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中央検査部 遺伝子細胞生物検査センター

<遺伝子細胞生物検査センター>

 当センターは従来の臨床検査に加え、細胞表面マーカー検査、遺伝子検査、抗癌剤感受性試験等、これまで一般の病院で実施することが難しかった専門性の高い検査を導入するため、平成16年4月に新設された部門です。
認定血液検査技師、NST専門療法士、遺伝子分析科学認定士、微生物検査や超音波検査経験者等、様々な経歴を持つスタッフによって構成され、形態・蛋白・遺伝子の異常を総合的にとらえ、腫瘍性病変や感染症の診断・治療に有用な情報を臨床へ提供できるよう業務に取り組んでいます。
2014年には国際的な臨床検査の標準規格であるISO15189の認定を取得しました。特に造血器腫瘍関連の遺伝子検査は、全国の医療機関の中で20施設しか認定施設はなく、市立病院クラスとしては全国で初めて認定を受けました。
また、院内では感染対策チーム(ICT)や栄養サポートチーム(NST)に参画し、チーム医療の一員として検査室の外でも積極的に活動しています。
道南地区の基幹病院として、地域の皆様に高度な医療を提供するとともに、周辺の医療機関との連携を深め、更なるサービス向上を目指し努力していきたいと考えています。


細菌・ウイルス迅速検査

 簡易キットを用いて、咽頭や鼻腔などを擦過した綿棒、喀痰、便などから感染症の原因となる細菌やウイルスを素早く検出します。


抗核抗体検査

 免疫は本来、病原体や腫瘍等、自己と異なる異物を排除するための役割を担っていますが、自分の体内にある物質に対して体の防御反応が働き、抗体が作られてしまうことがあります。抗核抗体はこのような自己抗体の1つで、自己免疫疾患の判定に利用されます。


骨髄像検査

 骨の中には赤血球や白血球をつくる部分があり、骨髄液と呼ばれる液体で満たされています。この骨髄液を採取し、顕微鏡で観察することによって、白血病等、造血器疾患の原因となる細胞を検索します。年間約550件の検査を実施しています(2013~2016年度実績)。


細胞表面マーカー検査

 血球の表面には細胞の性格を表す様々な抗原が付着しています。白血病や悪性リンパ腫をはじめとする造血器腫瘍には様々な種類があり、フローサイトメーターと呼ばれる機器で細胞の抗原性を調べることによって、腫瘍細胞の性格を分析し、診断や治療に有用な情報を提供します。

上:Navios Flow Cytometer(Beckman Coulter)

上:TQ-Prep/PrepPlus2 System(Beckman Coulter)


遺伝子検査

 DNAはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の塩基が一定の配列で並んでいます。ヒトのDNAには32億の塩基対があり、この中の約5%が実際に使用される部分で、遺伝子と呼ばれています。遺伝子検査ではPCRという遺伝子の特定部位を大量に増幅する技術を利用し、微量な検体から病気の原因と成り得る遺伝子異常を検出することで、高感度で信頼性の高い結果を迅速に報告しています。
Major BCR-ABL等、造血器腫瘍のキメラ遺伝子の検出を中心に、HBV・HCV定量、JAK2遺伝子変異、免疫関連遺伝子再構成、薬剤代謝関連因子のUGT1A1遺伝子多型、子宮頚癌の要因とされるヒトパピローマウイルス(HPV)タイピングなどを実施しています。また、臨床からの個別要望に対応し、新たな反応系の構築にも取り組んでいます。

上:Thermal Cycler Dice TP600(TaKaRa)

上:QIAcube(QIAGEN)

上:Cobas z480(Roche)

上:LightCycler DX400/LC Carousel Centrifuge 2.0(Roche)

上:遺伝子検査実施中

上:TaqMan PCR検査システム「オートAⅡ」(Roche)


抗癌剤感受性試験

 (CD-DST法:collagen gel droplet embedded culture drug sensitivity test)
抗癌剤は多くの薬が開発され、選択肢が増えていますが、抗癌剤がどれくらい効くかは、患者さんによって異なり、現在のところ実際に使ってみないと分かりません。抗癌剤治療を始める前に抗癌剤の効果を予測できると、治療成績の向上や患者さんの負担の軽減につながると考えられています。
抗癌剤感受性試験では手術で取り出された患者さんの癌組織を体の中に近い状態で培養します(三次元組織培養法)。それに抗癌剤を加え、培養が終わったあとの生きている細胞の数と、抗癌剤を加えずに培養した癌組織の生きている細胞の数を比べることにより、抗癌剤が癌細胞にどれだけ効果があったかを判定します。
 癌の手術治療を受ける患者さんは、切除したものを利用して試験をしますので、新たな身体的負担は全くありませんが、本試験だけを単独でする場合には、体の負担を少なくするために最小限の手術で癌の一部を採取します。
 これまで抗癌剤感受性試験は先進医療と呼ばれる技術でしたが、平成24年4月の診療報酬改定より、保険適用検査に移行しました。当院は2006年から2017年8月までの間に約490例の実績があり、患者様1人1人に合わせたテーラーメード医療に有用なデータを臨床へ提供しています。

上:TaqMan PCR検査システム「オートAⅡ」(Roche)


造血幹細胞移植関連業務

 当院血液内科は骨髄移植推進財団の移植認定施設です。造血幹細胞移植は同胞間だけではなく、「さい帯血移植」や「非血縁者移植」も可能です。末梢血幹細胞採取時には輸血・細胞治療センターと協力し、造血幹細胞(CD34)数測定業務を担当します。


その他使用機器

・MagNa Pure LC(Roche)
・Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent)
・微量紫外可視分光光度計(UV-Vis) Q5000(トミー精工)