「函館市病院事業改革プラン策定懇話会」議事概要(第1回)
 
                      平成20年6月25日(水)16時~
                      函館市役所8階第2会議室
   
 
(出席者) 岩田州夫(座長,公立はこだて未来大学副理事長・教授)
      鎌田直善(公認会計士)
      前沢政次(北海道大学大学院医学研究科医療システム学分野教授)
      里見修二(北海道渡島保健福祉事務所保健福祉部次長)
      岩見喜久子(前(社)北海道看護協会常任理事)
      秋本明敏(南茅部地域審議会会長)      順不同・敬称略
 
(理事者) 西尾市長,小柏理事,井上病院局長,藤森管理部長,渡辺管理部次長
      藤田経理課長,高恵山病院事務長,加我南茅部病院事務長
<開会>  
<市長挨拶>
〔西尾市長〕
 皆さんこんにちは,今日は第1回函館市病院事業改革プラン策定懇話会ということで,皆様に委員をお願いしたところ,それぞれ大変お忙しい中ですが,お引き受けいただき誠にありがとうございます。そのお礼と市長として一言ご挨拶をさせていただきたいと思います。
 新聞等に書かれておりますよう,特に北海道,東北では医療崩壊というような非常に厳しい状況が続いてございます。その中でも自治体の財政全体が公立病院の赤字によって破綻してしまうのではないかと言われるような状況にございます。
 函館市では,平成16年12月,周辺の4町村と合併し,恵山と南茅部の2つの国保病院を持ち,函病と合わせて3つの病院で一つの病院事業会計となりました。平成18年4月には,地方公営企業法の全部を適用し,企業管理者を置くという組織改革を行ってまいりました。この間の取り組みとしては,いろいろやってきておりますが,一つは函館病院において,病院機能評価の認定を受けるということで,そのためには病院改革をしなければなりませんので,サービスや医療の質など各診療科ごとに議論をして,改善点を作って,機能評価の認定を受けております。またがん診療の拠点病院の指定も受けるなど改革をしてきているという状況なのですが,函館の病院事業は,医療制度改革により医師がいなくなった影響で,診療科によっては休診もございます。また診療報酬の引き下げと,7対1入院基本料創設で看護師不足になり,函館病院では7対1が取れなくて10対1で行っており,恵山・南茅部病院では15対1の基準すら取れないことで減収となり,現金ベースで約38億円の不良債務を抱え,破綻に近い状態となっております。国では,
まだ内容が不透明ですが,15年度以降の医師不足で生じた赤字については,公立病院特例債を発行し,一旦棚上げにして再建を図るという制度が出来ております。これにあたっての国の条件は,改革プランを作りなさいということになっております。これ以上赤字を増やさないよう一定の収支に見合うような状況に持って行くことを前提として,そのために病院改革をどうするか,議論いただきたいと存じます。
 函館病院はがん拠点病院,救命救急センターという道南地域には不可欠な病院であり,また地域にとっては駆け込み寺的な病院でございます。その役割を担いながら改善点を見いださなければなりません。
 夕張の件から自治体の財政状況は連結決算で見ることになり,病院事業がまちづくり全般に影響してくることから,病院の改革は市を挙げての最大の命題でございます。地域医療の確保,病院の収支の改善を含めて,聖域なくご議論をいただいて,改革プランができるように,ご協力いただきたくお願い申し上げまして,お礼の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
<自己紹介>は省略
<国・道の動き,病院事業の現状等についての資料説明>は省略
 
<質疑>
〔岩田座長〕
 現状はだいたいわかりました。質問ありますか。
 
〔鎌田委員〕
 函館病院の7対1入院基本料は取れたのでしょうか。
 
〔藤田経理課長〕
 6月1日に取得しております。
 
〔前沢委員〕
 函館病院は研修指定病院として,研修医は何人いるのでしょうか。
 
〔藤田経理課長〕
 初期研修医は毎年10人程度なので,1年目2年目合わせて20人くらい,後期研修医は5人くらいとなっております。
 
〔井上病院局長〕
 補足説明として,後期研修医は大学とのつながりがあり,大学の医局に属した形をとっております。
 
〔岩田座長〕
 (恵山病院と南茅部病院を一元管理する)地域総合医療センター構想について,患者側から見た場合,南茅部は90%以上地元の患者なのに対し,恵山は旧函館から多くの患者が来ているなど,この機能は上手くいくものなのでしょうか。
 
〔井上病院局長〕
 2つの病院は独立していた歴史があり,すぐにこの形とはならないでしょうが,
まずはバーチャル的な組織で運営し,医師の確保や病院間の医師の交流を行う拠点として考えていきたいと思っております。将来的には地域の医療は病院だけでは完結しない問題なので,行政と一緒になっていくのかなと思います。とりあえず組織は立ち上げ進めたいと考えております。
 
〔秋本委員〕
 南茅部病院を一般病床,恵山病院を療養病床というふうに一病棟化していますが,センターによる一元運営は,効率的に運用できるのでしょうか。実際にはかなりの距離がありますが,どう運用するのでしょうか。
 
〔井上病院局長〕
 病床は一般と療養になっておりますが,患者の態様としては,入院の患者はそう変わりません。医師,看護師,医療従事者の交流を図ることで一体感を作りたい。南茅部病院の患者を恵山病院に移すことなどは考えておりません。診療自体はそれぞれの病院で運営されなければならないということです。
 
〔鎌田委員〕
 収支見通しの19年度見込みで,資本的収支では,借金を返すために市からお金をもらっています。収益的収支では収益のうち繰入金が市から10億入っています。これを入れても20億の赤字です。もらわなければ収益的収支は30億の赤字となります。これで持続的な経営ができるのでしょうか。
 
〔秋本委員〕
 それはルールによる繰り出しですね。問題になるのは,赤字になっている部分を一般会計からどう入れるのかということで,それを改革プランで作っていかなければならないわけですよね。
 
〔鎌田委員〕
 数字的には,函館病院の赤字が9割なり8割を占めますので,そこが一番大事なポイントだと思います。
 
〔藤田経理課長〕
 鎌田先生がおっしゃったように,他の病院と比較する場合,一般会計繰入金の大小によって,黒字になっているところもあれば,赤字になっているところもあります。そういう時にはこれを抜いた比率で比較するのも一つの手法だと言われております。
 
〔鎌田委員〕
 そういう数字の資料をお願いしたい。
 函館病院は急性期病院として高度な医療を担うということですが,他の部分は縮小するいうことなのでしょうか。
 
〔井上病院局長〕
 場合によってはそうした検討もしなければならないとは思いますが,救命救急センターがあるため限られた部分しか縮小できないと考えております。
 
〔岩田座長〕
 病院という性格上,持続できないからといって簡単にやめてしまえとはなりません。それを我々が議論しなければならないと思います。
 
〔前沢委員〕
 合併後の旧4町村の地域を歩きました。保健医療介護の切れ目ない体制の構築が重要と言っていますが,市の体制は逆行し,合併により中央集権的,縦割りになっています。今後も中央集権型に行くのか,それとも分散型にするのか,行政のあり方の柱を考えるべきではないでしょうか。
 
〔井上病院局長〕
 改革プランは市としてまとめますので,そういう意見が盛り込まれることもあり得ます。
 
〔小柏理事〕
 ご指摘の部分は特に保健師さんの部分で,合併後,東部保健事務所ということで,椴法華支所の方に4支所分をまとめるという形に移行したわけです。その他の福祉の分野ついては,本庁が集約をするという流れになっています。ご指摘の部分は声として私どもも聞いております。ただ合併前の地域の関わり方,このほか旧函館地域と旧4町村地域との関わり方の密度の違いとか,長年行われてきた事に対する住民の感覚の違いとか,そういったものが混じり合っている状況だと思っています。それで病院局からこの地域総合医療センター構想というものをもらっていますので,改めて,これは医療だけの問題ではなくて,保健,福祉も加えた,トータルとしての特に4支所管内の保健,医療,福祉のあり方という部分を再度検討し直そうという考え方でおります。結果は別としても再度検討しようということになっています。
 
〔岩田座長〕
 一般論として権限を移譲して活性化する方法は効果があると思います,ただし大きな組織があった上で権限を移譲していかなければなりません。小さな組織があって各々やられて皆幸せになったというものは今まで見たことがありません。だからこういう総合医療センターのような大きなものを作った中で,どこまで地元に権限を移譲すれば活性化するかという論議になると思います。大きなところでは,きちんと目標を立てたから権限を移譲できるという体験をしております。
 
〔前沢委員〕
 センター構想の中で拠点作りをうまくしていただいて,介護を含めてやっていただきたいと思います。
 
〔岩田座長〕
 時間がないの,今中に質問したいという方はおりますか。
 
〔岩見委員〕
 恵山病院の小児科医が南茅部病院に行っていると聞きましたが,そのほかの3病院間の交流の事例はあるのでしょうか。
 
〔井上病院局長〕
 3病院間の交流はなかなか進んではおりませんが,恵山の褥瘡対策に函病の認定看護師が行って指導し効果を上げています。函病の研修に恵山の看護師が参加しています。医師部門では南茅部病院に函病から循環器系の医師が行っております。そのほか薬剤師が病欠の時に応援に行ったりしています。少しずつ意識を醸成するのが大事だと考えております。
 
〔里見委員代理〕
 わからないことも多かったのですが,現状もある程度理解させていただきました。特に旧4町村での今後の考え方,基本的にはかかりつけ医にということで存続していくと,大きな目で見れば,そういう方向になるのかなと感じました。これからは医療水準の確保と財政運営,この両輪ですが,そこのところが議論されるのかなと思っております。
 
〔岩田座長〕
 次回は本日の資料の説明を踏まえて,3病院の役割の整理や,繰出基準の検討等を進めていきたいと思います。他に資料で必要なものがありましたら,次回までに事務局に用意してもらいます。
 
〔鎌田委員〕
 市立病院で800床を超えるところの特徴は,神戸,横浜という大都市で財政力が強く,いくらでも一般会計から資金を繰り入れできるところか,中小都市でその地域における 立病院の病床シェアが8割というようなところが黒字,函館のような30万人程度の都市では大変な赤字となっております。比較できる資料として出してほしいと思います。
 
〔岩田座長〕
 それでは,本日はありがとうございました。
 
井上病院局長〕
 本日は貴重な時間を拝借いたしましてありがとうございました。今日は病院事業の概略を説明することに時間を費やしましたが,次回からは,今日の資料と追加の資料を中心に,説明を少なく,議論の時間が多くなるように期待をしております。あと4回以上に渡ってやるということになりますが,議論の内容などから少し回数が増えるかもしれませんし,あるいは文書でやり取りするなど,できるだけ密度の濃い内容を作っていただきたいというのが私どもの希望でございます。今日はお忙しいところ貴重な時間をいただきましてありがとうございました。                                  (終了)
 
Copyright (C) 2007 hakodateshibyoinkyoku