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当院のがんの診療体制について

 当院ではどのような体制で日常のがん診療に取り組んでいるのか、実際にどのような治療を行っているのかについて、症例数の多いがんを中心にお知らせします。


肺がん

 当院における肺癌診療は呼吸器内科と呼吸器外科、放射線科の3科が主体となり、各々の患者様の病状に応じて集学的な治療を行っています。治療方針は日本肺癌学会編肺癌診療ガイドラインを基準に決定しております。

1:症例数(平成18年1月~平成18年12月の院内がん登録症例数)
ステージ 件数
ⅠA 22
ⅠB 9
ⅡB 8
ⅢA 13
ⅢB 15
62
不明 2
合計 131

治療法 件数
手術 20
放射線治療 33
全身化学療法 17
放射線治療+全身化学療法 26
手術+全身化学療法 2
手術+全身化学療法+放射線治療 1
手術+放射線治療 1
対症状療法のみ 31
合計 131

2:病期別の治療方針(日本肺癌学会編肺癌治療ガイドラインに基づいています

2-①
非小細胞肺癌
・ⅠA 期→ 手術単独(手術不能な場合放射線照射)(+病理組織所見によってはUFT内服)
・ⅠB 期→ 手術+腺癌の場合UFT(手術不能な場合放射線照射)
・Ⅱ期、ⅢA期 → 手術+プラチナベースの化学療法
 ただし臨床病期ⅢAでも場合によっては化学放射線同時併用療法を用いる場合もあります。また、特に扁平上皮癌では炎症性のリンパ節腫大も多く認められるのでPET等も併用し手術適応は慎重に検討します。
・ⅢB期 → 局所進行癌の場合化学放射線同時併用療法。悪性胸水やリン パ節転移著明症例では全身化学療法。
・Ⅳ期  → 化学療法。
 ただし単発の遠隔転移でPS0の若年症例などでは転移巣切 除後化学放射線同時併用療法を行うこともあります。最近 4年間では、脳転移と頚椎転移の症例に対し、切除後転移 巣の周囲と原発巣に放射線照射を化学療法と同時併用で施 行し良好な生存期間を得ました(脳転移症例2年3ヶ月 頚椎転移症例2年2ヶ月。)。

~*分子標的治療について*~
 特に女性、非喫煙者の進行非小細胞肺癌患者の場合、多くの症例で癌細胞の遺伝子検査を最初に行なっています。治療に際しては第一選択薬としては全身化学療法を行う場合が多いのですが、その後の治療方針選択の幅が広がるので極力検査するようにしています。また、化学療法が困難な全身状態の患者様に対しても、癌細胞のある特定の遺伝子変異(gefitinib感受性変異)があった症例にはgefitinibを投与するケースもあり、実際非常に高い治療効果が得られています。

2-②
小細胞肺癌(限局型)
・Ⅰ期  → ごく早期の症例は手術のみ。手術+化学療法を行う場合が多いです。
・Ⅱ~ⅢA期 → 化学放射線同時併用療法。CRの場合予防的全脳照射。
小細胞癌(進展型)
・ⅢB、Ⅳ期 → 化学療法。脳転移やSVC症候群など患者のQOL を著しく低下させる遠隔転移巣には放射線照射も併用しています。

化学療法のメニューはガイドラインにそって札幌医大第3内科、癌研有明病院のレジメンを参考に独自に作成しています。


3:呼吸器内科が独自に行なっている工夫

 局所進行非小細胞肺癌に対しては、化学放射線同時併用療法の治療効果は化学療法単独に比し明らかに良好です。しかし、併用レジメが標準化されていないという問題点があります。当科ではCBDCA+Paclitaxel、CDDP+VNRなどと放射線の同時併用療法を十分な患者様への説明のもとに行い非常に良好な結果が得られています。さらに、肺癌領域でのいわゆる「緩和的化学療法」についてはいまだコンセンサスが得られていない現状ではあるが、個々の症例に合わせてPS3以上の症例に対してCDDP分割、TS1投与などの治療も試みています。2クール目以降は外来化学療法も積極的に導入しています。


4:手術

 肺がんの手術は、原則的に標準的手術である肺葉切除と所属リンパ節の郭清を行っており、クリニカルパスを実施しています。胸腔鏡を使用するため創の大きさは4〜6cmの創が1箇所と2cm程度の創が2箇所ですみます。通常の開胸による手術と比べて入院期間も短く、大半の人が術後10~14日程度で退院します。肺腫瘍の診断が術前に難しい場合は胸腔鏡による生検を行い、術中診断の結果が悪性であれば標準手術である肺葉切除+リンパ節郭清を行います。
 他の場所にできた癌が肺に転移した患者さまは手術治療が有効な場合、胸腔鏡による小切開で肺の部分切除を行っています。切除範囲が小さなものについては排液のための管も入れず、最短で術後3日目での退院が可能です。