消化器病センター

消化器病センターは、消化器疾患全般(上部消化管・下部消化管・肝胆膵)にわたり、消化器内科・消化器外科・放射線科・病理診断科が一体となり診断・診療を行っています。それぞれの分野において専門医をそろえ、高度で最先端の診断治療を提供できるよう日々精進しております。さらに、週1回の合同カンファレンスを行い、治療方針の協議と治療結果の評価を行い、診療の向上に努めています。

消化管領域

 当院の内視鏡検査、治療施行数は、道内でも有数の病院となっております。また、吐血、下血などに対する緊急内視鏡検査にも、昼夜問わず対応しております。さらに最近では、最新機器を用いた精度の高い内視鏡診断も行われており、食道がん、胃がん、大腸がんの早期発見が可能となっております。そして以前であれば、外科手術で対応していた大きな腫瘍でも早期がんであれば、内視鏡的粘膜下層剥離術(通称:ESD)で切除することが可能です。ESDは外科手術と比較し身体への負担が少ない内視鏡手術であり、当院での施行数は、道南地域では最も多いだけではなく、その治療成績も都市部の他施設と比較しても、遜色のないものとなっております。ESDの入院期間は、食道、胃で治療後1週間程度、大腸は治療後5日程度となっており、短期間での退院も可能です。また比較的容易に切除ができると診断された大腸ポリープは、内視鏡的粘膜切除術(通称EMR)を1泊入院で行っております。

 さらには北海道大学消化器内科との連携もあるため、当院で治療が困難と判断された場合は、より先進的な医療を行っている病院への紹介も可能です。

 函館市は、全国平均よりも消化器がん死亡率が高くなっており、内視鏡検査の必要性が高い土地だと考えられます。もしも検査に対する不安が強い場合は、鎮静剤を使用し、眠った状態で検査を行うことも可能です。患者さんの身体への負担が少なく、精度の高い内視鏡診断、治療を心がけております。

肝疾患領域

当科における肝疾患診療は、急性肝疾患から慢性肝炎、肝硬変、肝癌と広く対応しております。

 B型肝炎やC型肝炎といったウイルス性肝炎は、肝硬変さらには肝癌に進展しうる慢性肝疾患ですが、適切な抗ウイルス治療を行うことで予防が可能です。B型肝炎に対しては、2000年以降核酸アナログ製剤と呼ばれる内服薬の登場で、多くの患者さんが副作用も少なく安全にB型肝炎ウイルスを制御することができるようになりました。C型肝炎に対しては、これまでインターフェロン併用療法が主でしたが、2014年以降インターフェロンを併用しない内服薬治療(インターフェロンフリー療法)が可能となりました。それまで年齢・合併症などから抗ウイルス治療をあきらめていた患者さんに対しても安全に使用可能です。12週から24週間の治療で90%以上の確率でC型肝炎ウイルスを排除できるようになりました。

 最近は、生活習慣病とも大きく関わりのある脂肪肝の増加が問題となっております。脂肪肝には10%程度非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)という肝硬変や肝癌にも進展しうる病態が含まれており、適切な診断、治療が必要であります。飲酒は適量であれば問題ありませんが、多量飲酒が続きますと肝硬変へと進展することもあります。ウイルス性、特にC型肝炎関連の肝癌が減少傾向なのに比して、NASHやアルコールによる肝硬変からの肝癌が増加傾向にありますので、当院では生活指導とともに適宜、画像検査も行い対応しております。

 肝癌の診療においては、まず腫瘍の性質・進展程度を正確に診断することが大切です。血液(腫瘍マーカーなど)、超音波、CT、MRI検査などを行い、腫瘍の大きさ、個数、脈管侵襲の有無、遠隔転移の有無などを評価し、肝癌の病期分類(ステージ)を決定します。同時に背景肝の状態を評価(Child-Pugh分類、肝障害度)することが大切です。肝癌は、慢性肝炎や肝硬変といった慢性肝疾患を背景にして発生することがほとんどですが、障害の程度によって治療方針も大きく左右されるからです。治療法は、局所制御能の高い(1)外科切除、(2)ラジオ波焼灼術(RFA)やエタノール局注療法(PEIT)といった穿刺療法、(3)肝動脈塞栓術(TACE)を基本とし、時に併用しながら選択しています。いずれにおいても治療が困難となった進行肝癌例に対しては化学療法を検討します。当院での肝癌治療は、定期的に合同カンファレンスを施行し、日本肝臓学会が作成した「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン」を参考にしながら、個々の症例の治療方針を決定しております。

胆膵領域

 胆管、胆嚢、膵臓(以下胆膵領域と略します)は非常に小さな臓器ですが、様々な疾病が出現します。良性疾患は胆石症、胆嚢炎、胆管炎、膵炎などがあり、悪性疾患は胆嚢癌、胆管癌、膵癌などがよく知られていますが、ほかにも硬化性胆管炎、自己免疫性膵炎など、頻度は低いものの、難治性疾患も外来で遭遇します。中には重症化すると生命の危険が及ぶ病態もあり、また胆膵領域の癌は悪性度が高く、難治であることも有名です。胆膵領域の癌は早期には症状がでず、腹部エコーやCT、MRIなどでは早期診断が難しい分野です。

 膵酵素上昇や腫瘍は特定できないものの、胆管や膵管(膵臓の中を走っている管)に異常が認められる場合、当院では超音波内視鏡検査を施行します。体表からよりも胃、十二指腸からのほうが胆管、膵臓に近接してエコー検査を施行することができ、他の画像診断で発見できない腫瘍を見つけることができます。また、この超音波内視鏡観察下に専用の針で病変を穿刺し、病理検査を行うことができます。

 肝と十二指腸の間にある胆管、膵臓の中を通っている膵管は非常に細く、小さな臓器ですが、それぞれ胆汁、膵液という消化液を十二指腸に排出させています。この部位で病気が起きると胆管炎、膵炎などを合併し、黄疸、発熱、腹痛などが生じます。この胆管、膵管の精密検査を内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)と呼びます。この検査は同時に胆管内に胆石の除去や胆管、膵管ステント留置を行うことが可能です。

 その他内視鏡、外科の手術ができない患者様については経皮経肝胆嚢ドレナージ、胆管ドレナージを行っております。

化学療法領域

 消化器内科では主に、消化器疾患での治癒切除不能・再発進行癌に対する化学療法(抗癌剤・分子標的治療薬等)を行っています。

 主な癌腫は食道・胃・大腸・胆道系・膵臓・肝臓の切除不能進行・再発癌ですが、手術の前に行う術前化学療法や、手術が終わった後に一定期間行う術後化学療法も行っています。

 北海道大学を中心とする北海道消化器癌化学療法研究会(HGCSG)に所属し、この分野における最新の医療情報を得ることに務め、またご希望の患者さんには積極的にセカンドオピニオンも紹介し、患者さん・ご家族・医療従事者との相互理解のもと化学療法を継続する姿勢を心掛けています。がん化学療法認定薬剤師・認定看護師とのチーム医療体制でも患者さんをサポートしていきます。

センター長紹介

消化器病センター センター長・医療部長

山本 義也(やまもと よしや)Yoshiya Yamamoto

主な経歴

平成5年 北海道大学医学部卒業
平成12年 国立がんセンター研究所病理部リサーチレジデント終了
平成13年 北海道大学大学院医学研究科博士課程修了

専門分野

消化器内科

指導医・認定医・専門医

日本内科学会(総合内科専門医)
日本消化器病学会(専門医、 指導医学会評議員、 北海道支部評議員)
日本消化器内視鏡学会(専門医、 指導医)
日本肝臓学会(専門医、指導医、 東部会評議員