「函館市病院事業改革プラン策定懇話会」議事概要(第5回)
 
平成20年11月10日(月)15時~
市立函館病院 2階講堂
   
 
(出席者) 岩田州夫(座長,公立はこだて未来大学副理事長・教授)       
      伊藤丈雄(函館市医師会会長)       
      岡崎弘行(北海道渡島保健福祉事務所保健福祉部部長)
      鎌田直善(公認会計士)
      岩見喜久子(前(社)北海道看護協会常任理事)
      秋本明敏(南茅部地域審議会会長)
      藤原靖孝(恵山地域審議会副会長)     順不同・敬称略
 
(理事者)小柏理事,井上病院局長,藤森管理部長,渡辺管理部次長
     大島庶務課長,藤田経理課長,高恵山病院事務長,
     加我南茅部病院事務長

<開会>

 

〔岩田座長〕

 前回,「概要」として説明があった「公立病院改革プラン」について,今回は「素案」という形でブラッシュアップされているので,事務局から説明を受け,委員の皆さんから意見をいただきたいと思います。その後,この懇話会は今回で実質的審議が終わりますので,この懇話会の報告書(案)を作成しています。これについて皆さんからの意見をいただいて,市長へ提出するという段取りにしたいと思います。

 

〔藤田経理課長〕資料説明

 ○「函館市病院事業改革プラン(素案)」

    ・若干の数値の修正はあるが,基本的に第4回で示した「概要」と概ね同じ内容。

  ・この間,できるだけ皆さんの意見を盛り込んだもの。

    ・(P3)救命救急センターについて若干詳細に記載。

  ・「概要」では,函病において27年度までの経常黒字化は難しいとしていたが,     総務省からの指摘により,27年度までに経常黒字化するとした。

    ・(P5)委託の見直しにおいて「管理会社による包括委託契約も視野に入れ」を追記

    ・委員からの意見等を踏まえ加筆・修正させていただいた上で,後日確認をいただき,   素案ということで公表し,パブリックコメントを求めるという形で進めたい。 

 

〔岩田座長〕

  前回「改革プランの概要」の説明があったので,今回は分かりやすかったのではないかと思いますが,委員の皆様からの意見をお聞きしたい。(特になし)

 特にないようですので,座長の方から,2,3聞かせていただきたいが,前回の内容から今回大きく変わった中に,函病について27年度までに経常収支比率を100%以上(黒字化)にするというものがある。その方法についてどういうものを考えているのか。

 

〔藤田経理課長〕

 P17の人件費の削減について,表現については「概要」にも記載されていたが,事務部門の職員配置の見直し(削減)ということで,職員2名を臨時職員なり,または委託化する,という部分も含めて,平成22年度を目途として盛り込んでいます。

 それからジェネリック薬品の採用ということで,大きいものはほぼ20年度に採用済みだが,これからまたさらに新しいものも出てくるので,そういうものも含めて,随時実施していくということで,毎年5百万円程度ですが見込んでいます。

 それから診療材料費の削減という部分では,3千5百万円程度の効果額と前回まで見込んでいましたが,ここをもう少し踏み込んで,22年度以降さらに1千万円程度効果額が増加すると見込んでいます。これについては例えば,他の公立病院ともさらに積極的に情報交換をして,従来は,3つ位の病院と情報交換をしていたが,先日も市立札幌病院からデータをいただいて,やはり私どもの方がまだ高いものもあり,さらに削減の交渉を進めていくというように考えています。

 それから包括委託については,委託料の見直しの中に含めていますが,既に前回説明した大阪の方の病院で包括委託をしている組織の方から説明を受けています。もし包括を最短でやるとすれば,1年くらいは準備期間は必要だと聞いているが,3年とか5年というスパンで既に長期継続契約を結んでいる委託もあるので,それらの委託期間も整理しながら進めなければならないのかなということも考えて,一応26年度にしていますが,これについては出来るだけ早くと,内部でも検討をしております。

 そういったものの見直しで,函病の部分は3~4千万円程度効果額を増加したということです。

  

〔岩田座長〕

 一番金額の大きい「看護師の確保による患者増」これについては前回と同じやり方で出来るという,今のところの判断でしょうか。

 

〔藤森管理部長〕

 若干付け加えさせてもらいます。「看護師の確保」は,我々にとって非常に重要なことと考えています。それで今,具体的な学院の訪問計画を計画しています。10月に鹿児島に行ってきまして,4校位回ってきました。その中でも1校は,非常に我々が訪問して,評判も良かったということで,その学院の方とは来年度以降も引き続きお邪魔させていただくこととなっています。そのようなことから,九州,関西方面そちらの方に,具体的な訪問の計画を立てているところです。

  またDPCの運用による効率化について,現在DPC実施後の各科ごとの診療内容の分析を進めていまして,月に一度,各科の医師,看護師等が集まり,診療内容について検討をしております。それとDPCのコーディング,診療名の検討も前は毎週でしたが,今は毎日やろうということで副院長以下実施しているところです。

 

〔岩田座長〕

 この改革プランそのものについては,大きな問題は無いと思いますが,そのやり方の具体案については,これから先チェックされていかなければならないのではないかと思います。

 他に特に意見がなければ,ほぼこれでということになりますが,聞くところによりますと,今日出席されている藤原委員は,長らくこの函病に入院されていたということですが,患者の立場からご意見をいただけたらと思いますがいかがでしょうか。

 

〔藤原委員〕

 51日間この函病に入院していまして,懇話会を欠席し申し訳ありませんでした。患者から見た函病のあり方を考えますと,ここの入院患者は,北斗市,松前町,厚沢部町,森町,遠くは青森の大間町,そちらの方からの患者さんがおりました。市内の患者さんが少ないように思いました。毎月広報「市政はこだて」が全戸に配布されるので,この函病のいいところとか,得意なところを広報でもっとPRした方がいいのではないかと感じました。

 それから食事については,私は脂肪とタンパクのコントロール食を食べていましたが,自分なりには満足した食事であったと思います。それから建物については,大変立派に出来ており,余裕があり,患者が随分気持ちが楽に治療が出来るという建物だと感じました。ただ今後,建物が立派なだけに減価償却もそうですが,維持管理に相当お金がかかっていくのではないかと思いました。

 それから実習に看護学生が来ていまして,話を聞くと,来年卒業する学生のうち函病に就職するのは約20人程度だと言っていました。

 あと先生と看護師について,大変親切に扱っていただいたが,一部の先生がこの個人情報保護の時代に,4人部屋で他の患者さんが聞いてはいけないようなことを高圧的に話をしていた先生がいて,その患者さんは大変気分を害して,よその病院に転院して行ったというようなことがありました。

 それから月曜日がたまたま休日になりますと,土日月と3日間窓口が閉まってしまう。土曜日に退院が出来ないというときには,支払いたくても後から振込などになってしまうので,支払い部門だけでも開いていればありがたいのではないかなと思いました。

 それからここの病院だけではなく,私は腹痛で恵山病院に行って,そこから救急車で函病に搬送されました。恵山の消防には救急隊が4人勤務していまして,救急車に3人乗ると隊員が1人しか残らない。その時何かあれば,戸井や椴法華から応援が来るといった状況になっており,職員の削減計画で来年は3人になるのではないかと言われています。今盛んに不採算病院の廃止や見直しなどが考えられているみたいですが,やはり救急の体制と消防の体制を市の方できちんと計画していただかないと地域住民が目に見えて安心というものが見えてこないという不安を持っております。

 

〔岩田座長〕

 今の発言に対して事務局からコメントはありますか。

 

〔藤森管理部長〕

 いろいろとご指摘ありがとうございました。

 ただ1点だけ,我々のPR不足もあると思いますが,土日など土曜日に支払いができないと言われましたが,それは以前から我々も指摘を受けまして,現在,土日祝日や時間外では救急の受付で支払いを受け付けるようになっております。これからもPRに努めたいと思います。

 あと個人情報の話もありました。改めてきちんと受け止めさせていただいて,ドクターの方にも伝えていきたいと考えております。

 

〔岩田座長〕

 それでは改革プランの素案について,これ以上の意見がなければ,この素案を最終的な(素案)としてパブリックコメントを求めていくことにしますが,よろしいですか。それではそのように取り計るのでよろしくお願いします。

 次の議題に入りますが,この懇話会は今回でほぼ最終という形になりますが,報告書を作らなければならないということで,「報告書(案)」をここに作っております。これは実は原案は事務局に出してもらったのですが,私の方で全部目を通しまして,内容をかなり変えています。ただ表現の仕方が私の表現と事務局の表現の仕方が全然違うので,事務局から説明すると言っていましたが,やはりこの会の座長としましては,それはおかしいと思いますので,私の方から主旨,内容を説明させていただきます。もし異議がありましたら,その都度言っていただけたらと思います。

 ではまず1ページ目ですが,「はじめに」のところで,これはこの懇話会を持たなければならなかった前提条件が書いてあります。これは我々が話し合ったことではなくて,この会の前提ですので,このとおりだということで,読んでおいていただければと思います。我々の懇話会の内容については,1ページ目の「1.懇話会で出された主な意見等」から始まりますので,そこから説明します。

  最初は,文章で単文となっていましたが,分かりやすくするために,このような箇条書き風にしております。

 まず「1-(1)全般的なことについて」

① 市立3病院は不採算な部門を担っており,これは住民にとって重要な役割であって放棄できるものではない。

→ 市立函館病院,救急を含めて,一般の民間病院では持てない部門を持っているということで,そういうところを残さないと成り立たない医療があるということから,我々の最初の意見として,市立病院を無くすという話にはならないだろうと。不採算なものでも持たなければならないものもあるということを合意したと思っています。

② 民間病院がやれることを公立病院がやれないということはない。

→ 逆に言うと,もっと割り切れるやり方があるのではないかという意見が出ている。

③ 市立3病院とも維持存続させるためには,もっと赤字幅を圧縮すべきである。

→ 初期の段階では患者が少ないのは医師と看護師が足りないということで,それが充足されれば黒字になるというような文脈が出ていたが,それはそれとして高いハードルなので,それだけではこの改革は成り立たないのではないかという意見がありましたし,私も出しました。そういうことで現在の各セクションごとで実際どれだけの赤字があるのかということを見て,それは圧縮するべきではないかという話をしたわけです。

④ 目標数字の実現のためには,経営の効率化とそれを進める論理的なプロセスが必要で ある。

→ 目標はすぐ立ちますが,それをどのように分析し,何が問題だから,どういう形でそれを潰していくかということに対して,明確なアクションプランがなかなか見えなかったということで,それを作るべきだということを皆さんがおっしゃったということです。

⑤ 経営健全化に障害となるものを,職員一丸となって取り除けるかが重要である。

→ 今ここにいる病院局の職員の方からは非常に問題意識が見えるのですが,最終的には3病院全体での11人の方が赤字の対応に対してどう取り組むかということを日々考えて行かなければ,なかなか上で旗を振るだけでは出来ないという指摘があったということをここに書いています。

⑥ 現場の担当者が健全化策を確実に実行していく明確な意志を持つことが重要である。

→ ⑤と⑥ほぼ同じ事を書いています。

⑦ 病院局内各セクションの連携をもっと深めるべきである。

→ 病院局で大きな目標を立てて実際に計画を練っているが,それを各病院,各セクションと十分に話をしていると聞いてますが,それがもっと表に出て,きちんと動けるようにと考えています。

⑧ 右肩上がりの改善計画には,実現に向けた明確な根拠が必要である。

→ 今回の赤字対策として,まず医師を増やし,看護師を増やし,ということは言うならば,組織を大きくすることによって改善になるということなのですが,この根拠となるところの医師が本当に集まるのか,また5年計画であった看護師の増員計画に明確な根拠が立つのかということを我々は指摘しています。

 その実現のために,

⑨ 誰がいつ何をどうするのかといった具体的なものを明確にして進めないと変わってい かない。

→ 計画はいくらでも文章として書けると思うが,では具体的にそれを実現するためには,どういうアクションプランがあるのかというところまで,次は下ろしていただきたいということです。

  さらには,こういうことは小さな改革の積み上げが必要なのですが,大きな旗印がないと,3病院にいるたくさんの職員がなかなか頂上に向かって動くことが出来ないということから,

⑩ 経営改善の内容には,インパクトのある項目が必要である。

→ やはりインパクトがある大きな項目があって,さらに付随する小項目を含めた,そう いうやり方が必要ではないか。

⑪ 全国レベルの指標に到達できるよう努力してもなお生じる赤字については,繰入金の 検討対象になると思う。

→ 最終的には,全てにおいて一般会計からの繰り入れも含めた税金からの補てんということになっていますが,当然それでやらなければならないところもあると思うが,それをやるためには,出来るべきことはきちんとやっていただきたいという我々としての期待です。

⑫ 単に従来どおりの繰入の仕方であれば賛成できない。

→ ⑪に関連して,このような意見も委員の中からあった。

⑬ 独立行政法人化など経営形態の見直しについては,早急に検討すべきである。

→ もっとトップに立たれる方に大きな権限を持っていただいて,その意志に従って動くという,そういう形の方が動きやすいのではないかということから,独立行政法人化等は早急に検討されて出来るものなら独立行政法人に移行されることを我々としては勧めるという意見が強かったということです。

(2)市立函館病院について

① 函病を残すことは賛成である。

→ 函病は公立でなければ診れないものを診ていただいているということで残すべきなのですが,これは前の①~⑬までのことが十分に達成されなければ残せないだろうということです。

② 地方センター病院の役割を維持することは必要である。

→ これも①と同じ意見です。

③ 他の公立病院と比較して,建物の規模や病床数が少し大きい。

→ これは現在の経営をやっている方々にとっても大きな建物,設備であって,これはこれとして,大きいものをいつまでも大きいままで不合理なままで使うわけにはいかないので,設備関係の有効利用等があれば見直すべきではないかということを言っています。

④ 診療科によってはスリム化を検討する必要がある。

→ これは病院局からも話がありましたが,本当に置かなければいけないものと,あった方がいいものという仕分けは最終的にしなければならないのではないかという話があり,それはそのとおりだという話になったものです。

⑤ 地域の病院や診療所との連携,ネットワーク化を強力に推進すべきである。

→ 北海道をいくつかのブロックに分けるという話も含めて,単一の病院ではやっていけないところまでどこの病院も行っていると思うので,強力にネットワーク化を進めていただきたい。それについては,医師会の伊藤先生にもぜ力を発揮していただきたいと私からもお願いしております。

 使われない病室など余剰施設の有効活用策を検討すべきである。

→ ただただ電源を切って置いておくのではなくて,少しでも金を生む方法があれば,考えることがあるのではないかということです。

(3)市立函館恵山病院・市立函館南茅部病院について

① 医療というのは効率だけで論じてはならない。2病院は合併して間もないこともあり,現時点では,診療所化等の選択は難しい。

→ 一病棟化が既に実施されていますので,しばらくは様子を見たいという話もありました。とはいうものの一方では,将来的な診療所化というのは選択肢としては捨てるわけにはいかないという意見もあったと思っています。

② 2病院については,将来に向けそのあり方を検討していくべきである。

→ そういう意味でこのようなことが言えると思います。

  実は先般,私は恵山病院の無料送迎バスの見学に行かせていただいたのですが,やはりあの坂道の中で住んでおられる皆さんを見ると,相当公的な病院として残らなければやっていけないのかなと思いました。南茅部は行っていませんが,同じような状況なのかなということで,一概に効率だけでは言えない実情を見せていただいたような気がします。

③ 2病院が担うべき医療を,地域の歴史や人口構成,地理的要因などを踏まえ,需要の面から検討すべきである。

→ これから5年,10年の人口動態を見ると,かなり厳しい状況ではないかと,それに見合うだけの医療をどうするか検討すべきだという意見です。

④ かかりつけ医となる総合医や家庭医を育てるという教育的な役割も付加して考えることが重要である。

→ このような意見も出ていました。

⑤ 地域医療にあっては,保健・医療・介護の切れ目のない体制の構築が重要であるが,合併後の地域の体制は不十分である。

→ これは一見,合理化とは結び付かないような気がしますが,やはり唯一の病院として必要なものは残すという意見だと思います。

⑥ 南茅部病院の病床利用率向上のため,休止している療養病床を早期に廃止し,あわせて病室を改修して入院環境の向上に努めるべきである。

→ 今回については,病室の改修,入院環境の向上という点については,実際には検討していませんが,課題として検討してみてください。 

(4)看護師確保について

① 看護師を確保するためには「病院のセールスポイント」を明確にして,普段から良好な職場環境をアピールしなければならない。

→ 看護学院からこの病院に来る卒業生が意外に少ないという話も聞いていまして,これはアピールの仕方,いいところは何かというようなところも含めて,日頃のPRが必要ではないかということです。 

② 函館病院で働くメリットを強調すべきであり,それを外に向けて発言するようでなければならない。

→ これも同じ事です。この①,②に関してですが,私も教員として高校生にたくさん試験を受けてもらわなければならないということで,結構あちこち日本中を歩いていますが,函館という土地自身は非常に好感度が高い。さらに細かく分析すると,函館に好感度が高い人がいる地域があります。例えば群馬とか静岡とか神戸の一部とか,こういうところは各大学の情報を持っていると思うので,そういうところの看護学校に行くと,ひょっとしたら,ただただ走り回るよりもいい結果が出るのではないかと思います。先ほど鹿児島の話もありましたが,そういうメリットの強調やアピールポイントの提示等は戦略的にやられるのがいいと感じています。

③ 生涯にわたって看護職を育てる教育プランと職場環境の良さが人を引きつける。

→ 病院の環境,20人しか入らないという話があったが,これも含めて検討していただきたい。

④ 看護学生にとって病院実習での体験は就職先を決めるうえで大きなウエイトを占める。

→ 逆に言えば,病院での看護実習で来たくなるような教え方,カリキュラムの持ち方も検討していただきたい。

⑤ 実習学生に対する教育について戦略をもって取り組むことが大事である。

→ これは④とセットになっております。

⑥ 他の看護師養成施設等の訪問をもっと積極的,かつ戦略的に行うべきである。

→ 函館という土地に対しての好感度が高い地域がありますので,それも含めた戦略的な訪問というのもあるのではないかと感じます。

(5)経費削減について

① 民間病院と比較して,材料費,委託費などが高い。

② 前例にとらわれず,購入方法の見直しなどを積極的に検討すべきである。

→ ①②については,函館市の公立としての購買方針がかなり影響しているのではないかと思うが,生き残りを最終的に検討する形になると,やはりそういうことだけではやっていけないことになるので,独自の購入方法も考えるべきですし,それが難しいいろいろな問題も出るということから,独立行政法人となってもっと自由な責任,判断で行けるところまで最終的に行かないと,なかなか安くは買えないのではないかと思います。そのあたりの方法等を検討していただきたい。

③ 業務委託や物品購入などの契約に当っては,競争性がより強く働く方法を導入すべき である。

→ はっきりいえば,函館市以外にある業者からも競争入札で買えるような方法も最終的には必要ではないかと考えています。

④ 光熱水費や燃料費などは,更に節減できる余地がある。

→ 日々の生活の中で,全体で経費節減,個々の職員の意識に負うところだと思います。

⑤ 事務職員のプロパー化を推進すべきである。

→ 現在40人市から派遣されているという話ですが,出来るところからプロパー化をして,効率と人件費削減ということも考えるべきではないかと考えています。

 

 以上までが,皆さん方がこの懇話会で発言したことをエッセンスとして書いたものです。

 これに対しまして「2.まとめ」のところですが,これは皆さんの意見をお聞きしながら,私が座長として感じたことを書いています。ここは私の文章ですので,前の(1)から(5)までにかなり重複しているところはありますが,この懇話会としてのまとめというように書きました。読ませていただきます。

 

 [ 函館市病院事業改革プラン策定懇話会報告書(案)P34「2.まとめ」

 

 ということでまとめましたが,これについて委員の皆さんから,これでは「甘い」とか,「言い過ぎだ」とかあればご意見をいただきたいのですが。

 

〔鎌田委員〕

 まずは座長,お忙しい中,貴重なお時間をこのようにまとめていただいて,御礼を申します。

 一点目に,とにかく計画が出来たということなので,それの実現を図ること。それのみだと思います。例えば具体的には,その数字ですが,実際に日々業務を指揮されるのは,各診療科の責任者の方だったりするのでしょうから,そういった診療科別ですとか,当然そのようにブレイクダウンされたこの計画の数字があって回されて行くと思いますが,そういった本当にこの数字を実現していくぞという行動を切に望みます。 

 二点目に,事務局の方に明確な記録をお願いします。私こういったようないろいろな組織のお手伝いをさせていただいてまして,本当に経営が斜めになってお金が続かなくなると,いろいろ格好を付けて数字を練り合わせても,最後に持ちきれなくなると本当に手放してしまうのです。潰れてしまいます。そういった時に,それまでの間,あれこれ数字を取り繕って,最悪の場合はこうしようと思っていたことよりも遙かに悲惨なことが起きます。新聞などに民間会社であればたまに出ますよね。その時になったら,民間譲渡は避けたいとか,何とかの方法ではない方がいいとか,そんなことを言っていられないようなことが起きます。実際に金が続かなくなるのですから。将来そういうことが,万が一にもないように,何しろそうなった時に,市立函館病院という一番大きなものを失うのは市民ですから。そういうことが将来起きないように,今からこの計画が一月でも早く実現するような,真剣な努力を切に期待します。

 

〔岩田座長〕

 まだ体力のあるうちに手を打てということですね。

 

〔岩見委員〕

 少し前までは,患者は病院を選ぶときに,評判を聞いて選んでいたが,これからは,内容など具体的なものがしっかり見えるということ,中身が分かるという事を知りたくなっていると思います。

 看護師の確保についても同じような事が言えて,学生にしろ,また現職でいて,またこの病院を選びたいという看護師達が,何を持って病院選びをするかというと,具体的なものが見えることだろうと思います。

 9月の懇話会の時に,ホームページのことも話させていただいたが,ホームページできちんと看護局が見えるようにもう少しされていれば良いが,少し前までは教育プランなどが出ていましたが,それがもう消えてしまって,今は看護局長の顔も多分出ていないのではないかと思います。今は看護局の事が載っていますが,この後がないのです。この後に,看護師を育ててもらえるものが何があるか,ここが大事なのではないかと思います。看護学校の教師達は,割とこのホームページを重要視して見ています。ですから大事にされたらいいと思いますので,タイムリーに情報を更新していくことが必要かと思います。

 それから看護職員も看護師募集に参加させてみてはいかがでしょうか。認定看護師もいますし,例えば看護師長達で感染症をやっているとか,医療安全をやっている方がいれば,その方達がいろんなところできちんと函館病院のやっていることを話すことで,また看護師募集になっていくわけです。そういうようなPRの仕方をしていく。それから今,20人位しか看護学校から入ってこないということでしたので,よその看護学校からも学生さんを引きつけなければいけない。そうするとその引きつけ方としても,卒業生がいたら,その卒業生を連れて看護学校を訪問するなど,それからインターシップをやってみる。そのためには現場の看護の基盤がしっかりしていなければ引きつけることにはならないので,そこも一緒にやりながら学生を引きつけていく。現場の看護もきちんと看護師が生き生きと気持ちよく働いて,患者さんを味方につけられるような看護を普段からしていることが大事だと思います。

 あと人を育てるには,育てる人が必要なのです。その要は,やはり各部署の師長などの力が必要だと思います。その管理職の方達のしっかりした位置づけなどが必要だと思いました。

 

〔岩田座長〕

 今の件は報告書に追加しましょう。

 

〔岡崎委員〕

 8月に広域連携に関する会議を開催しましたが,そこで西尾市長より,(国の言う3年で黒字にせよという)改革プランでは「絵に描いた餅」になるのではないかとの発言があった。そうならないよう,計画を実現できるよう頑張ってほしい。

 

〔秋本委員〕

 各委員の方からの意見は,私も同様に思っておりますが,報告書の4ページの(2)に「独立行政法人化等の経営形態の見直しを早急に検討することを提案する。」と書かれています。特に岩田先生から独立行政法人化への勧めの意見が出ていますが,一方,素案の10ページには「独立行政法人等の是非の検討を続ける。」と書かれています。実際に,独立行政法人化等への検討が始まっているように見えるのですが,実際にはその検討に入っているのかどうか伺いたい。

 

〔藤田経理課長〕

 これについては,全適をする18年の段階から,全適,独法化,指定管理者制度とそういう制度自体のどういったものを適用するのが良いのかということも含めて,検討は続けています。その中で今すぐ出来る形,それぞれのメリット,デメリットを勘案した中で,18年度から全適にしたということでありまして,独法化や指定管理者制度については,その後も内部では検討はしています。特に独法化はすでに他の病院でも適用しているところもありますし,そういった意味で検討は続けるとさせていただいているところであります。 

 

〔藤原委員〕

 鎌田先生とほとんど一緒ですが,27年度までの計画が書かれていまして,この計画が「絵に描いた餅」にならないように,末端の職員までも計画を共有し,この計画を実施していくことが大切なのではないかと思います。

 

〔岩田座長〕

 一応,これでこの懇話会はほぼ終わりということですが,特に進め方についてなどご意見がありましたら今のうちに言っていただければ,それも反映させますが。「絵に描いた餅」にならないように迫る方法は考えてみます。

  それでは報告書は次の段階はどうなるのでしたか。

 

〔藤田経理課長〕

 今後のスケジュール,進め方ですが,素案についてはこの形で,報告書については若干,加筆・修正がありますので,報告書については,その加筆・修正したものを後ほど委員の皆様にお届けしまして,ご確認いただいた上で,まず報告書ですが,11月の下旬から12月の上旬になると思いますが,市長と委員の皆様の日程調整をさせていただいた上で,出来るだけ皆様に出席していただいた席上で座長の岩田先生の方から最終の形の報告書を市長に手渡していいただきたいと考えています。素案については,この後函館市議会の所管の委員会に報告をするとともに病院局のホームページに掲載しパブリックコメントをいただくということで,素案に対するご意見,ご要望をお聞きしていきたいと考えています。

 そしてご意見,ご要望を踏まえて,改革プランの案という形で作成しまして,来年2月位になろうかと思いますが,最終的な協議のために,委員の皆様にもう一度お集まりいただき,最終案に対してご意見を賜りたいと考えております。

 ですから2月までの間に素案に対しまして,さらに何かご意見がありましたら,また函館市の病院事業そのものに対しても追加のご意見等がありましたら,いつでも結構ですので,私どもの方にご連絡をいただければと存じます。私ども年内は12月30日まで,新年は1月6日から営業です。市立函館病院は1月3日も開けておりますのでよろしくお願いいたします。

 なお2月頃の日程については,年が明けましてからご相談をさせていただきたいと存じます。11月については,報告書がまとまり次第,市長に渡すような場を設けさせていただきたいと存じます。

 

〔岩田座長〕

 それでは,11月下旬から12月上旬の皆様の日程を調整させていただきます。

 あと一点ですが,特例債の動きはどうなっているのでしょうか。

 

〔藤田経理課長〕

 特例債については,現在,北海道の方が最終的な調整で私どもの案を総務省に持ち込んだ後にいろいろ修正した部分をもう一度総務省と協議しているという段階でして,早ければ年内とかに一定の回答が頂けるのかなと思っていますが,総務省の方の作業がどの程度まで進んでいるのか私ども分かりませんので,それについてはまた情報収集に努めまして,次回,11月末とか12月にお会いするときにはご報告できるかなと思っております。

 

〔岩田座長〕

 その件の最終決定については,この改革プランが出来ていることが必要なのですよね。

 

〔藤田経理課長〕

 それはもちろんです。今お示ししている「素案」が基本的には総務省の方に上がって行っているという形です。

 

〔秋本委員〕

 11月末頃の市長への報告書提出ですが,みんなで集まらなくても,これだけ文章にも書いてありますから,座長に一任でもいいのではないか。

 

〔岩田座長〕

 私一人でも皆さんのおっしゃったことは覚えておりますのでいいのですが,忙しければ別ですが出来れば皆さんにも出ていただきたいなと思っています。事務局はどうですか。

 

〔藤田経理課長〕

 出来ればなかなかそういう機会はありませんので,市長との席を設けまして,委員の方々からも一言言っていただければと,時間はそれほど長くは取れませんが,そういうような席を設けられればと思っていましたが。

 

〔岩田座長〕

 では,こうしましょう。この懇話会は,懇談が趣旨ですので,一応,市長と私のスケジュールを調整して,そこに出ていただける方には出ていただく。それでよろしいでしょうか。ただ懇談ですので,市長と懇談出来るいい機会だと思います。

 

〔秋本委員〕

 やった以上は,私も出席しなければ行けないと思っています。 

 

〔伊藤委員)

 提言としては,これだけ立派な報告書が出来たのでこれはよろしいと思うのだが,これからの病院に対して望みたいこととして,正直,この策定計画は“甘い”と思う。というのは,まず支出の面に関しては,もっと切り詰められる。私は最低この3倍は行けると思っている。もう少しそこは頑張られた方がいいのではないか。私も病院を経営しており,昨今のこの厳しさもわかっており,我々も(経費削減を)やっている。我々がやっているものと規模を比較するともっとできるのではないかというのが本音です。

 私はいろいろな勉強会などに出席しているが,ある席でこういう話が出ました。国(厚生労働省)が,生き残れる病院の条件というものは,病床稼働率93%を目指すのだそうです。また病院が今後,前向きな投資をしていい病院として生き残るためには,最低8%の利益率を上げなければならないと言われています。生き残るには最低5%とよく言われるのですが,今や5%の利益率を取っている病院は民間でも半分もありません。そういう厳しい状況なので,国がとんでもない案を考えていると私どもも正直青ざめたのですが,病床利用率85%というライン,私はこの単価とかいろいろ考えると,85%ラインを早急に達成できれば,かなりの赤字削減になる。そのほとんどがその答えではないかと思う。その努力をできるだけ早急に,そのためには患者への対応とか,職員の市立病院を愛するという気持ちです。私は開業して20年になるが,職員には徹底してそのことを教育してきた。それでもなかなか残念ながら達成できていない。そのくらい病院の理念というものは難しいのだと思うが,なんとかそこのところを頑張っていただければ,思った以上の数字は出せるのだろうと思ってます。

 

〔鎌田委員〕

 明日からでも出来ることを一つ言います。

 改善策がいろいろ出されたが,私は5年で,その4分の1も出来れば,万々歳だと思ってます。

 一番大事なのは,11人がこの数字を共有するということ,それに尽きます。

 そのために今,全体計画を多少ディスカウントして実現可能なものにした方がいいだろうけど,その全体計画を診療科別に,組織別にして,それぞれの責任者が自分が来年出来る数字を持ち寄って,それを足し込んだら全体計画になる。それぞれの科の責任のある方,あるいはそのサブの方,作戦担当の方,そういう方に集まっていただいて,その数字を共有すること,これは明日から出来ます。

 

〔岩田座長〕

 最後になって,私が言ってほしいことを皆さんが言ってくれましたので,この会を終わりやすくなりました。ありがとうございました。

 まとめに書いていますが,「入りを量りて出るを制する」これは当たり前なのです。問題は,どうやってやるかという意識改革が一番大事な事です。私は前職では倒産の憂き目にあったような会社にいましたけども結局最後は職員がやる気になって,一人一人がやると元に返るのです。ということが一番大事なことだと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 

〔渡辺管理部次長〕

 それでは,最後に,病院局長の井上より,ご挨拶申し上げます。

 

〔井上病院局長〕

 5回に渡りまして,委員の皆様におかれましては,数々のご意見,ご助言等をいただきまして,本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。

 とりわけ,岩田先生には,座長として素案と報告書の作成にご尽力をいただきまして,お礼申し上げます。

  これからの作業は先ほど説明がありましたとおり進めていきますが,最後に,大変厳しい,あるいは進むべき道をお示しいただいたということで,我々は一丸となって進めていきたいと考えております。これからも皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。

本日は,どうもありがとうございました。

 

                                                                  (終了)

 
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