新生児GBS感染について

GBSとは

 GBSとは、Group B Streptococcus:B群溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌です。
 一般的に溶連菌は正式には溶血性連鎖球菌という名称で、A群・B群・C群・G群など分類されますが、GBSとはその中のB群に属する細菌を指します。膣・肛門・直腸内にいる常在細菌で、健康な女性では膣内に検出されても害を及ぼす事なく、自覚症状もほとんどありません。
 しかし、生まれる際に母子垂直感染(赤ちゃんが産道を通ることにより感染する)を起こすことで、赤ちゃんがGBSに感染します。これを「新生児GBS感染症」と呼びますが、生後7日以内に発症する早発型と、7日以降に発症する遅発型があります。妊婦の保菌率は10~30%、赤ちゃんが感染を起こす可能性は1~2%と言われていますが、感染により赤ちゃんは肺炎・敗血症・髄膜炎などの重度の感染症を発症する可能性があります。
 早発型GBS感染症による赤ちゃんの死亡率は14.9%、後遺症残存率は5.7%との報告があり、予後が不良となる場合があります。そのため、当院ではお母さん、赤ちゃんに対してそれぞれ以下のような対応を行なっています。

 妊娠35~6週頃に、健診時に産道細菌検査を行います。膣と肛門から分泌物を綿棒でぬぐい、培養検査を行います。
 注)GBS陽性でも日常生活には影響ありませんので、入浴・夫婦生活もいつも通りで構いません。
  いわゆる性病ではありませんので、ご主人・パートナーの検査はいたしません。

GBS陽性の場合

お母さんへの対応:

 陣痛発来と判断した時点、または破水した時点から抗生剤の点滴を開始し、赤ちゃんが生まれるまで6時間毎に投与を繰り返します。
 分娩の4時間以上前から投与を行い薬剤の血中濃度を保つ事で、お母さんの臍帯を通して赤ちゃんに薬剤の成分が移行し、早発型GBS感染の可能性を減らす事が出来ます。

赤ちゃんへの対応:

 生まれた赤ちゃんは、発熱や呼吸異常、元気がない、哺乳状況が良くない等の感染徴候がないかを十分気をつけて観察を行なっていきます。
 症状に合わせて、必要があれば血液検査や細菌培養検査などを行い、発熱などの症状が出現すれば、抗生剤治療を開始します。