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平成24年度 第2回 函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要

■日時:平成24年10月31(水)17:35~19:20
■場所:市立函館病院 精神病棟2階 体育館
■出席者:岩田委員長,鎌田委員,藤原委員,秋本委員,吉川委員,木村委員,印牧委員,渡辺委員
■事務局:秋元次長,松塚庶務課長,本間経理課長,野呂医事課長,小川参事, 大島医療連携課長,吉田恵山病院事務長,加我南茅部病院事務長


1.開 会

□秋元次長
本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。定刻となりましたので,ただいまより平成24年度第2回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。
なお,公務により中林委員,伊藤委員は欠席となっております。
それでは本日の議事に入らせていただきたいと思います。岩田委員長,議事の進行をよろしくお願いいたします。


2,議 事

■岩田委員長
寒くなりこの4~5日で紅葉が進みました。早速ですけれども本日の議題は平成24年度函館市病院事業の事業実績(上期)ということで,事務局からご説明願います。


□資料に基づいて本間課長説明
・平成24年度函館市病院事業の事業実績(上期)


■岩田委員長
はい,数字の説明でしたが,とりあえずここまでで各委員の方からご質問いただきたいと思います。

■藤原委員
数字は改善されていると思うんですが,恵山病院ですと外来患者数が減ってきています。今後もこの傾向が続いていくんじゃないかと思いますが,何か改善する方法はあるのでしょうか。

■吉川委員
恵山,南茅部は人口減によって医療需要は,平成12年がピークでそこからずっと下がっています。外来は増える見込にはなりません。けれども,地域の救急告示病院の機能などを果たさなければならないと思っています。

■岩田委員長
はい,増える見込はないと。函館市全体を見渡すと,何年後ぐらいにそういう状況になるのでしょうか。後でご説明もあるようですが。

■吉川委員
はい。後ほど。

■岩田委員長
わかりました。
資料の1ページ目の病床利用率ですが,結核・感染症・休床除く数字を出されていますけれども,この数字を出した意味と判断についてご説明いただけますか。

■渡辺委員
この評価委員会では伊藤委員から,たびたび病床利用率についてご意見をいただきます。市立函館病院は634床の一般病床がありますが,結核病床が30床,感染症病床が6床,それから4階南病棟の50床はスタッフの数が足りていないことから休床していたり,それらを除いた536床で基本的に運用しております。その536床を分母にした病床利用率を参考までに記載したものです。

■岩田委員長
74%が本当の数字を表しているのではなくて,87%が本当の数字だと。伊藤委員いらっしゃらないのでわかりませんが,結核や感染症病床のない一般の病院では87%はどう評価されるのでしょうか。

■木村委員
90%迄はいかなければだめでしょう。逆に言えば,現在の診療体制が続くのであれば,この数字ならまだダウンサイジングすべきということになるかもしれません。
我々としては一般病棟は92%という目標を立てています。救命救急病棟が人的な要因からうまく回せていないことと,小児の数が減り以前は20人くらい入っていた小児科入院が約10人となっていることが問題になっています。当院でのお産がないこともあってやむを得ない面もありますが,そこをはずして,一般病棟が92%の利用率までいけば,全体で90%程度になる,これからの問題です。
もう一つは,休止中の診療科がありますから,そこが戻ってくれば休床しているところを開けなければならない。現在の体制のままであれば,実際は524床とかが運用するには適切な数かも知れません。ただ580床くらいでやっていたのを集約して536床まで持ってきたので,やっとそこそこの稼働率まで辿り着きつつある,という状態だと思います。

■岩田委員長
休床50床を,将来的にどう使うことになりますか。

■木村委員
一つは重症・救命救急用の病床をどの程度に設定するかと,休止している診療科が再開した場合の必要病床数との兼ね合いになります。撤退された科が戻ってきた上で,ドクターヘリの構想もありますから,重症・救急病床をある程度拡大しつつ,あと10~20床多く診れるような体制になればいいと思います。また,今14日くらいの平均在院日数を1日くらい縮めたい。5年後くらいに目標とするところまでいきたいというのが私の大まかな見立てです。

■岩田委員長
私企業では効率化のため除却して身軽にするんですけれども,先のことを考えて残しておくということですね。

■木村委員
削る方が簡単で,復活させる方が厳しいという面もあります。

■岩田委員長
わかりました。
もうひとつ,函館病院の人件費ですが,通常,人件費が減るということは企業でいうと効率化したということですが,減になった分の影響というものはありますか。

■木村委員
上半期だけではわかりませんが,基本的に人は全然足りていないという認識です。
団塊の世代が後期高齢者になる2025年,その後の5~10年の間は,人手をかけて高齢者をしっかり診るという体制で病院を動かしていく必要があると思います。我々のような急性期病院であれば,とにかく人を集めて,しっかり教育して,ということになります。
私が院長になる前は定数枠のせいで人が集められないということもあったようですが,現在は,募集しても応募がない,採れないという状況です。今まで自治体病院は人がいない理由を「定数枠のせい」と言ってきましたが,もしかしたら人を集めるだけの魅力がないだけかもしれません。教育研修を含めて,職場環境を整えて,優秀な人材を集めるということをやっていかないと,人は集まってこないと考えています。

■鎌田委員
定数枠というのは自治体職員の定数枠のことですか。

■木村委員
そうです。病院にも定数枠はあります。それを病院局長に頑張っていただいて,必要な分は定数として認めていただくという形で増やしてきました。定数枠があるから採れませんと言われるような状況は脱したということです。

■岩田委員長
応募があれば採れるが,その応募が来ないと。
では鎌田委員,意見がありましたら。

■鎌田委員
休床の50床というのは,何がボトルネックになって休床しているのでしょうか。

■木村委員
それだけ診るスタッフが揃っていないということです。現在の患者数を,現在いるスタッフで診るのでも過重労働だと考えています。当院のもつマンパワーが,患者さんの数からみると明らかに不足しているということです。
ここに移ってくる前,平成10年くらいだと平均在院日数は27~28日くらいありました。今は14日くらいですから,半分になっているわけです。この病院は現在の平均在院日数を想定していないサイズで作られている病院だと思います。
現在のスタッフでしっかり診れる患者数は,現在より少ない方がよく,もう少し在院日数を縮めて,サイズダウンしてやっていくというのが,診療体制に変化がないならば,通常の急性期病院としては適当だと思います。
しかし,できれば産科も戻したいし,糖尿病の先生にも戻ってきて欲しいし,そういう科を復活させたいと考え,また救急・重症病床のことと絡めて,50床分くらいの余裕を持っておかないといけないということで,クローズの形で残しています。

■鎌田委員
今日,新しい行革プランが発表になっています。1~2週間前の新聞にも出ていましたが,市の財政の状況は大変です。そういう中で,病院局はある意味で聖域的な扱いになっています。
病院の数字はすごく伸びていて,その陰で個々のスタッフは限界というのはわかりますが,一方で財政はパニックです。いつまで病院は聖域でいられるか。今のうちに病院はどうあるべきか考えたほうがいい。ランニングコストを抑えられるのであれば,ダウンサイジングも考えたほうが良いと思います。

■岩田委員長
それに関連してなにかありませんか。

■藤原委員
さきほど人が集まらないというお話しがありましたが,道新に函病の救急が高い評価を得ているという記事がありました。病院としての魅力がなくて先生が集まらないのか,函館市の都市機能に魅力がないのか,給料の問題なのか,その辺どうなんでしょうか。

■木村委員
札幌出身の医療職に,業務内容が同じとして同じ給料を提示すれば,間違いなく札幌の病院を選びます。函館出身の人に同じ給料を提示すれば,たぶん札幌と函館は半々くらいだと思います。まちの魅力はそういうものではないかと思います。
もっと大きな問題があって,どの職種も基本的に人がいないということです。もちろんレベルの問題もありますけれども,少なくとも急性期病院で働こうと思っている医療職は,全ての職種で慢性的に不足傾向です。そういうこともあって売り手市場です。やはり自治体病院の給料は安いので,給料では勝負できない。あとはクオリティの高い仕事ができるとか,研究ができるとか,キャリアパスに有益であるとか,そういう施設の魅力で勝負するしかないのかなと思います。

■秋本委員
良質な医療を提供するためには,当然近代的な施設の整備が必要だと思います。道南では市立函館病院が一番そういう機能を有していると私は思っていますが,医療機器のグレードはどの程度のものなのでしょうか。

■木村委員
設備に関しては1つの病院で全てと考えるのはやめた方が良いと思います。必要な設備が地域にあればいいので,例えば函館市だけでいえば28万人の人口に対してこういう器械は1つで良いというような考え方です。
そういう意味で言えば,よほど特殊なものを除けば,この地域は完備していると思います。みんなで高額な設備を利用し合うという気持ちを持てば大丈夫,というところまで来ていると思います。

■岩田委員長
函館の中の病院同士で共通のコンセンサスはありますか。

■木村委員
我々の病院から五稜郭病院にPETを撮りに行ってもらうとか,乳腺のマンモトーム生検はうちに来るとか,現場ではやり取りしています。現場のコンセンサスは全く問題ありません。

■岩田委員長
医療圏の中でカバーしていると。
函館の医療圏で患者になる人はだんだん減ってきていますよね。そういう時にどういう対処をしていくか。5~10年後をどのように読んでいるのでしょうか。

■木村委員
2025年までは増えると考えていますが,2025年以降をどう想定するかということですか。

■岩田委員長
それに近いことです。足りないので増やしたスタッフが,何年勤めるかということと絡みますが。

■木村委員
2030年までは,今の急性期医療で今よりも人が必要だと思っています。
それ以降は,在宅,予防に力を注がなければいけない。今よりも人口は少ないですが,高齢者が多い状況で,医療者はどのくらい必要なのか,その医療者が何をするかという問題ですが,必要な数は減らないと思います。ただやることは,今とだいぶ違うことを要求されることにはなると思いますけれども。

□秋元次長
恐れ入ります。今のお話しに関わりまして,机上に配付しております「市立函館病院の入院患者数の推移と医療需要指数の変化」という資料の説明を,吉川委員よりお願いします。


■資料に基づいて吉川委員説明
・市立函館病院の入院患者数の推移と医療需要指数の変化


■岩田委員長
18歳人口も減ってきているわけですよね。ということは医者のなり手,看護師のなり手が減ってくるということですよね。そこの減り具合と需要をどうお考えになっていますか。

■木村委員
今年初めてやったのは,市内の高校生に病院にきてもらって,看護師以外の医療職,薬剤師,リハビリ,栄養士などのところをまわってもらって,こういう仕事があるよと見学してもらった。このように高校生を業界に誘導するような活動をして,地元の子どもたちが医療という職業を目指すような方向性を作ることが非常に大事だと思います。

■岩田委員長
大学もメジャーな私立と公立以外は定員割れしています。大学の定数の方が多い。もう一つ,学生にどこに行きたいかという希望を聞くと,介護,看護を希望する学生が非常に多いです。それがいつ頃まで続くのかとは思いますが,数年はまだ大丈夫ですね。
患者さんは取りあえず増えていくけれども,それに見合った人を採るということはかなり難しいし,今年看護師さんが目標に達しないというのは,そういう動向からなのでしょうか。

■木村委員
誤解のないように言っておきますが,市立函館病院の目標は道内の他の自治体病院に比べれば,高く設定しています。全く増えていないわけではありません。この病院は大きく発展しようとして人を集めているんだというメッセージを出すから,人が集まるという面もあります。

■岩田委員長
ちょっと感覚が違うのは,企業では拡大基調というのが必ずしも魅力的ではなくて,むしろ生き甲斐やクオリティという話になってきていると思いますが。

■木村委員
それはよく分かりますが,我々の病院のいくつかの職種では,あそこは人数が少ないから仕事がきついという評判が立っていて,それで採用試験を受けてくれないという状況もあります。そのイメージは払拭したい。そういう気持ちは強く持っています。
もちろんクオリティの担保は必要ですが,今の状況では人を増やすというメッセージが必要だろうと思っています。

■岩田委員長
そうすると,今の休床は好機と捉えて,開けない方がリアリティは高いんではないでしょうか。

■木村委員
経営だけならもちろんそうかもしれません。ただ地域のニーズという問題があります。
さっき器械の話もありましたが,我々がやらなくても地域が困らないのであればやる必要はないと思いますが,不足があって,どこも手を挙げない部分が残れば,そこは公立病院として頑張ってやらざるを得ないと思います。

■岩田委員長
大手の私立が手を出さないところは,公立病院の責任としてやるんだというコンセンサスは,あるのでしょうか。

■木村委員
市立函館病院の中ではコンセンサスはあります。
地域の医療機関の間でも,以前に比べて,器械の利用や救急の話し合いについては,5~10年前に比べて連携できるようになっているので,少しずつ進歩していることは間違いありません。

■岩田委員長
そういう機運になりつつある,ということですか。

■木村委員
要するに,どこの病院も自施設だけでは立ちいけないことがはっきりしてきました。みんながしっかり立っていないと自分が倒れてしまうというくらいの気持ちをそれぞれが持っているので,もちろん競争はありますけれども,最終的なところではお互い支え合わなければ,というのは共通していると思います。

■吉川委員
函館病院の場合,循環器内科や消化器内科は強いです。医師が増えれば,患者も増やせる。ただ,強いからといって医師が増えるかといえば,増えないんです。そこがやはりネックになっています。それから,新しい診療科,産科とかそういうところが来てくれれば,それもまた患者数が増える要素になります。そういうことを考えると,病床数を今すぐ削減してしまうことはなかなかできないということです。

■岩田委員長
鎌田委員どうぞ。

■鎌田委員
恵山病院,南茅部病院については,函館病院の1/20です。財政というのは,金が詰まればやりたいことができないものですが,恵山病院,南茅部病院の赤字は財政から見れば大したものではありません。これが一つ。
もう一つは,吉川委員,木村委員からお話しがありましたが,人が増えた後のビジョンは置いておいて,人が増えれば収支は良くなるんですか。

■木村委員
ものすごく良くなると思います。いろいろな加算が付き,診れる患者数も増えます。医師が5~10人増えて,看護師さんが20人増えて,薬剤師が10人増えたら,その人件費とは比べ物にならない位収益は向上します。

■鎌田委員
大変心強いお話をいただきました。
現実的にどんなことが人を増やす役に立ちますか。

■木村委員
まず医療者になる人が少ないという根本問題を解決しなければならないと思います。どの仕事であれ,全体の母集団に充分な数がない時に,この地域でと思う人の数は増えないと思います。
もう一つは,同じような仕事をする時にどこで働くかというのは,人によって希望が色々なので,どういう人が望む病院になるかを考えるしかないと思います。我々はある程度レベルが高い治療をして,勉強したい医療職に来て下さい,給料はたくさん出せないけれども,勉強の場は十分に準備しますという病院を目指すしかない,それ以外に人を集める方法はないと思っています。

■鎌田委員
ありがとうございます。地域の魅力が低いというお話しがありましたが…。

■木村委員
魅力が低いというわけではなくて,都会と比べると,ということだと思います。

■鎌田委員
勉強の場になる病院にするということが一番大きいということでしたが,それをするためにはどういうことが必要ですか。例えば目の前の患者さんに対応するのがしんどくて,とか…。

■木村委員
診療のコントロールの問題と,勉強しようと思った時に勉強できる環境を整えること,この2つをどうやって整理するか。
診療のコントロールは,患者に不利益が生じずに,経営が成り立つ範囲でということになります。平成22年度に14億円の黒字を出した時には,救急車を5,000台診ていました。救急車5,000台診るというのは,みんな倒れるほどのことです。去年は4,600台くらいで,前年に比べて400台分くらいはお断りしました。救急車に乗らなくても大丈夫な人もたくさんおられますし,二次輪番制度もありますので,本当に重症な人は運ばれてきますけれども,コントロールが可能でした。
病院の収入だけを考えれば400台入れればものすごく収入は増えます。ただその400台を受ける事によって,働いている人たちがものすごく疲弊してしまうということです。400台を断ったために目標にしているところにいかないとか,赤字になるということはもちろん困りますけれども,経営状態が維持でき,断られた人に直接の不利益がない,という形で診療の量をコントロールすることによって,それぞれの職員にある程度の時間を作る。
それから環境ですね。勉強しようと思った時にインターネットに入っていけるとか,そういう函館にいても医学部があるところに負けないような研修ができます,という環境をなるべく病院に揃えるということです。

■鎌田委員
看護師さんの世界ではどうですか。

■印牧委員
研修に行かせてもらったり,院内の勉強会はこまめに開いています。やはり人が増えていくのが一番なんです。
働いているスタッフは,忙しくなってくると患者さんのそばに行く時間が少なくなって,そこがストレスになっています。看護師の負担軽減に他の職種の方を入れてもらう形で環境を整えてもらえば,もっと時間も作れるかと思います。

■岩田委員長
医師,看護師でしかできない仕事と,代わりのスタッフでできる仕事と,それがどの程度振り分けられるかということですよね。
大学でもそうだったんですが,若手の教員の不満は,研究時間以外の大学の運営に非常に時間を取られるということで,秘書をつけるということもやりました。そういうことはいかがですか。

■木村委員
医療クラークは43人いて,さらに増やしたいとは思いますが,医者の事務的業務をさせるには教育に時間がかかるというのが少し難しいところです。
あと看護助手さんも集まらず,なかなか増やせません。今年から看護師さんの事務的な作業をする人,これには点数付いていませんが,10月から試行を始めています。

■鎌田委員
さっきのお話しで,人が増えたら収支は良くなる仕組みだと聞きました。人を増やすには魅力がある場所にする,ということですよね。
魅力がある場所というのは,勉強の場,勉強の時間を作るということですが,結局人を増やすために人を増やすことになる。そこで岩田委員長がおっしゃったのは,業務の仕切りの切り直し,秘書を付けることで処理できれば,ということですが…。

■木村委員
医療クラークというのは医者の事務的業務の補助,秘書のような役割です。現在43人いますが,65人くらいまで増やせると,今医者がやっている業務をある程度コントロールできるんじゃないかと考えています。新しい職種なのでその教育機関が今のところありません。一般の人を自前で一から教育しなければならないので,一気に増やせないのがなかなかつらいところです。

■岩田委員長
一病院が函館の性格を変えることはできないので,函病の与件,与えられた条件というのはどこまでなのかを把握して,その中でクオリティと価値を見いだした方が,これからダウンサイジングしていく社会の中では良いのではないか。それが最近の考え方ではないかと。
基本のところの目標値が,その与件を越えたものではないかと。正確に函病でできるサイズを分析した上で,それに対して努力目標が何%とか言わないといけないと思いますが,どうですか。

■木村委員
そのとおりだと思いますが,現状維持でも2025年度くらいまでは黒字基調でいけるだろうと思っています。そういう考え方が前提にあります。
どこの科をどう増やせるかというのは,我々の努力もあるんですが,当院は基本的に大学教室の派遣人事で動いているので,教室がどう変わるかで影響を受けます。我々ができることは,若い研修医を教室に送り込み,教室から医師が戻ってくるという構図を発展させることだと考えています。

■鎌田委員
仮説として医師の業務の仕切り直しをして秘書的なことをしてもらうという話がありましたが,看護師さんについても,助手さんが採れれば,収入が増えるという枠組みでお考えなのですか。

■木村委員
看護助手を増やし,先ほど話した看護師の事務的業務の補助者,これには点数がついていませんが,ここを拡充していくことは,職場の環境を整備するという点だけでなく,経営面にも寄与すると考えており,増えることを望んでいます。
もう一つは,人を入れる,診療科を増やすということは,経営の観点だけから考えるという訳にはいきません。地域に不足している医療があれば,そしてそれが民間でできないものであれば,我々がやらざるを得ない,それが自治体病院の使命だと考えています。

■鎌田委員
経営のためでも公立病院の使命でも,少しみんなを楽にするでもよろしいんですが,そのために業務の仕切りの見直しのほかに,何かできることはありませんか。

■木村委員
経営改善のためですか。

■鎌田委員
いえ,皆さんが楽になるためには。

■木村委員
非常に難しい問題があります。風邪を引いても,転んで膝をすりむいても我々の病院に来ていただくか,という話です。
そういう軽症の患者さんは当院の診療対象ではありません,と言い切ってしまえば非常に楽になります。そういう患者さんは病院の収益にはほとんど貢献しませんから,そういう患者さんを断っても経営的にはほとんど影響は受けません。
ただ,ここは程度問題で,自治体病院としてどこまでが許されることなのか。もう一つは,そういう患者さんの中にも,ある一定の割合で大きな病気を持っている方がいます。そういう人たちに,風邪を引いた時は来ないで下さい,大きな病気の時は来て下さいというムシのいい話をすることがいいのか。
地域連携というのはそういうことで,ある意味では非常にムシのいい話なわけで,そこのところがなかなか難しいです。

■鎌田委員
開業医の先生方にしてみれば,そういう人たちに来てもらうのがいいのではないですか。

■木村委員
そうです。国はそれを徹底しろと言っています。

■岩田委員長
このような話をし出すと一晩かかってしまいますが,シリアスな数字の問題が解決すると当然こういう議論になって,それは良いと思うんです。昨年度特例債を一括返済してもらって身軽になった今,新しくどういうところにお金をかけていくんでしょうか。

□本間課長説明
市立函館病院におきましては,平成24~25年度の設備整備で大きいものを手がける考えです。まず,心筋梗塞等の心疾患の検査,治療を行う際に用いるシネアンギオ装置を増設します。これは,市内の医療機関の循環器内科の縮小により,当院の患者が年々増加し,待機患者さんもいるという現状でございますので,現在1台で運用しているものを2台体制にしようというものです。ただし2台運用するには現在のスペースでは手狭なため,病院の北側に専用棟を建設しまして,2台並列で運用しようとしております。現在は専用棟の実施設計に着手しておりまして,工事費等につきましては今後予算化します。シネアンギオ装置は平成25年度10月から稼働予定です。
もう一つ大きなものが,平成25年度に予定している,リニアックというがんの放射線治療装置の更新です。平成12年から使われておりまして,もうそろそろ限界のため更新となります。地域医療再生計画補助金を得て残りは起債で整備いたします。その他の医療器械についても多数更新しなければなりませんので,今年度から徐々に,優先順位の高いものから更新しております。

■岩田委員長
そのほかに,今年はやらなかったけれども,これはやりたいというものはありますか。

■木村委員
だいぶ前からの積み残しのカテ室(シネアンギオ装置)の2室化と,放射線治療装置の更新です。
そのほかに大きな話は,先程少し出ましたけれども,重症救急病棟を作り直さないといけないということです。今閉じている病棟を重症救急病棟にすることも検討しています。
ドクターヘリの問題もあります。ドクターヘリが導入されると,屋上に着いた患者さんを収容するため建物自体をいじる必要もあるのですが,免震構造で大変なため,どういう体制になるか決まってきたら色々試案を作って考えます。そこのところは少しお金のかかる事業です。

■岩田委員長
魅力的な病院にするための内部的な投資というのはないんですか。

■木村委員
まず原資を作らなければいけませんが,通常多くの病院では,医師の研修に対して年間1人いくらという枠が決まっています。その枠で学会に行って下さいとか研究活動して下さいと言います。枠がなくなれば今年はおしまいということがやられています。経営の悪いところでは,枠がほとんどないとか,良いところはたくさんあるとか様々です。
我々のところは,去年からアカデミックな活動をする時には1人いくらと言わないで,病院が負担するという形で,そういう仕事をしたい人をサポートしました。ただ,その時にかかるお金をどこから出すかというと,やはりみんなである程度収益を上げて,と今の段階では言わざるを得ないので,そうやっています。

■岩田委員長
3年間の研究助手とかはそんなに人件費は高くないですよね。

■木村委員
今までは加算が取れることがメインでしたが,今回は看護事務の補助で,全く加算が取れないことが分かっていても必要な人を雇うことができました。他の部門も必要な人は雇うということを当然やれると思っています。

■岩田委員長
大学での経験では,そのことでだいぶモチベーションが上がるし,一度そういうことで名前が売れると人が集まります。

■鎌田委員
何をすれば良くなるかという話をできればどんどん伺いたい。それと,次回以降,それをやるには何がボトルネックなのかと。

■木村委員
函館地域にどういう医療を作りたいかという,当院だけの問題でなく,函館市だったり,医師会だったり,保健所だったり,全体のしっかりしたグランドデザインがないことがボトルネックと感じます。
グランドデザインがないから,極論すると,市立函館病院の役割を市立函館病院が自分たちで勝手に決めているだけです。みんなが認めた市立函館病院はこういう役割をするという共通のコンセンサスが,一部では共有されていますが,全体にはなっていない。そういうグランドデザインを誰も作ろうとしていないし,作られていないのが課題です。

■岩田委員長
誰が主導したらいいですか。医師会ですか。

■木村委員
市が当然行なうべき業務だと思います。病院局の本来業務だと思います。

■吉川委員
県レベルではそういう権限を持って,病院局の事業管理者が県の医療行政を進める責任を負わされる県もあります。確かにやらなきゃだめなんですけど,市長部局がそこまで考えているかどうかという問題もあります。

■岩田委員長
こういう会議の中でそういう意見が出てきたと,メディアの方に書いてもらえば。

■秋本委員
グランドデザインがないという話ですが,総合病院の連絡協議会的なものはありますか。
また,函館病院に来られたのに,市内のほかの総合病院に送り込むケースもあると思いますが,それはマンパワーの問題でなく,設備その他の問題なのでしょうか。

■木村委員
後の方の質問は,当院に専門診療科がない部分に関してはいくらでもあります。当院に診療体制がそろっている科では,非常に患者さんが増えすぎて完全な限界ということでもなければ,私たちの病院でやります。

■秋本委員
基本的にはマンパワーの問題になるんですね。機械設備が良いから別な病院に行った方が良いとか,そういうことはないんですね。

■木村委員
治療に関しては,放射線治療ができるところ,できないところはありますけれども,それ以外の部分で器械によって大きな差が出るというところは,あまり多くはないと思います。診断の部分は結構色々あるんですけれども。

■秋本委員
札幌方面にはそういうケースがあるように見えるんですけれども。

■木村委員
多いのは放射線治療関連だと思いますが。

■秋本委員
もう一つ,グランドデザインを作るような,協議する場は。

■木村委員
病院同士の会議はいくらでもあります。ただグランドデザインをみんなで作ろうという話は出ません。

■秋本委員
誰に言えばというと市長だと思いますが。

■鎌田委員
一つだけ。先程ボトルネックありますか,と聞いたのは,個々の具体的なボトルネックに関してです。個々の小さいことに対するボトルネックです。

■木村委員
わかりました。

■岩田委員長
私の采配がまずくて時間がだいぶたちました。数字はだいぶ良くなってきたので,最後に確認したいのですが,この成り行きでいくと今年度も一応,初期の目標の数字が出ると考えて良いですか。

■木村委員
これをこのまま同じように引っ張れば,函館病院は目標よりちょっと少ないです。例年上半期と下半期比べると,下半期の方が大きいので,例年どおりだとすると,だいたい目標どおりだと思います。

■岩田委員長
今日のところは終わりますけれども,なんとなくコストが高い病院と思いますね。
これからは個々の数字よりもあるべきところをどうするかの話を,渡島の医療圏の中でお互いにシェアしていくためにはどうするかを話さなければならないと思います。ダウンサイジングが始まっている中で1箇所だけ頑張ってもしょうがないという気がしますので,そういうことも含めて考えていかなければいけないですね。
それでは今日は終わりにします。次回は。

□秋元次長
次回の開催日につきましては,改めて日程調整させていただきますのでよろしくお願いします。本日は誠にありがとうございました。

3.閉 会

 

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