多くの方にお越しいただきました。教員と学生間の信頼関係も良く、今年も卒業生68名全員が国家試験に合格しました。そのうち、49名が市立函館病院に就職しており、受け入れた看護局と送り出した学院が連携を取り、新人職員の成長を見守っています。
 いま、医療界は令和6年から実施される医師の働き方改革の準備に追われています。過労死基準を超えるような長時間労働の上に成り立っている医療環境を変えて行かねばなりません。その開始に向けて、医師の勤怠管理、多くの病院スタッフによるタスクシェア・タスクシフトが進められています。その基本概念はチーム医療であり、そのためには情報共有、各職種のプロフェッショナルとしての質の向上が必要になります。それぞれの医療機関が様々な改革に取り組んでいるところです。
 病院局では今後も4つの施設における職員の連携強化に努め、それらの改革の方向性を指し示していきたいと思っております。
 地域の皆様のご理解とご協力、そしてご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
函館市病院局長 氏家良人
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