消化器内科 > 肝疾患領域


肝疾患領域

 当科における肝疾患診療は、急性肝疾患から慢性肝炎、肝硬変、肝癌と広く対応しております。
 B型肝炎やC型肝炎といったウイルス性肝炎は、肝硬変さらには肝癌に進展しうる慢性肝疾患ですが、適切な抗ウイルス治療を行うことで予防が可能です。B型肝炎に対しては、2000年以降核酸アナログ製剤と呼ばれる内服薬の登場で、多くの患者さんが副作用も少なく安全にB型肝炎ウイルスを制御することができるようになりました。当院でものべ200名以上の患者さんに投与し、良好な抗ウイルス効果を確認できております。C型肝炎に対しては、これまでインターフェロン併用療法が主でしたが、2014年以降インターフェロンを併用しない内服薬治療(インターフェロンフリー療法)が可能となりました。それまで年齢・合併症などから抗ウイルス治療をあきらめていた患者さんに対しても安全に使用可能です。12週から24週間の治療で90%以上の確率でC型肝炎ウイルスを排除できるようになりました。当院でものべ200名以上にインターフェロンフリー療法導入し、多くの患者さんのウイルス排除を確認できております。
 最近は、生活習慣病とも大きく関わりのある脂肪肝の増加が問題となっております。脂肪肝には10%程度非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)という肝硬変や肝癌にも進展しうる病態が含まれており、適切な診断、治療が必要であります。飲酒は適量であれば問題ありませんが、多量飲酒が続きますと肝硬変へと進展することもあります。ウイルス性、特にC型肝炎関連の肝癌が減少傾向なのに比して、NASHやアルコールによる肝硬変からの肝癌が増加傾向にありますので、当院では生活指導とともに適宜、画像検査も行い対応しております。
 肝癌の診療においては、まず腫瘍の性質・進展程度を正確に診断することが大切です。血液(腫瘍マーカーなど)、超音波、CT、MRI検査などを行い、腫瘍の大きさ、個数、脈管侵襲の有無、遠隔転移の有無などを評価し、肝癌の病期分類(ステージ)を決定します。同時に背景肝の状態を評価(Child-Pugh分類、肝障害度)することが大切です。肝癌は、慢性肝炎や肝硬変といった慢性肝疾患を背景にして発生することがほとんどですが、障害の程度によって治療方針も大きく左右されるからです。治療法は、局所制御能の高い(1)外科切除、(2)ラジオ波焼灼術(RFA)やエタノール局注療法(PEIT)といった穿刺療法、(3)肝動脈塞栓術(TACE)を基本とし、時に併用しながら選択しています。いずれにおいても治療が困難となった進行肝癌例に対しては化学療法を検討します。当院での肝癌治療は、消化器内科、消化器外科、放射線科が分担して行っており、2011年1月から2015年12月までの過去5年間で、各治療法別件数は(重複あり)、肝切除術 43症例、RFAやPEITなどの穿刺療法 343症例、TACE 449症例、化学療法 119症例でした。定期的に合同カンファレンスを施行し、2013年に日本肝臓学会が作成した「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン」を参考にしながら、個々の症例の治療方針を決定しております。