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当院のがんの診療体制について

 当院ではどのような体制で日常のがん診療に取り組んでいるのか、実際にどのような治療を行っているのかについて、症例数の多いがんを中心にお知らせします。


大腸がん

 大腸がんの診療は平成19年1月1日より消化器内科と外科が統合した消化器病センターが主として担当しており、病期の進行程度に応じて、放射線治療科、泌尿器科、呼吸器外科などが診療に参加しています。消化器病センターでは消化器内科の内視鏡検査で大腸癌が発見された時点で、すぐに外科の大腸専門医に連絡が入り、手術までの検査計画や手術の日程が即座に決まる体制になっています。治療の方針については週に1回、消化器内科、外科、放射線科、中央検査部病理研究検査センターで定期的にカンファランスを行い、大腸癌研究会の大腸癌治療ガイドラインを基準としつつ、個々の症例の診療方針を検討し、病態、進行度に応じ、協力しあって集学的な治療を行っています。

 平成20年に当院の院内がん登録に登録された大腸癌は167例であり、その進行度と治療の内訳は以下の如くでした。

<大腸がん 病期分類(UICC)>
ステージ(治療前) 登録数
7
33
19
38
33
不明 27
治療開始後 10

<大腸がん治療法>
内訳 症例数
手術(開腹) 63
手術+化学療法 42
内視鏡的治療 31
腹腔鏡下治療 5
化学療法 4
内視鏡的治療+手術(開腹) 3
内視鏡的治療+腹腔鏡下治療 3
その他 16

1.早期大腸癌の内視鏡的治療

 早期大腸癌に対しては、症例ごとに超音波内視鏡検査、拡大内視鏡等を行い、大腸癌治療ガイドラインを基準に内視鏡的治療の適応かどうかを検討し、適応病変に対して内視鏡的粘膜切除を行なっています。


2.手術治療

 大腸癌治療ガイドラインに準じて手術を行っています。
 低侵襲手術としての腹腔鏡下手術の取り組みを平成16年10月から開始しています。従来は癌の治療としての効果に勘案し、固有筋層までに留まる症例に対してのみ行っていましたが、平成20年より深達度の深い症例にも導入しています。平成21年には大腸癌患者さんの約3~4割、進行癌の患者さんの割合が高い当院としてはかなり多い割合の患者さんに腹腔鏡手術を行っています。
 直腸癌に対しては機能温存を目的として神経温存手術を基本としており、肛門管上縁から2cm迄の症例に対しては腹部操作のみでの肛門温存手術を行っています。さらに肛門に近い症例に対しては深達度の深いものを除いて内括約筋切除を導入し自然肛門温存手術を行っています。この肛門温存手術にも腹腔鏡手術を導入しています。
 肝転移、肺転移に関しても切除可能なものは積極的に切除しています。


3. 手術後のfollow

 退院後、かかりつけ医での診察に対応する地域連携クリニカルパスとして、「経口抗がん剤を使用する連携パス」と抗がん剤を投与しない「術後follow地域連携パス」の2つを導入し、地域のかかりつけの先生と連携しながら、いわゆる「がん難民」を生まない外来診療に取り組んでいます。


4.抗がん剤治療

 Ⅲの患者さんに対する術後補助化学療法(抗がん剤による治療)としては、基本的に経口抗がん剤治療として①UFT/ LV療法,②ゼローダ療法,③TS-1療法を外来通院で治療を行っています。①UFT/ LV療法,②ゼローダ療法については地域連携クリニカルパスを導入し、当院への通院は3か月に1度にして、遠方の患者さんでも、かかりつけ医に通院しながら抗がん剤治療が行える体制を取っています。コンピュータを用いた地域連携ネットワーク(道南MedIka)を利用して、道南の多くの診療所、病院と連携し、患者情報を共有した診療体制を確立しています。症例に応じては、FOLFOX療法のような点滴療法も行い、術後の再発抑制、生存期間延長に寄与できる治療を行っています。
 切除不能進行・再発大腸癌に対しては化学療法レジメ検討委員会で院内統一した化学療法レジメンを作成し、全身化学療法(FOLFOX・FOLFIRI・IRIS・XEROX)を主体に分子標的治療薬ベバシズマブ・セツキシマブの併用療法を行い、再手術や放射線治療を含めた集学的治療で出来る限り患者さんの生存期間延長に寄与できるよう努めています。
 上記治療の他にも様々な臨床試験に参加し、新薬の導入なども積極的に行なえるようにしています。患者さんのご希望にあわせて、中心静脈リザーバーを留置、外来化学療法室を整備し、積極的に外来化学療法に取り組んでいます。


5.放射線治療

 大腸癌診療における放射線治療の役割は、主に再発や転移の病巣に対する根治的もしくは緩和的治療となります。再発や転移が起こった場合には全身病と考えられ、抗癌剤による全身化学療法が必須ですが、化学療法だけでは再発転移病巣を治癒に至らしめることは不可能ですので、局所療法としての放射線治療を併せて用いることがあります。定位放射線治療、強度変調放射線治療などの最新の技術を用いることにより、3個以下の小さい脳転移、肺転移、肝転移、リンパ節転移、局所再発などを根治に導くことも可能となっています。
 また、再発転移癌の最大の苦痛の原因である骨転移による疼痛緩和には、放射線治療が最も有効性の高い緩和治療として標準的に行われます。


6.ストーマ(人工肛門)を造設した患者様(オストメイト)のケア

 ストーマケアのクリニカルパスを導入し、専門の看護師の指導を含む総括的なケアを実践しています。退院後はストーマ外来を定期的に受診していいただき、問題点に対応する体制をとっています。


7. 院内クリニカルパス

 「大腸ポリペクトミー」、「内視鏡下粘膜切除」、「肝転移に対する動注リザーバー埋め込み」「結腸癌切除術」などに対して院内のクリニカルパスを導入しています。


 大腸癌(結腸癌/直腸癌)切除症例の成績を当ホームページ -治療成績の集計と公開- にて公開しています。


(平成22年4月更新)