病院局トップ病院局長からのメッセージ

令和3年度を迎えて 令和3年4月6日
 新型コロナの流行が一向に収まらない中、新たな年度を迎えました。変異株の感染拡大が報道されており、当地域においても予断を許さない状況が続いております。
 さて、3年前に病院局長として赴任してきたとき、函病は大きな赤字を抱え、病院事業として資金不足比率が20%を超えそうな危機に瀕しておりました。しかし、函病は職員一丸の努力により、平成30年度、令和元年度と2年連続の黒字を達成いたしました。
 こうした中迎えた令和2年度は、函館市唯一の感染症指定医療機関として、コロナ患者が急増した流行期には、一般病棟の入院患者数を制限し、その病棟の看護師等をコロナ病棟へ動員するとともに、外来診療の制限も行い治療に当たりました。この1年間、函館市で入院が必要なコロナ患者の90%前後を函病で診ており、また、函館に限らず道南のコロナ重症患者のすべてに函病で人工呼吸器、ECMOなどを装着し治療に当たり、きわめて重篤であった患者さんを数多く救命しました。
 一方、函病は道南唯一の救命救急センターも有し、ドクターヘリの基地病院でもあり、毎日の三次救急対応や3日ごとの二次救急当番によって多くの重症患者を受け入れました。また、がんや心疾患、血液疾患、神経系疾患等により函病で治療を受けている多くの患者さんが日常的におられ、これらの患者さんに対する治療もこれまで同様に行う必要があることから、入院制限を行う中にあっても可能な限り受入れに努めました。
 大変厳しい状況下での病院経営でしたが、入院収入は当初の予定を若干上回り、外来収入が予定を若干下回るものの、経費の節減等もあり、医業収支での均衡を見込めるまでになっております。さらには、コロナに対応するための空床を確保している病院に対する補助金の受入れにより、累積の赤字を大きく圧縮できることが見込まれております。
 3年連続の黒字は間違いないものと確信しております。
 これもひとえに函病全職員の努力のたまものであり、また、地域の皆様の温かいご支援、ご理解、ご協力があったからこその結果であります。
 皆様に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。 

 このコロナの流行は恐らくまだ1年は続くことと思われます。私はコロナという災害を経験し、それに怯むことなく正面から対峙した函病は大変強くなったと感じております。函病は道南医療の最後の砦であり、災害下にあってもそれを担う力と自信を職員が持つことができたと思います。函病にはこの4月から東京医大の集中治療部教授であった今泉先生が副院長として、また、旭川医大血管外科講師の古屋先生が道南初めての血管外科医として着任しました。函病はよりいっそう質の高い医療を提供できるものと考えております。そして、今後とも職員が患者・家族に対する思いやりと医療職としての倫理観を更に向上させ、ますます地域で信頼される病院となるよう努めてまいります。

 また、病院局では函病だけでなく恵山病院、南茅部病院の運営の検討も行っております。
 恵山病院では日常診療以外にも地域がコロナのような医療危機に遭遇したときに対応できる力を備えるべく、職員が動き始めております。
 南茅部病院は本格的に移転改築を考える時になりました。南茅部地区から函館市内までは33kmほどの距離があり、地域の人口が減少し、患者が減るだけでなく、医療者とそれを支える人々の確保が難しくなっております。医療は高度化、あるいは細分化し、求められる医療の役割分担が必要になってきております。地域住民の希望、それに対する医療提供の可能な範囲を検討し、今年中には新医療機関の方向性をお示しできればと思っております。
 そして高等看護学院は3月末に卒業生全員の国家試験合格を果たし、4月から新たな70名の入学者を迎え、3学年で210名の看護学生の教育に当たることとなります。4月から函病院長が学院長を兼務し、函病と学院とのより親密な関係を構築し、新しい医療・看護教育に取り組むとともに、将来の看護大学化に向けた可能性の検討を進めてまいりたいと考えております。
 函館市および道南医療圏の皆様には、本年度もご支援、ご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
函館市病院局長 氏家良人
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