「函館市病院事業改革プラン策定懇話会」議事概要(第2回)
 
                      平成20年7月22日(火)15時~
                      市立函館病院 2階講堂
   
 
(出席者) 岩田州夫(座長,公立はこだて未来大学副理事長・教授)
      伊藤丈雄(函館市医師会会長)鎌田直善(公認会計士)
      岡崎弘行(北海道渡島保健福祉事務所保健福祉部部長)
      鎌田直善(公認会計士)
      岩見喜久子(前(社)北海道看護協会常任理事)
              藤原靖孝(恵山地域審議会副会長)
            秋本明敏(南茅部地域審議会会長)      順不同・敬称略
 
(理事者) 小柏理事,井上病院局長,藤森管理部長,渡辺管理部次長
        藤田経理課長,高恵山病院事務長,加我南茅部病院事務長
<開会>  
<病院局長挨拶>

〔井上病院局長〕

 先月25日に開催した第1回懇話会は,多くを病院事業の概略説明に費やしたため,議論に時間を十分に取ることができなかった。本日は,「3病院の役割の整理」および「繰入基準の検討」と「経営効率化の検討」について議論をお願いしたい。

 この改革プランの策定は,9月に申請を予定している公立病院特例債に関わるため,さらにスピードを上げて議論を進めていかなければならないが,そのような中でも,できるだけ密度の濃い改革プランを策定していきたいと考えているので,よろしくお願いしたい。

<議事>

〔岩田座長〕

 出来るだけ皆様方からの意見交換に時間を費やしたいと思います。

 それでは,議事の第1「3病院の役割の整理」について,まず説明をお願いします。

 

〔藤田経理課長〕資料説明

 ・「公立病院改革ガイドライン 抜粋」

 ・「3病院の果たすべき役割の明確化」

 ・「700床以上の病院比較表」

 ・「道内400床以上の比較」

 ・「類似病院経営状況比較表(600床以上)」

 ・「北海道医療計画 第8章別表」

 

〔岩田座長〕

 今の説明について,何か質問等はありますか。

〔鎌田委員〕

 700床以上の比較表では,大きく3パターンに分かれる。1つ目は大垣市や瀬戸市のように人口10万人程度で,市内の病床のシェアが6~8割という病院で,一般会計からの繰入れが無くても黒字であるという病院。2つ目として大阪,神戸,川崎,札幌,広島のような自治体の財政規模も大きい大都市で,2030億円の赤字である病院。残りはいわき市,豊橋市,函館市のような人口30万人程度にもかかわらず700床以上の病床があり,30億円前後の赤字である病院。そのようなことを分析するためにこの資料をお願いした。このようなことから函病は規模が少し大きいと感じる。

 また「3病院の果たすべき役割」の資料の説明で,3病院の果たすべき役割と一般会計負担について,ガイドラインに示された役割が4点書かれており,その役割の中で,函病の実質経常利益は30億円の赤字だが,果たすべき4つの役割に対し繰り出されているのは全部で約3億円くらいである。繰出金の合計は17億円で,そのほとんどが109千万円の元利償還金である。ということは,今の実質30億円という赤字は,この4つの役割とは少なくとも金額的にはリンクはしていない。30億円の赤字の実態と果たすべき役割は違うのか。ではどのように役割を再構成して,収支の議論と結びつけていくのかということである。

 

〔岡崎委員〕

 3病院の役割について,恵山と南茅部病院は慢性期を担い,急性期を函病が担うと考えているのか。

 

〔井上病院局長〕

 一時的には,急性期も担う必要があるかもしれないが,原則的には慢性期という認識である。

 

〔藤原委員〕

 恵山病院が現在担っている機能は「一般医療の提供」となっており,7,700万円の一般会計からの繰入れがある。このたび療養型の病棟に変わったところであるが,今後さらに見直しがかかり,療養型の病棟も廃止になるかもしれないという話も聞こえてくるので,その辺のところを聞いていきたい。

 

〔岩田座長〕

  いわき市,豊橋市が同規模の都市で,700床以上の資料の項目の中の「市内病床数シェア」というところで,一般病床の数値がこの2つの市より低いが,この点が函館より上位にある理由なのか。また,いわき市,豊橋市の市民病院は,企業債の元利償還金は持っていないのか。

 

〔藤田経理課長〕

 600床以上の病院の状況の資料で,「資本的収入中の繰入金」という欄に大きな数字が入っている病院は,大体新しく建てられた病院と考えられる。豊橋市が63千万円。函病が69千万円ということで,函病と同様に新しい病院と思われる。

 

〔岩田座長〕

 ということは函病は順位的には悪いが,似たような状況にあるということ。

 では,引き続き次の項目「繰入金の基準の検討」の説明をお願いします。

 

〔藤田経理課長〕資料説明

 ・「公立病院に関する財政措置のあり方等検討会(第1回)」

 ・「平成19年度公営企業会計交付税算入額調(算ベス)」

  ・「参考:平成19年度の繰出基準および20年度繰入額一覧」

 

〔岩田座長〕

 今の説明について,何か質問等はありますか。

 

〔伊藤委員〕

 実際に国からの負担金と市からの妥当な繰入金を入れて,収支ベースでいくら不足なのか。その中でその不足分をどうするのか,どこが原因かをはっきりさせなければ,この会の意味がないのではないか。その辺,前回説明があったのか。

 

〔岩田座長〕

 前回は全体の説明だったので,今回で今のような問題点の絞り込みをしていかなければならないと考えている。経営の効率化を検討する中で,実際に病院局が何をしようとしているのかをまず出してもらい,我々がゼロから新しい項目を出すことは時間的にも無理があるので,前回と今回の会については,実際の数字などを説明してもらったところである。

 

〔鎌田委員〕

 結局我々が検討すべき課題は,国もお金を出せない。改革プランの結論を出すのは22年度まで,経営形態の見直しについては25年度まで。もらえるお金がもらえなくなった場合に,どういう役割を維持するかしないか,あるいは今不足している分をどれだけ圧縮するか,というだけの話だと私は思う。

 

〔伊藤委員〕

  この繰入金15億円は将来入らなくなる可能性があるのか。それとも基本的には15億円入ると考えていいのか。

 

〔藤田経理課長〕

 基本的には,これはルール分なので入ってくるものと考えている。

 

〔岩田座長〕

 ただ応分の負担を市が出さないと,15億円はもらえない。市が苦しくなり繰り出しが出来なくなると,交付税をもらう理由も難しくなってくるのではないか。

 

〔藤田経理課長〕

 はい,例えば市が1/2を繰り出しているので,その1/2を国が補填するという形になっている。交付税の場合は,基準財政需要額という,その市の規模に応じた基準があり,それに基づいて算定をした需要額とそれに対してその市の税収を算定し,その差し引き分が交付税で入ってくる。税収が増えると交付税は減り,税収が減ると交付税は増える仕組みである。ただし交付税の総額を減らされると,当然各自治体に入ってくる交付税も減るため,ルール上はこの15億円が函館市にこれだけの需要があると認められるのは変わらないが,実際にこの15億円が函館市に入るかどうかはまた別な話になる。

 

〔伊藤委員〕

 函館市の税収が多くなったら,国からの繰入れがゼロになることもあるのか。

 

〔藤田経理課長〕

  ある。それがいわゆる不交付団体ということで,北海道では泊村しかない。

 交付税と繰出金について補足だが,これはあくまで需要額ということで算定上この数字になっているので,市によっては15億円交付税が入っても,病院には5億円しか繰り出さない,残り10億円は教育や福祉に当てても構わない。函館市では,一応15億円入ったら,15億円以上は病院に出すという約束事にはなっており,函病分として15億円国から入って17億円病院に繰り出しているという状況である。

 

〔岩田座長〕

 そういうお金の動きがあるということを頭に入れた上で,今日は,議事の3番目の「経営効率化の検討」までまず説明をしてもらい,それから審議に行きたいと思う。

 

〔藤田経理課長〕資料説明

 ・「公立病院改革ガイドライン 抜粋」3ページ目「(2)経営の効率化」

 ・「病院事業の収支見通し 抜粋」

 

〔岩田座長〕

 今の説明について,何か質問等はありますか。

 

〔伊藤委員〕

 収支見通しの抜粋の表は1924年度まで試算されているが,これらの比率等は何か根拠があるのか。希望的観測なのか。

 

〔藤田経理課長〕

 これは努力目標を入れて,ここまで少なくとも行きたいという数字である。

 

〔伊藤委員〕

 ということは努力目標の根拠がある。

 

〔藤田経理課長〕

 これは今年の1月に策定した収支見通しで,患者数や単価を見込んで作った数字である。

 

〔伊藤委員〕

 数字はあくまでも数字で,当然根拠があってこのような数字が出来ているのだから,我々が議論する必要がないのかと思って質問した。

 

〔藤田経理課長〕

 実際はなかなかこのような数字になっていない。そこまで行き着いていない状況である。

 

〔鎌田委員〕

 単純な話,24年度に書いてある数字,あなたは可能な数字だと思うか。

 

〔藤田経理課長〕

 これはちょっと無理な数字と考えている。

 前回配付した資料の「病院事業の収支見通し」の4ページ目の収支見通しの算出要領というところで,1920年度の一般病床の1日当たり入院患者数を500人と見込んでいる。21年度以降は産科の再開も可能ではないかということで23人増の523人と見込んでいる。また7対1を取っているので看護師も増員するということで考えている。しかし実際のところ20年度現在で看護師の数が足りないため,入院患者数を500人以上入れられるような状態になっていない。また外来も1日当たり1,250人と見込んでいたが,今現在で1,000人程度で, 1日あたりの外来患者数もかなり落ちてきている。そういう意味で先ほどそれらを元に患者数や7対1,DPC算定等による単価増を見込んだ収支見通しの数字であることから,現時点では,収支見通しのような数字には到達出来ないと考えている。

 

〔伊藤委員〕

 今看護師が足りないと言ったが,7対1というのは現患者数に対してかそれともベット数に対する7対1か。

 

〔藤田経理課長〕

 現患者数である。

 

〔伊藤委員〕

 そうするとベット数に稼働率70数パーセントを乗じた数の7対1で,入院患者数を増やすと7対1が取れなくなるので,それで患者をこれ以上入れられないということだ。

 

〔藤田経理課長〕

 将来的に看護師を増やして,患者もそこまで入れれるという考えである。

 1718年度は10対1でやっていたが,10対1では550人位の患者数であれば黒字になる。それが7対1では500人を少し上回る数であれば,同じような規模である程度黒字になる。

 

〔鎌田委員〕

 市立函館病院の場合には看護師の給料が年功性の意味合いがあって,卒業したての若い看護師が行きたがらない。看護師が集まらないから患者数を意図的にセーブしなければならない病院になってしまうのではと危惧する。

 

〔藤森管理部長〕

 確かに待遇面ということでは,これまで函病の新卒者の給与は市内の他の民間病院と比較して安いということで,194月から給与度変えて,若干高くした経過はある。それでもまだ他よりは若干安いという感じはあり,それが集まらない原因の一つであることは確かだと思う。ただ一方で,市立函館病院の中で,魅力ある職場であることを前面に出しながら,附属の看護学院の卒業生や新卒予定者に呼びかけて何とか働いてもらいたいということで,いろいろと方策を講じている。

 

〔鎌田委員〕

 経常収支の見込みから派生している論点だが,私は職業上,いろいろな経営体の決算などを拝見するが,今この時代に右肩上がりの計画はどこも認めない。右肩上がりの計画でお金を貸す銀行はない。右肩上がりの事業計画を作るのであれば,明確な根拠を示すべきと考える。例えば,具体的にここ数年,附属の看護学校から何%が函病に入っているのか。それから一方で毎年看護師の採用者数の何%が看護学院なのか。そういった数字を出してみて,将来このように人数が増え,結果7対1が達成出来るなどの具体的な話をさせてもらった方がいいと思う。

  もう1点,病床稼働率を今75%,これを90%まで頑張りたいという話があったが,700床以上の病院比較の資料を見ると,「1床あたりの入院収益」で,大垣市だと17,000円,瀬戸市だと14,000円,大阪市で15,000円,平均で14,000円。函館市は11,000円。そうすると稼働率だけではなく,単価面も随分低い。これについて見解あるいは業績アップするための改善策についてはどうか。

 

〔藤田経理課長〕

 これは精神科の数字が入っており,この当時で140床くらいだが,精神科の入院単価は非常に安いため,その影響かと思うが,それにしても押し並べて低い数字になっている。一般病床だけで捉えて単価を見ると,48,000円位と,おおよそ全国の病院の中でもそこそこの数字だと思う。そしてこの6月から7対1を取得し56,000円まで上がった。しかし病床稼働率が悪いことから,全体の病床数で単に割っており,空きベットの分も入っているので。そういう意味では低くなってる。

 

〔伊藤委員〕

  三次までやっている急性期で56,000円というのは,かなりいい単価だと思う。

 

〔鎌田委員〕

 民間の病院では早期退院について,医師や看護師が病棟で声がけを一生懸命やっているようだが,函病では稼働率を上げるため長期入院になって単価を下げているということにはなっていないか。

 

〔藤田経理課長〕

 単価自体は上がっており,それは内部の努力があると思うが,いい数字になってきている。また退院の引き延ばしは行っておらず,それをやると入院期間が延びてしまい,7対1の対象からも外れてしまうという可能性もある。

 

〔鎌田委員〕

 そういうことであれば,急性期についての稼働率とか1床当たりの入院収益について他病院との比較出来ないのか。改善するというのであれば,改善に結び付く議論をした方がいいと思う。例えば,先ほどの資料の「あり方検討会(第1回)」の5ページの病床100床当たりの表に,函病の数字を横に入れたらどうなるのか。いろいろ考えてこの指標を選んだと思うので,そうであれば自分と比較してみてもいいのではないか。

 

〔岩田座長〕

 産科を再開すると言うが,では産科を再開するには医師をそれだけ揃えなければならないし,そういう方策はいつまでにどうするなど,どのようにやっているのか。全体としてすでにこの会議を開く以前に,病院局を中心に改善策を随分長い間検討していると思うが,それに対して,例えばこの点については非常にリスクがあるがやるとか,そういう方針というのはすでに持っているのだと思うので,ぜひ紹介してほしい。先ほど鎌田委員の方から右肩上がりはないとあったが,ただ右肩上がりをやらなければ,元へ戻れないのであれば,目標を立てるにあたって右肩上がりでもいいと思う。問題はどこまでそれをやるのかということ。

 それで今日までのところは現状の説明でいいと思うので,次回から個別に我々の意見を言わせてもらうとしたら,ゼロから我々が考えるのではなく,具体的にどういう根拠に対して,どういう分析をしていて,どう積み上げされているのかというところを聞かせてほしい。

 

〔鎌田委員〕

 右肩上がりであるということは,具体的に現実に何かをするということが前提になっているはず。その具体的な現実的なアクションプランがあるはず。例えば看護師さん増やすなら給料単価上げるなど。ただ私は単価を上げただけでは,本当に若い人が来るのか,やりがいのある職場が作れるのかどうか疑問がある。医師も同様だと思う。それではそのような面の手当を具体的にどう考えるか。

 

〔岩見委員〕

 今のことと関連する見通しの根拠という点では,さきほどの21年度には23人の一般の患者さんを増やして産科で持つとの説明があったが,函館市内での産科の需要を見極めた上での妥当な見通しなのか知りたい。

 

〔岡崎委員〕

 出来るのであれば,大垣市民病院はシェアの関係が大きく影響しているとのことだが,企業努力や経営効率化に向けて病院でどのようなことを行っているのか。他の黒字病院でも良いので,そのような内容について参考に出来る面があるのであればと思うので,可能ならば調べて欲しい。

 

〔岩田座長〕

 これから先,我々が目指すべきところに近い先進的な病院があれば,徹底的に分析してみて,それのいいところを全部取る。当然地理的なハンディなどもあるので,そこは難しいところだが,ぜひ数値だけでなく,内容的なものを分析できるのであればしてもらいたい。その場合に,先ほど数値上の問題もあるが,最近私も病院の先生方と会って,医師のやりがいの問題とか,看護師の楽しい職場になるかならないかというメンタルマネジメント上の問題も非常に大きくなると思うので,その辺りの分析がうまく出来れば一番いいのではないかと思う。その辺りの糸口はありそうなのか。

 

〔藤田経理課長〕

 大垣市民病院については,職員数は多いようだ。函病の18年度で医師は71人だが,それに対して大垣市民病院は132人ということで,病床数的には同じような規模ではあるのだが,医師数が大幅に違うこと。当然看護師もかなりの数が違うのではないかと見ている。この辺の詳細については改めて特に大垣市民病院について調査する。

 

〔岩田座長〕

 ぜひ調べてもらいたいのは,その大垣市について,例えば周辺の病院数や病院の中における市民病院の評価,位置づけなど,シェアの問題も含めて,病院の位置づけが高いのか低いのか。

 

〔藤田経営課長〕

 かなり地域の中核病院ということで,岐阜県の中では一番の病院だと聞いている。

 

〔藤森管理部長〕

 マネジメント上の糸口になるかどうか分からないが,1床当たりの単価の話で,平成19年度で48,000円位であった。それが今年の4月に入り,いろいろ病院で取り組みをして  53,000円位になった。それと今回7対1入院基本料を取得したことにより,今は56,000円位になっている。ここ数ヶ月の間でそういう状況もあるので,また7月からはDPCも導入したこともあり,今後7月なり8月の単価がどういう動向になるのか。後は単価が一定程度,58,000円なりと落ち着いたとすれば,後は病床稼働率をどのように持って行くのか。患者をどうやって増やしていくのか。それらを考えていくことによって,将来に向かっての新たな展望も開けてくるのかなというような感じはしている。

 

〔藤原委員〕

 恵山の病院は,現在60床の療養型病棟となって,さらに人工透析で少しは患者を増やしていくということだが,この場合いくら努力しても,繰入金を除く総収支比率は90%以上にはならないわけだから,やはり函病本体自体で経営努力をして,その小さい病院の方を温かく見守る方法を考えてもらわないと病院自体が成り立っていかないと思う。

 

〔岩田座長〕

 今の件に関して,連結でやるのか,それとも個別に全部黒字に持っていく方針なのか。

 

〔藤森管理部長〕

 病院事業会計自体の決算ということになると一つのまとまった形になるが,やはり個々の函館病院,恵山病院,南茅部病院の収支がこの病院改革プランではそれぞれで策定するとなっているので,それぞれの病院で健全化を目指して行かなければと考えている。

 

〔岩田座長〕

 ということは,この審議の中では,3病院単独で各々の固有の施策に対して検討させてもらうことが出来るということだ。

 

〔伊藤委員〕

 先ほど経営努力で単価が48,000円から53,000円に上がったと言ったが,これは我々にとっては驚異である。5,000円の単価を短期間で上げれるということは,逆に言うと今まで何だったのかと言いたい。これだけ出来るなら,私は何でも出来ると思う。

 

〔藤森管理部長〕

 説明不足でしたが,19年度48,000円と申し上げましたのは,年間のトータルであって,直近になってその近い数字になってきたということである。4月に53,000円になったが,3月にはそれに近い数字になっていたということである。

 

〔伊藤委員〕

 これからの協議の中で結論めいた話になってしまうが,問題は収益単価と稼働率だ。これのかけ算だから。答えを言ってしまえば,民間並みに90%で回せばあっさりおつりが来るが,問題はそういう中で収益が上がれば経費率が下がるわけであるから,今は経費率が突出しているようには見えるが,結局収入が増えれば下がって適正値になっていく。いろいろ個々で言えば経費の単価が高いものもあるだろうから,それらの見直しも当然今後の中で必要になると思う。そのほかに実際に今目指すような単価の収益と稼働を果たせるかどうかというのが最後行き着くところだと思う。我々がそれに対していろいろなコメントをするのは,先ほど鎌田委員が言ったような具体的な病院としての方策がないと,我々は理想論とか,例えば私は自分のところの病院経営の経験から言えるけども,函病として本当に出来るのかというところを出してもらいたいと思う。

 

〔鎌田委員〕

 先ほどの話に戻ってしまうが,看護学院の話で,看護学校の皆さんにアンケートを取ってみたらどうか。あなたはどこの病院に行きたいですかと,無記名で。

 もう一つだが,病院のあり方という点でガイドラインの抜粋もいいが,実際市内で,医療の消費者は市民であったり患者であったりするわけで,そういう人達が何に困っているのか。それは市民にアンケートを取るわけにもいかないから,医療関係の方などに何に困っているか聞いてみたらどうか。要するに何のために市立病院はあるのかという話。何のために存続させるのか。ガイドラインとか言っていないで市民の方から捉え直したらどうか。どういう需要が市民にあるのか。それで需要があって供給がない部分があれば,市立病院として取り組むことができるのかということも検討してはどうか。

  先ほどの24年度までの数字の話で言うと,話は単純だと思う。我々がここに集まって,正直な話し合いをするのかと。そうではないのか。それだけの話だと思う。

〔岩田座長〕

 それは私の方から答えさせてもらうと,正直な話をやるつもりだ。私もいろいろな委員会に参加してるが,やはり集まって異議なしでは何の意味もない。そういうことを前提にこの座長を引き受けた。出されたものをただ通すためにやるつもりは全くない。

 もう一つお願いがあるが,2050年で確か10万前後の人口になる予測が出ている。人口が減るということは患者数が減るということ。逆に老齢者は増える一方である。企業でいえばユーザー層の数が減っていく中で将来的に生き残るためには,スリム化なのか,単価を上げるのか,または職種を変えるかどうかも含めて考えなければいけない。その将来的な需要の読みというところはどのように考えているのか,今日のところは考えが今あれば簡単に説明してもらいたいし,無ければ人口減に対してどう対応するのか。

 

〔藤森管理部長〕

 将来的には人口は減っていくと推測はしているが,今先生が言ったところまで我々はまだ推計を立てていない。次回までに一定程度の考え方をまとめて示したい。

 

〔岩田座長〕

 市立病院がテリトリーとしているは津軽海峡の向こうの一部から渡島半島全体だが,実態としてはこの病院は渡島半島全体の中での基幹病院と皆さん見ていると思うので,そこまでの含めた人口動態を見た方がいいのではないかと思う。一時的に北斗市に若い人が移っているのも見られる。いずれにしても我々の想像以上に人口減がありそうだという感じがあるので,これは無視できないと思うので,ぜひ検討の要素に入れてもらいたい。

 

〔秋本委員〕

 先ほど経営の改善計画策の具体的な計画,具体的なアクションプログラムをこの次に出してもらわなければ,絵に描いた数字をしかも指摘のように右上がりの数字を単に並べられているのであれば,我々委員会はアリバイ作りの委員会みたいな感じになるおそれがあるから,その辺を具体化してほしいと思う。

 

〔岩田座長〕

 そのような方向でやりたいと思う。それで今日のところまでの基本的な数字の読み合わせは理解した。次回は,今まで病院局を中心にしていろいろな検討をしてきていると思うので,大きな意味でどこに問題を抱えているのか,それに対してどういう対応をしようとしているのか,今まで何を検討して,何が問題だったのかということを端的に示してもらい,それに対して我々が何を言えるのかということに,かなり具体的な話に持って行かないと皆さんのフラストレーションが解消しないと思うし,この委員会の意味がないと思うので,そういう方向で資料の提示と事前の準備をお願いする。我々も一緒になって,分野の違う人間がいれば多少は違うアイデアも出るかもしれないので,その辺りを期待して出してもらえればと思う。

 

〔伊藤委員〕

 経営改善会議なので,事実上3つの病院のトータルで,交付金を入れて,市の入れるべき妥当額を入れて実際いくら足りないのか。ではそれを改善するには,先ほどの入院,退院,外来をこれだけ増やせばいい,単価をこれだけにすればつじつまが合うとそういう数字があるときっと皆さんわかりやすいと思う。端的に言うと15億円足りないのだと。15億円埋めるにはこうすれば埋まるのだと。それで我々は方策をこう考えたという筋道だと一番議論しやすいのではないかと思うので,その辺のわかりやすい提示をお願いしたい。

 

〔岩田座長〕

 どこまで公的基幹病院としてどこまで税金で賄うべきかという,合意がどこまで取れるかというところだ。それは初回の時に市長から話があったように,結果的にあちこちの自治体の経費の圧迫度合いは公的病院の赤字が非常に大きく,それを表に出して出来るかどうか検討しなければならない。いずれにしても100%収益で黒字になるのはあり得ないという中で,どのようにするかという観点での資料の整理をお願いしたい。

 

〔鎌田委員〕

 具体的な行動計画で黒字にすると言ったときに,収支が合わない理由はいくつかあると思う。一つは効率化あるいは収益向上すれば埋まる部分,改善できる部分。次に公立病院としての使命を果たすが故に赤字になる部分というのが当然にある。それは繰出金との相談議論になる。さらにその上に市立函館病院は,800床という大規模なためにどうしても避けがたい赤字の部分。というのが出てくるかもしれない。そこは市立函館病院特有の議論であって,そこについてはどう考えるのか。つまりあらゆる効率化を一所懸命全国レベルの指標まで行い,次に公立病院として,これは赤字でも仕様がない部分もあるかもしれない。その辺を分析した数字をたたき台にして議論すればいいと思う。

 

〔岩田座長〕

 こういう難しい問題を解決するときに,現在の問題点を分析して積み上げていくのも大切なのだが,例えばここがこれだけ赤字と積み上げていっても,それに対して1個1個対応しても絶対に将来に向けた一つの結論は出ないと思う。あるところまで分析し,その認識が出来たら,次はここに対して函館のこの状況の中で,市立病院として認められ存続できるという目標を作り,そのギャップをどうやって埋めていくかの話をしなければならない。次はこの市立函館病院はこの渡島の中にあって大病院,診療所があり,そういう数の医師がいる中で,基幹病院としてどうあるべきかという方針を立てないといけないと思う。我々委員の方からも策を出して,それに対して実現可能かどうか。そうしなければ1個1個の項目でこれは赤字なのでどうしましょうかとやっていたら,それは日々の経営の話になって委員会の話にはならない。そういう意味で協力いただきたい。

 先ほども言ったように,現状を知るという会議は今日で終わりということで,ほぼ終わったと思いますので,あとは事務局にお返しする。

 

〔井上病院局長〕

 2時間に渡り,大変内容の濃い議論を頂いた。数々の指摘の点については,早速資料を作成して,病院局の中でも議論して次回の懇話会の前に出来るだけ早い時期に示したいと考えている。先ほども言いましたとおり,スピードを上げなければならないということで,我々も身を引き締めて改革プランを作っていきたいと考えているので,これからもよろしくお願いしたい。

 

                                   (終了)

 
Copyright (C) 2007 hakodateshibyoinkyoku